妊娠週数算出とレオポルド触診
母性看護学 / 妊娠期診断・健康管理
解説
妊娠週数の算出とレオポルド触診法は、妊婦健診において妊娠経過と胎児の状態を把握するための基本的な技術です。今回は妊娠週数の数え方、妊娠時期の区分、レオポルド触診法、胎児心音聴取、そして母親役割獲得過程について解説します。
妊娠週数の数え方
妊娠週数は、最終月経の初日を0週0日とし、その翌日から1日ずつ加算して数えます。7日で1週となり、妊娠期間は満週数で表します。妊娠週数が正確であることは、分娩予定日や胎児発育の評価、各種スクリーニング時期の判断に不可欠です。
ネーゲレ概算法
分娩予定日を算出する代表的な方法がネーゲレ概算法です。最終月経開始月に9を加える(または3を引く)、開始日に7を加えることで予定日を算出します。たとえば最終月経が4月1日であれば、月は1月(4+9=13→翌年1月)、日は8日(1+7)となり、分娩予定日は翌年1月8日となります。妊娠期間は最終月経初日から数えて280日、すなわち妊娠40週0日が分娩予定日です。
週数算出と超音波補正
受診日から妊娠週数を求める場合は、最終月経初日から受診日までの日数差を7で割り、商を週、余りを日数とします。月経周期が不順な場合や排卵日が不明な場合は、妊娠初期に超音波検査で**頭殿長(CRL)**を測定し、予定日を補正することが一般的です。
妊娠時期の区分
妊娠期間は分娩時期によって区分されます。妊娠22週未満で妊娠が終了した場合は流産、22週0日から36週6日までの分娩は早産、37週0日から41週6日までの分娩は正期産、42週0日以降の分娩は過期産と呼びます。正期産で出産できるよう妊婦健診で経過を観察します。
レオポルド触診法
レオポルド触診法は腹壁の上から子宮を触診し、胎位・胎向・胎勢、子宮底高、先進部の状態などを評価する基本的な手技です。第1段法から第4段法まで順に行います。
各段法の手順と所見
第1段法では子宮底を触診し、子宮底高と子宮底にある児の部位を確認します。第2段法では両側腹部を触診し、児背の方向と小部分(四肢)の位置を確認します。第3段法では恥骨上を片手で把握し、先進部を確認します。第4段法では母体の足側を向き、骨盤入口部を両手で触診して先進部の固定度や骨盤への進入度を評価します。
児頭は硬く丸みがあり浮球感を触知できます。一方、臀部は柔らかく不整で浮球感はありません。この違いから先進部の判別を行います。
胎位・胎向・胎勢
胎位は児の縦軸と母体縦軸の関係で、児頭が先進する頭位、臀部が先進する骨盤位、横位などに分類されます。胎向は児背の方向を示し、児背が母体の左側にある場合を第1胎向、右側にある場合を第2胎向といいます。胎勢は胎児の姿勢を表し、屈位や反屈位に分けられます。
胎児心音の聴取部位
胎児心音は児背側で最もよく聴取されます。頭位の場合は臍と前上腸骨棘を結ぶ臍棘線上で聴取し、骨盤位では臍より上方で聴取されます。第1胎向頭位では左下腹部、第2胎向頭位では右下腹部が聴取部位となります。レオポルド触診で胎位・胎向を確認したうえで聴取部位を決定します。
Rubinの母親役割獲得過程
Rubinは妊娠中から産後にかけての母親役割獲得を5段階で示しました。第1段階は模倣(mimicry)で、他の母親の行動を真似ます。第2段階はロールプレイで、実際に育児行動を試みます。第3段階は空想(fantasy)で、自分が子育てしている場面を思い描きます。第4段階は取り込み・投影・拒絶、第5段階は**悲嘆作業(grief work)**で、これまでの役割を手放す過程です。これらは直線的に進むのではなく、行き来しながら獲得されます。妊娠末期に空想段階が現れることは順調な心理適応の表れとされます。
妊婦健診における看護師の役割
看護師は妊娠週数の正確な算出、レオポルド触診と心音聴取による胎児評価、そして妊婦の心理的変化への理解と支援を通じて、母児の健康を見守ります。身体的所見と心理的状態を統合的に把握することが重要です。
まとめ
妊娠週数の算出は最終月経初日を0週0日とし、ネーゲレ概算法で予定日を求めます。妊娠時期は流産・早産・正期産・過期産に区分されます。レオポルド触診では胎位・胎向・胎勢を評価し、児頭の浮球感や児背の方向から胎児心音聴取部位を決定します。さらにRubinの母親役割獲得過程を理解することで、妊婦の心理面にも寄り添った支援が可能となります。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
妊娠週数は最終月経の初日をとして数え、1週は日である。
- 2.
ネーゲレ概算法では、最終月経開始月にを加え、開始日にを加えて分娩予定日を算出する。
- 3.
分娩予定日は最終月経初日から数えて280日、すなわち妊娠である。
- 4.
妊娠22週未満は、22週0日から36週6日までは、37週0日から41週6日までは、42週0日以降はという。
- 5.
レオポルド触診法の段法では子宮底を触診し、段法では恥骨上を触診して先進部を確認する。
- 6.
児頭は硬く丸くを触知でき、臀部は柔らかく不整で浮球感はない。
- 7.
児背が母体の左側にある場合を第胎向、右側にある場合を第胎向という。
- 8.
胎児心音は側で最もよく聴取され、頭位の場合は臍と前上腸骨棘を結ぶ上で聴取する。
- 9.
Rubinの母親役割獲得過程の第3段階は(fantasy)であり、最終段階は(grief work)である。
