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前置胎盤と帝王切開ケア

母性看護学 / 妊娠合併症・異常妊娠

解説

前置胎盤とは、胎盤が正常より低い位置に付着し、内子宮口を覆うかその辺縁にかかる状態をいいます。今回は前置胎盤の病態と帝王切開術前後の看護について解説します。

前置胎盤の定義と分類

胎盤は通常、子宮体部の前壁または後壁に付着しますが、何らかの要因で子宮下部に付着し内子宮口にかかると前置胎盤となります。発生頻度は全妊娠の約0.3〜0.5%です。分類は内子宮口との位置関係によって四つに分けられます。胎盤が内子宮口を完全に覆うものを全前置胎盤、一部を覆うものを部分前置胎盤、辺縁が内子宮口に達するものを辺縁前置胎盤、内子宮口に達しないものの子宮下節に付着するものを低置胎盤と呼びます。覆う面積が大きいほど出血量が多くなり、母児の予後は不良になりやすくなります。

リスク因子

リスク因子には、高年妊娠、多産婦、帝王切開や子宮筋腫核出術などの子宮手術既往、人工妊娠中絶や流産の既往、喫煙、多胎妊娠などがあります。帝王切開の既往回数が増えるほど発症率が高まり、癒着胎盤の合併リスクも上がります。

症状と診断

典型症状は妊娠後期にみられる突然の無痛性性器出血で、警告出血(warning bleeding)と呼ばれます。妊娠28週以降に子宮下節が伸展することで胎盤が部分的に剥離し出血が起こります。疼痛と子宮硬直を伴う常位胎盤早期剥離との鑑別が重要で、前置胎盤は無痛性、早期剥離は有痛性が特徴です。診断は経腟超音波検査によって胎盤と内子宮口の位置関係を確認します。内診は出血を誘発するため禁忌です。

妊娠期の管理と分娩方針

出血がなくても安静を保ち、出血時はただちに入院管理とします。胎児の肺成熟を促す副腎皮質ステロイドの投与や、子宮収縮抑制薬が用いられることもあります。全前置胎盤や部分前置胎盤では経腟分娩は禁忌で、原則として妊娠37週前後に予定帝王切開を行います。癒着胎盤が疑われる場合は子宮全摘術の可能性も含めて説明し、同意を得ておきます。

帝王切開の術前準備

前置胎盤の帝王切開は通常の帝王切開より出血量が多く、2,000mlを超える大量出血や産科危機的出血をきたしやすいハイリスク手術です。術前日には絶飲食の指示、剃毛・皮膚消毒、深部静脈血栓予防の弾性ストッキング装着、新生児蘇生の準備に加え、輸血用血液製剤の準備状況の再確認が最重要となります。自己血貯血や交差適合試験済みの複数単位の血液確保、産科危機的出血対応プロトコルの確認が標準です。

術後の看護

術後は子宮復古の観察として子宮底の高さ・硬度、悪露の量と性状、後陣痛の有無を確認します。創部の感染徴候、バイタルサインの変動、尿量、ヘモグロビン値などをモニタリングし、弛緩出血の早期発見に努めます。深部静脈血栓症予防のため早期離床と下肢の運動を促し、疼痛コントロールを行いながら授乳支援を進めます。出血性ショックの徴候として頻脈、血圧低下、皮膚蒼白、冷汗、乏尿、意識レベル低下を見逃さないようにします。

心理的ケア

予定帝王切開で出産した褥婦は、経腟分娩への憧れを断たれた喪失感や「産んだ実感がない」という感情を抱くことがあります。これは正常な心理過程であり、産後3〜5日頃を目安にバースレビューを行い、妊娠から出産までの体験を傾聴し肯定的に意味づけ直す援助が母親役割獲得を促します。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    胎盤が内子宮口を完全に覆う状態を【 】胎盤という。

  2. 2.

    前置胎盤の典型的な症状は妊娠後期の突然の【 】性性器出血である。

  3. 3.

    前置胎盤の診断には経腟【 】検査が用いられる。

  4. 4.

    前置胎盤では出血を誘発するため【 】は禁忌である。

  5. 5.

    全前置胎盤の分娩方法は原則として【 】である。

  6. 6.

    前置胎盤の予定帝王切開は通常妊娠【 】週前後に行われる。

  7. 7.

    疼痛と子宮硬直を伴う性器出血をきたす疾患は【 】である。

  8. 8.

    帝王切開術後の深部静脈血栓症予防として早期【 】を促す。

  9. 9.

    産後の出産体験を傾聴し肯定的に意味づけ直す援助を【 】という。

前置胎盤と帝王切開ケア」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。