思春期の無月経と二次性徴
母性看護学 / 女性のライフサイクル・性周期
解説
今回は思春期の無月経と二次性徴について解説します。思春期はホルモン調節の活性化により性成熟が一気に進む時期ですが、そのバランスが乱れると月経異常が生じやすくなります。国試では、二次性徴の順序、月経発来の仕組み、無月経の定義、低エストロゲン状態による身体への影響が繰り返し問われます。
思春期の二次性徴と月経発来の仕組み
思春期とは第二次性徴の出現から性成熟が完成するまでの時期で、女子ではおおむね8〜9歳ごろに始まります。中心となる仕組みが**視床下部‐下垂体‐卵巣系(HPO軸)の活性化です。視床下部からゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)**がパルス状に分泌されると、下垂体前葉から卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が放出されます。これらが卵巣に作用してエストロゲンとプロゲステロンが分泌され、子宮内膜の増殖と剥脱により月経が発来します。GnRHは思春期発来と月経開始の起点となるホルモンです。
二次性徴の出現順序
Tannerの性成熟度分類では、女子の二次性徴は乳房発育→陰毛発生→初経の順に進むのが標準です。初経の平均年齢は約12歳で、身長の急激な伸び(成長スパート)は初経の約1〜2年前にピークを迎えます。男子の二次性徴は女子より約2年遅れ、精巣容積の増大から始まります。女子8歳未満・男子9歳未満で二次性徴が出現すれば思春期早発症、女子13歳・男子14歳を超えても出現しなければ思春期遅発症として精査が必要です。
無月経の定義と体重減少性無月経
無月経のうち、これまで規則的にあった月経が3か月以上停止した状態を続発性無月経といいます。原因の位置により視床下部性・下垂体性・卵巣性・子宮性に分類され、思春期女性ではストレスや急激な体重減少を誘因とする視床下部性が多くを占めます。 体重減少性無月経は、過度なダイエットや摂食障害による急激な体重減少(短期間で標準体重の10〜15%以上、またはBMI17.5未満が目安)をきっかけに、視床下部がGnRHのパルス分泌を抑制して発症する視床下部性の排卵障害です。その結果LH・FSHの分泌が減り、卵巣からのエストロゲン分泌も低下します。利用可能エネルギー不足・無月経・骨粗鬆症からなる女性アスリート三徴と重なる病態でもあります。
低エストロゲン状態と骨への影響
エストロゲンは破骨細胞の活動を抑制して骨量を保つ働きを持つため、低エストロゲン状態が長期化すると破骨細胞の活性が高まり骨吸収が促進されます。骨形成を骨吸収が上回る状態が続くと、若年性骨粗鬆症や疲労骨折のリスクが高まります。骨量は思春期から20歳前後にかけてピークに達するため、この時期に低エストロゲンが続くと最大骨量が十分に形成されず、生涯にわたり骨折リスクを抱えることになります。長期無月経で「増加するもの」として骨吸収を選ばせる出題は国試頻出です。看護では体重・食習慣・運動量・ストレスを丁寧に問診し、適正体重への回復と心理的支援を中心に早期介入することが、卵巣機能と骨量を守る鍵となります。
まとめ
思春期ではGnRHを起点にFSH・LHが放出され、卵巣からエストロゲンが分泌されて月経が発来します。二次性徴は乳房発育・陰毛発生・初経の順で進み、成長スパートは初経の1〜2年前がピークです。続発性無月経は3か月以上の月経停止と定義され、思春期ではストレスと急激な体重減少が主因となります。低エストロゲン状態が長引くと骨吸収が促進されて骨粗鬆症リスクが上昇する点を関連づけて押さえましょう。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
これまでに月経があった女性で、月経が以上停止した状態を続発性無月経という。
- 2.
思春期に視床下部からパルス状に分泌され、下垂体前葉を刺激してFSHとLHの放出を促すホルモンをという。
- 3.
女子の二次性徴は、乳房発育→→初経の順に出現するのが標準である。
- 4.
女子の身長の急激な伸び(成長スパート)は、の約1〜2年前にピークを迎える。
- 5.
急激な体重減少をきっかけに視床下部からのGnRH分泌が抑制されて発症する視床下部性排卵障害をという。
- 6.
体重減少性無月経では視床下部‐下垂体‐卵巣系が抑制され、卵巣からの分泌が低下する。
- 7.
エストロゲンは破骨細胞の働きを抑制するため、低エストロゲン状態が長期化するとが促進され、若年性骨粗鬆症のリスクが高まる。
- 8.
女子では歳未満で二次性徴が出現する場合、思春期早発症として精査が必要である。
