燃え尽き症候群
精神看護学 / 精神看護総論・その他
解説
今回は燃え尽き症候群について解説します。
燃え尽き症候群とは
燃え尽き症候群とは、人を援助する過程で長期にわたり努力を続けたにもかかわらず、期待した満足感や達成感が得られず、心身ともに極度に疲弊してしまう状態をいいます。英語では**バーンアウト(burnout)と呼ばれ、うつ症状や意欲低下、社会的機能の低下を伴うことが特徴です。看護師・医師・介護職・教師など、対人援助を職務とする人に多くみられ、職務継続が困難になることもあります。アメリカの心理学者Maslach(マスラック)**によって概念が体系化され、対人援助職に特有の心理的消耗症候群として国際的に認知されています。
Maslachによる3つの構成要素
Maslachは燃え尽き症候群を3つの要素から定義しました。これは国試で最も問われる重要事項であり、それぞれの内容を正確に区別できることが求められます。
情緒的消耗感
情緒的消耗感とは、仕事を通じて情緒的に力を出し尽くし、もう何も感じられないほど疲れ果てた状態を指します。患者や利用者と関わるための感情のエネルギーが枯渇している状態であり、バーンアウトの中核症状とされます。
脱人格化
脱人格化とは、援助の受け手である患者や利用者に対して、思いやりを欠いた無情で機械的、否定的・冷淡な態度をとるようになる現象です。本来は人として向き合うべき相手を「もの」のように扱ってしまう状態で、情緒的消耗から心を守ろうとする防衛反応として現れます。
個人的達成感の低下
個人的達成感の低下とは、自分の仕事の成果や有能感を肯定的に評価できなくなる状態です。「自分は役に立っていない」「努力しても意味がない」という無力感が生じ、職務への意欲が著しく低下します。
発生要因
長時間労働、業務量過多、役割葛藤、裁量権の少なさ、上司・同僚からのサポート不足などが主な職場要因です。また、看護のように相手の感情に配慮しながら自分の感情を抑制して働く感情労働は、バーンアウトの大きなリスク因子となります。真面目で責任感が強く、理想が高い人ほど陥りやすい傾向があります。
予防と対処
予防には十分な休息の確保、業務量の調整、同僚や上司による精神的サポート、専門家によるスーパービジョンの活用が有効です。仕事に対して活力・熱意・没頭をもって取り組める状態であるワーク・エンゲイジメントを高めることも重要とされます。
まとめ
燃え尽き症候群は、対人援助職が情緒的消耗を重ねた末に陥る心理的消耗症候群であり、Maslachによる情緒的消耗感・脱人格化・個人的達成感の低下の3要素から構成されます。感情労働を担う看護師には身近な問題であり、早期発見と職場全体での予防対策が国試対策および臨床実践の双方で重要です。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
対人援助職が長期の努力の末に達成感を得られず、情緒的に消耗してうつ症状や社会機能低下を生じる状態をという。
- 2.
燃え尽き症候群の概念を体系化し、3つの構成要素を提唱した心理学者はである。
- 3.
Maslachによる燃え尽き症候群の3要素は、情緒的消耗感、脱人格化、である。
- 4.
仕事を通じて情緒的に力を出し尽くし、疲れ果てた状態をといい、バーンアウトの中核症状とされる。
- 5.
援助の受け手である患者や利用者に対して、無情で機械的、否定的・冷淡な態度をとるようになる状態をという。
- 6.
相手の感情に配慮しながら自分の感情を抑制して働く労働形態をといい、燃え尽き症候群のリスク因子となる。
- 7.
燃え尽き症候群の予防として、専門家から指導・助言を受け業務を振り返るの活用が有効である。
- 8.
仕事に対して活力・熱意・没頭をもって取り組める状態をといい、これを高めることがバーンアウト予防に有効である。
