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結核の疫学と治療(DOTS)

健康支援と社会保障制度 / 感染症対策と予防

解説

今回は結核の疫学と治療(DOTS)について解説します。

結核とは

結核とは、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)による慢性感染症で、主に肺に病変をつくる肺結核として発症します。感染経路は空気感染(飛沫核感染)で、患者が咳やくしゃみをした際に放出される微小な飛沫核を吸い込むことで伝播します。同じ空間にいるだけで感染しうる点が、飛沫感染や接触感染と区別される特徴です。 結核は感染症法で2類感染症に分類され、診断した医師は直ちに保健所へ届け出る義務があります。喀痰塗抹陽性などの排菌患者は入院勧告の対象となります。

結核の疫学

日本の新登録結核患者数は長期的に減少傾向にあり、罹患率(人口10万対)も低下を続けています。WHOの基準で罹患率10未満を低まん延国と呼び、日本は近年ようやくこの水準に到達しつつあります。 国内の課題として、第一に高齢者の発症が多い点が挙げられます。これは若年期に感染した結核菌が潜伏し、加齢や基礎疾患による免疫低下で再活性化して発症する二次性結核が中心です。第二に、外国生まれの新登録患者が増加に転じており、若年層への対策が新たな焦点です。発病のリスク因子としては、HIV感染、糖尿病、免疫抑制薬の使用、低栄養、高齢などが知られています。

診断

肺結核を疑う場合、胸部エックス線で空洞影や浸潤影を確認し、喀痰検査で結核菌の有無を調べます。塗抹検査ではガフキー号数で抗酸菌量を評価し、塗抹陽性は強い排菌を意味します。確定診断には培養検査やPCRなどの核酸増幅法を用います。感染の有無のスクリーニングには、BCG接種の影響を受けにくい**インターフェロンγ遊離試験(IGRA)**が用いられ、ツベルクリン反応に代わって普及しています。

治療と服薬支援(DOTS)

結核の標準治療は、初期強化期の2か月間にイソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)、エタンブトール(EB)、ピラジナミド(PZA)の4剤を併用し、その後の維持期4か月間はINHとRFPの2剤を継続する、計6か月間の化学療法です。多剤併用は耐性菌の出現を防ぐために不可欠です。副作用としてINHは末梢神経障害と肝障害、RFPは肝障害と尿・体液のオレンジ色着色、EBは視神経障害、PZAは肝障害と高尿酸血症が代表的です。 服薬中断は治療失敗と耐性菌出現の最大要因です。これを防ぐためにWHOが推奨しているのが**DOTS(直接服薬確認療法)**で、医療者などが患者の服薬を毎回直接確認する方法です。日本では入院中の院内DOTSと退院後の地域DOTSを組み合わせ、確実な治療完了を目指します。

まとめ

結核は結核菌による空気感染症で、感染症法上は2類感染症です。日本では患者数は減少しつつも、高齢者の再燃発症と外国生まれ患者の増加が課題です。治療は2か月のINH・RFP・EB・PZAの4剤併用に続き4か月のINH・RFP併用を行う計6か月の標準療法が基本で、服薬中断と耐性菌出現を防ぐためにDOTSが推奨されます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    結核の感染経路はであり、微小な飛沫核を吸い込むことで伝播する。

  2. 2.

    結核は感染症法において感染症に分類され、診断した医師は直ちに保健所へ届け出る義務がある。

  3. 3.

    日本の結核罹患率は減少傾向にあるが、近年はの新登録患者数が増加に転じており、新たな対策上の課題となっている。

  4. 4.

    高齢者の肺結核の多くは、若年期に感染した結核菌が免疫低下により再活性化して発症する結核である。

  5. 5.

    BCG接種の影響を受けにくい結核感染スクリーニング検査で、ツベルクリン反応に代わって普及しているのはである。

  6. 6.

    結核の標準治療では、初期強化期の2か月間はイソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)、エタンブトール(EB)、の4剤を併用する。

  7. 7.

    結核の標準治療期間は初期強化期2か月と維持期4か月をあわせた計か月間が基本である。

  8. 8.

    結核治療において服薬中断と耐性菌出現を防ぐため、医療者などが患者の服薬を直接確認する方法をという。

  9. 9.

    抗結核薬のうち、視神経障害を主な副作用とするのはである。

結核の疫学と治療(DOTS)」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。