分娩第1期の進行と疲労
母性看護学 / 分娩期・分娩経過
解説
分娩第1期とは、規則的な陣痛が発来してから子宮口が全開大(10cm)となるまでの時期をいいます。今回は分娩第1期の進行の特徴、胎児心拍数陣痛図(CTG)の読み取り、そして産婦の疲労に対する看護について解説します。
分娩の経過と分娩第1期
分娩は経過によって4期に分けられ、分娩第1期は開口期ともよばれます。開始の目安となる陣痛は、10分以内の周期で規則的に発来する子宮収縮、もしくは1時間に6回以上の子宮収縮と定義されます。陣痛が始まった当初は間欠時間が長く発作時間が短いのですが、分娩が進行するにつれて発作時間は長くなり、間欠時間は短くなっていきます。
分娩第1期は、子宮口の開大度によってさらに潜伏期と活動期に分けられます。潜伏期は陣痛発来から子宮口が3〜4cm開大するまでの時期で、子宮口の開大はゆっくり進みます。活動期はそれ以降、全開大に至るまでの時期で、子宮口の開大が急速に進みます。初産婦の分娩所要時間は平均12〜15時間で、経産婦と比べて潜伏期が長引きやすいのが特徴です。
胎児心拍数陣痛図(CTG)の読み取り
胎児心拍数陣痛図(CTG;cardiotocogram)は、胎児の心拍数と子宮収縮を同時に連続記録するもので、胎児の状態(well-being)を評価するうえで欠かせない検査です。標準の紙送り速度は3cm/分であり、横軸は1cmが20秒、1マス(1cm)が1分に相当します。
胎児心拍数基線は、10分間の心拍数の平均値で評価します。正常範囲は110〜160bpmで、110bpm未満を徐脈、160bpmを超えるものを頻脈といいます。子宮収縮に伴って一過性に心拍が低下する一過性徐脈には、早発一過性徐脈・遅発一過性徐脈・変動一過性徐脈・遷延一過性徐脈の4種類があります。なかでも、子宮収縮のピークから遅れて心拍数が緩やかに下降し、収縮の終了後に基線へ戻る遅発一過性徐脈は、胎盤機能不全による胎児の低酸素状態を示すサインであり、胎児機能不全を強く疑う所見です。
分娩第1期の産婦への看護
分娩第1期は分娩所要時間のなかで最も長く、産婦は身体的にも精神的にも疲労しやすい時期です。疲労や脱水は子宮収縮を弱め、微弱陣痛の原因となって分娩進行を遅延させるため、体力の温存が看護の最重要課題となります。陣痛間欠時には眠れるうちに休息をとり、リラクセーションや呼吸法、自分が楽だと感じるフリースタイルの体位(側臥位・四つん這い・座位など)で過ごせるよう援助します。
また、分娩第1期のケアでは、ただ安静に寝かせておくのではなく、能動的なリラクセーションを促すことが推奨されます。具体的なケア技法として、足浴や腰背部への温罨法は、産婦の循環を促進して身体的・精神的な緊張を和らげ、陣痛による疼痛緩和にも効果的な援助です。これらは産婦自身がリラックスして分娩に向き合えるようにする支援であり、過度な臥床安静よりも積極的に取り入れていきます。
また、長時間の分娩に備えてエネルギーを補給することも大切です。経口摂取が可能な状態であれば、水分や炭水化物中心の軽食の摂取を妨げず、むしろ積極的に促します。発汗による脱水を防ぎ、エネルギー切れによる微弱陣痛を予防するためです。陣痛発作時には産婦に寄り添い、間欠時には静かな環境を整えて休息を促すことが、分娩進行を円滑にする看護援助となります。
まとめ
分娩第1期は陣痛発来から子宮口全開大までの時期で、潜伏期と活動期に分けられ、初産婦では平均12〜15時間を要します。胎児心拍数陣痛図では、紙送り速度3cm/分のもと、基線110〜160bpmを正常とし、遅発一過性徐脈は胎児機能不全のサインとして重要です。産婦への看護では、疲労と脱水が微弱陣痛を招くことを念頭に、間欠時の休息、リラクセーション、安楽な体位、足浴・温罨法といった能動的なケア、水分・炭水化物の補給を支援し、体力を温存させることが分娩進行を支える鍵となります。
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- 1.
分娩第1期は陣痛発来から子宮口までの時期をいい、別名とよばれる。
- 2.
陣痛は分以内の周期で規則的に発来する子宮収縮と定義され、進行するにつれて発作時間は、間欠時間はなっていく。
- 3.
分娩第1期は子宮口の開大がゆっくり進むと、急速に進むに分けられ、初産婦の分娩所要時間は平均時間である。
- 4.
胎児心拍数陣痛図(CTG)の標準紙送り速度はcm/分で、横軸1cmは秒、1マス(1cm)は分を表す。
- 5.
胎児心拍数基線の正常範囲はbpmであり、これを下回るものを、上回るものをという。
- 6.
一過性徐脈には早発・・変動・の4種類があり、このうちは胎児機能不全のサインとされる。
- 7.
分娩第1期において産婦の疲労や脱水は子宮収縮を弱め、の原因となって分娩進行を遅延させる。
- 8.
分娩第1期の産婦には、陣痛間欠時の、リラクセーション、呼吸法、体位、水分・の摂取を促し、体力の温存を図る。
- 9.
分娩第1期のケアでは安静よりも能動的リラクセーションが推奨され、循環促進と疼痛緩和に有効なや腰背部へのを積極的に取り入れる。
