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正常新生児期の経過と処置

母性看護学 / 新生児期・適応

解説

今回は正常新生児期の経過と処置について解説します。新生児期とは出生から生後28日未満までの期間を指し、なかでも生後7日未満を早期新生児期といいます。胎内環境から胎外環境へと急激に適応していくこの時期には、呼吸・循環・体温・代謝・消化など多くの生理的変化が起こります。看護師は正常な経過を理解し、異常との鑑別を行いながら必要な処置を実施することが求められます。

新生児のバイタルサインと正常所見

新生児のバイタルサインは成人とは大きく異なります。心拍数は120〜160/分、呼吸数は30〜60/分、体温は腋窩で36.5〜37.5℃が正常範囲です。在胎週数37週0日〜41週6日で出生した児を正期産児といい、出生体重が2500g以上4000g未満であれば正常範囲とされます。

出生直後の児の状態評価にはアプガースコアが用いられ、心拍数・呼吸・筋緊張・反射・皮膚色の5項目を0〜2点で採点します。生後1分値と5分値を測定し、8〜10点が正常、4〜7点が軽度仮死、0〜3点が重度仮死と判定されます。

生理的体重減少

出生後、新生児は哺乳量よりも不感蒸泄や胎便・尿の排出量が多いため、一時的に体重が減少します。これを生理的体重減少といい、出生体重の5〜10%以内に収まれば正常です。多くは生後3〜4日に最低体重となり、生後7〜10日ごろに出生体重まで回復します。10%を超える減少は脱水や哺乳不足を疑います。

便の性状の変化

新生児の便は時期によって性状が変化します。生後1〜2日の便は胎便とよばれ、暗緑色から黒色で粘稠です。これは胎児期に飲み込んだ羊水成分や腸管上皮細胞、胆汁などからなります。生後3〜5日になると胎便と乳便が混じった移行便となり、黄緑色を呈します。その後、母乳栄養児では黄色〜卵黄色の普通便に移行します。胎便の排出が生後24〜48時間以内にみられないときは、ヒルシュスプルング病や腸閉鎖などを疑います。

新生児の原始反射

新生児には大脳皮質の発達が未熟なため、脳幹・脊髄レベルで生じる原始反射がみられます。代表的なものに、手掌に物が触れると握り締める把握反射、口に触れたものを吸う吸啜反射、頬を刺激すると刺激側に顔を向ける探索反射、突然の刺激で両上肢を伸展させて抱きつくように戻すモロー反射、足底を支えると交互に足を出す自動歩行、頭を一方に向けると同側の上下肢が伸展し反対側が屈曲する緊張性頸反射などがあります。これらは生後数か月以内に消失し、消失しない場合は中枢神経の異常を疑います。

新生児黄疸

新生児では肝臓のグルクロン酸抱合機能が未熟であり、加えて赤血球寿命が短く赤血球量も多いため、間接ビリルビンが過剰に産生され血中に蓄積します。これにより皮膚や眼球結膜が黄染する現象を新生児黄疸といいます。

生理的黄疸

生理的黄疸は新生児の約9割にみられる正常な経過です。生後2〜3日に出現し、生後4〜5日ごろにピークとなり、7〜14日で自然に消退します。黄染は顔面から始まり体幹・四肢へと進行し、回復時は逆の順序で消退します。哺乳良好・全身状態安定であれば治療は不要です。

病的黄疸

生後24時間以内に出現する黄疸を早発黄疸といい、血液型不適合溶血などが原因となります。生後2週間以上持続するものは遷延性黄疸とよばれ、母乳性黄疸や胆道閉鎖症などを考慮します。総ビリルビン値が日齢・体重別の基準を超えると、核黄疸(ビリルビン脳症)を予防するため光線療法や交換輸血が行われます。

新生児に必須の処置

ビタミンK2シロップの投与

新生児はビタミンKが不足しやすく、不足すると新生児メレナ(消化管出血)や、より重篤な乳児ビタミンK欠乏性出血症(頭蓋内出血を起こしうる)の原因となります。これを予防するため、すべての新生児にビタミンK2シロップを経口投与します。投与時期は出生後の初回哺乳時、産科退院時、生後1か月健診時の計3回が標準で、母乳栄養児ではビタミンKが不足しやすいため生後3か月まで毎週投与する方法も推奨されています。

先天性代謝異常等検査

生後4〜6日ごろに足底から採血して行う新生児マススクリーニングでは、フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症、先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎過形成症などが調べられます。

まとめ

正常新生児では心拍数120〜160/分、呼吸数30〜60/分が基準となり、生理的体重減少は5〜10%以内、便は胎便から移行便を経て普通便へと変化します。原始反射の存在と消失時期、生理的黄疸の出現時期(生後2〜3日)とピーク(4〜5日)の理解は国試頻出です。退院時にはビタミンK2シロップの投与と新生児マススクリーニングが重要な予防的処置となります。正常経過を正確に把握できることが、病的状態の早期発見につながります。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    新生児期のうち、出生から生後7日未満までを期という。

  2. 2.

    出生直後の児の状態評価には、心拍数・呼吸・筋緊張・反射・皮膚色の5項目を採点するが用いられる。

  3. 3.

    新生児の心拍数の正常範囲は/分である。

  4. 4.

    出生後、不感蒸泄や胎便・尿の排出によって出生体重の5〜10%以内で一時的に体重が減少する現象をという。

  5. 5.

    生後1〜2日にみられる暗緑色から黒色で粘稠な新生児の便を便という。

  6. 6.

    新生児で手掌に物が触れると握り締める原始反射をという。

  7. 7.

    新生児黄疸は、肝臓の機能の未熟さと赤血球寿命の短縮により間接ビリルビンが上昇して生じる。

  8. 8.

    生理的黄疸は生後日に出現し、4〜5日でピークを迎え、7〜14日で自然に消退する。

  9. 9.

    生後24時間以内に出現する黄疸を黄疸といい、血液型不適合溶血などの病的黄疸を疑う。

  10. 10.

    新生児メレナや乳児ビタミンK欠乏性出血症を予防するため、出生後・退院時・1か月健診時に経口投与されるのはである。

正常新生児期の経過と処置」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。