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妊娠中の母体生理的変化

母性看護学 / 妊娠期診断・健康管理

解説

妊娠中の母体生理的変化とは、胎児の発育と分娩・授乳に備えて、母体の各臓器に生じる適応的な変化のことです。今回は妊娠中の母体生理的変化について、ホルモン、循環、血液、呼吸、消化器、泌尿器、その他の順に解説します。

ホルモンの変化

妊娠が成立すると、まず**hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)**が絨毛から分泌され、妊娠5〜10週頃にピークを迎えます。hCGは黄体を維持し、プロゲステロン分泌を支えます。プロゲステロンとエストロゲンは胎盤の発達とともに増加し、妊娠末期まで上昇を続けます。プロゲステロンは平滑筋を弛緩させる作用を持ち、リラキシンは骨盤の靱帯を緩めて分娩に備えます。

循環器系の変化

循環血液量は妊娠経過とともに増加し、28〜32週頃に最大となり非妊時の約1.3〜1.5倍に達します。心拍出量は妊娠24週頃までに約30〜50%増加し、心拍数も10〜15回/分増加します。血圧は妊娠中期にかけてやや低下し、末期にやや上昇します。子宮が増大すると仰臥位で下大静脈が圧迫され、静脈還流が減少して血圧低下や気分不快をきたす仰臥位低血圧症候群が生じやすくなります。

血液系の変化

血漿量の増加が赤血球量の増加を上回るため、相対的にヘモグロビン濃度が低下する生理的(希釈性)貧血がみられます。また、凝固因子が増加し凝固能が亢進するため、深部静脈血栓症(DVT)や肺塞栓症のリスクが高まります。

呼吸器系・消化器系・泌尿器系の変化

呼吸では1回換気量と呼吸数が増加し、機能的残気量は低下します。消化器ではプロゲステロンによる平滑筋弛緩で胃酸逆流や便秘が起こりやすくなります。泌尿器では腎血流量と糸球体濾過量(GFR)が約50%増加し、子宮の増大による膀胱圧迫から頻尿がみられます。

その他の変化

皮膚では乳輪・外陰部・正中線などに色素沈着が生じ、代謝面ではインスリン抵抗性が増して妊娠糖尿病のリスクが上がります。体重増加はBMIに応じて適正範囲を守ることが推奨されます。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    妊娠中の母体の循環血液量は、妊娠28〜32週頃に最大となり、非妊時の約倍に達する。

  2. 2.

    妊娠中は血漿量の増加が赤血球量の増加を上回るため、相対的にヘモグロビン濃度が低下するがみられる。

  3. 3.

    妊娠初期に絨毛から分泌され、妊娠5〜10週頃にピークを迎えるホルモンはである。

  4. 4.

    妊娠中は子宮増大により下大静脈が圧迫され、静脈還流が減少して血圧が低下するが起こりやすい。

  5. 5.

    妊娠中は腎血流量およびが約50%増加する。

  6. 6.

    プロゲステロンによる平滑筋弛緩作用により、妊婦ではが起こりやすくなる。

妊娠中の母体生理的変化」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。