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アルコール関連の病態

精神看護学 / 物質依存・自殺・自傷

解説

今回はアルコール関連の病態について解説します。看護師国家試験では、アルコール依存症の治療経過、離脱症状(特に振戦せん妄)、Wernicke脳症の三徴と治療の優先順位、看護援助に関する出題が頻出です。

アルコール依存症

アルコール依存症とは、慢性的な大量飲酒によって精神的・身体的依存が形成された状態をいいます。耐性、離脱症状、飲酒コントロール障害、社会的問題を伴います。治療は①導入期→②解毒期→③リハビリテーション期の流れで進められます。入院当日は解毒期にあたり、離脱症状の早期発見が最優先となります。特に手指振戦の有無を注意深く観察します。

離脱症状

早期離脱症状

最終飲酒後6〜24時間以内に出現します。自律神経亢進による発汗、頻脈、血圧上昇、手指振戦、不安、不眠、悪心、けいれん発作(離脱けいれん)がみられます。

後期離脱症状(振戦せん妄)

48〜72時間後に出現する振戦せん妄は、全身性の粗大振戦、見当識障害、幻視、著明な自律神経機能亢進を呈します。未治療では致死率が高い医学的緊急症であり、ICU管理が必要となることもあります。重症度評価にはCIWA-Arスコアを用い、治療はベンゾジアゼピン系(ジアゼパム等)の補充、ビタミンB1投与、脱水・電解質補正を行います。

Wernicke脳症

Wernicke脳症はビタミンB1(チアミン)欠乏が原因で発症します。アルコール多飲者では糖代謝亢進と食事摂取不良によりB1が枯渇します。三徴は①意識障害、②眼球運動障害(外眼筋麻痺・眼振)、③歩行障害(失調性歩行)です。治療はチアミン100mgの静注をブドウ糖投与前に実施することが重要です。ブドウ糖を先行投与するとB1をさらに消費し症状が悪化するためです。治療が遅れるとKorsakoff症候群(記銘力障害・見当識障害・作話)に移行します。

その他のアルコール関連病態

アルコール性肝障害は脂肪肝→アルコール性肝炎→肝硬変→肝細胞癌へと進行します。慢性膵炎では背部に放散する腹痛、脂肪便、糖尿病を呈します。認知症(Korsakoff症候群、アルコール性認知症)、自殺・うつ、家庭内暴力、外傷の合併にも注意が必要です。

看護援助

離脱症状の観察(バイタル・振戦・意識・幻視)を行い、刺激の少ない環境整備と転倒予防に努めます。輸液管理とビタミンB1補充の確実な実施が重要です。回復期には**断酒会やAA(Alcoholics Anonymous)**への紹介、家族支援を行います。薬物療法では抗酒薬(ジスルフィラム、シアナミド)、アカンプロサート、ナルメフェンが用いられます。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    アルコール依存症の治療は導入期→期→リハビリテーション期の流れで進められる。

  2. 2.

    アルコール離脱の早期症状は最終飲酒後時間で出現し、発汗・頻脈・手指振戦などの自律神経亢進症状を呈する。

  3. 3.

    最終飲酒後48〜72時間で出現し、全身性の粗大振戦・見当識障害・幻視を呈する重篤な離脱症状をという。

  4. 4.

    アルコール離脱症状の重症度評価にはスコアが用いられる。

  5. 5.

    アルコール離脱症状に対する薬物治療では系薬剤(ジアゼパム等)が第一選択となる。

  6. 6.

    Wernicke脳症はビタミン(チアミン)欠乏が原因で発症する。

  7. 7.

    Wernicke脳症の三徴は意識障害・眼球運動障害・である。

  8. 8.

    Wernicke脳症の治療では、チアミンを投与前に静注することが重要である。

  9. 9.

    Wernicke脳症の治療が遅れると、記銘力障害・作話を特徴とするに移行する。

  10. 10.

    アルコール依存症の自助グループとして断酒会やへの紹介が行われる。

アルコール関連の病態」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。