新生児の生理的体重減少
母性看護学 / 新生児期・適応
解説
今回は新生児の生理的体重減少について解説します。
新生児の胎外生活適応
新生児とは、生後28日未満の児を指します。出生を境に、児は胎盤からの栄養供給を絶たれ、肺呼吸・経口哺乳・自前の体温調節へと一気に切り替わります。この適応の過程で、いったん体重が減少してから再び増加に転じるという特徴的な経過をたどります。これを生理的体重減少といい、異常ではなく正常な生理現象として理解しておく必要があります。
生理的体重減少とは
生理的体重減少とは、新生児が出生直後に経験する一時的な体重減少のことです。出生後数日のうちに最低値となり、その後元の出生時体重まで回復していきます。 機序としては、出生直後は哺乳量がまだ十分に確保できない一方で、胎便や尿の排泄、皮膚や呼気からの不感蒸泄による水分喪失が続くため、摂取量より喪失量が上回ることが挙げられます。さらに、胎内で多めに保持されていた細胞外液量が生理的に減少することも重なって、見かけ上の体重が落ちていきます。母乳分泌が軌道に乗り、哺乳量が増えてくると体重は再び増加に転じます。
体重減少率の計算式
体重減少の程度は割合(%)で評価します。計算式は次の通りです。 体重減少率(%)=(出生時体重−現在の体重)÷出生時体重×100 たとえば出生時3,200gの児が日齢3で3,100gになった場合、(3,200−3,100)÷3,200×100=約3.1%となります。出生時3,100gの児が日齢3で3,000gであれば、(3,100−3,000)÷3,100×100=約3.2%です。分母は必ず出生時体重であり、前日の体重ではない点に注意します。
正常範囲と経過
生理的体重減少の程度は、出生時体重の5〜10%以内にとどまるのが正常であり、目安として10%を超えないことが基準となります。最低体重に達するのは生後3〜5日ごろで、その後は哺乳量の増加とともに体重が回復し、生後7〜10日(遅くとも2週間以内)に出生時体重に戻ります。早産児や低出生体重児では、より大きな減少が見られることがあります。
病的体重減少の判定
体重減少が10%を超える場合、あるいは生後10日を過ぎても出生時体重に戻らない場合は、生理的範囲を超えた病的な体重減少と判断します。背景には母乳不足、尿崩症、副腎皮質機能不全、消化器疾患、感染症などが隠れていることがあり、原因検索が必要になります。
同時に観察すべき項目
体重だけでなく、哺乳量(母乳の授乳回数や時間、ミルクの量)、排尿回数、排便回数と性状、皮膚の弾力、活気、バイタルサインを併せて評価します。とくに排尿回数は1日6回以上あることが哺乳量充足の目安となり、これを下回る場合は脱水や哺乳不足を疑います。
同時期にみられる新生児の変化
生理的体重減少の時期には、ほかにも生理的な変化がみられます。生理的黄疸は生後2〜5日でピークとなり、1〜2週間で軽快します。また、新生児出血症(ビタミンK欠乏性出血症)を予防するため、ビタミンK2シロップが出生時・生後1週・1か月健診の3回(または週1回など)投与されます。これらの変化は体重減少の時期と重なるため、合わせて理解しておくと国試で問われた際に混乱しません。
まとめ
生理的体重減少は、不感蒸泄や胎便・尿の排泄、細胞外液の減少によって生じる正常な現象です。減少の程度は出生時体重の10%以内、最低体重は生後3〜5日、出生時体重への回復は生後7〜10日が基準となります。10%を超える減少や、10日を過ぎても回復しない場合は病的と判断し原因を検索します。体重減少率の計算式と、同時期の生理的黄疸・ビタミンK2投与もあわせて押さえることが、国試対策のポイントです。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
新生児が出生後に一時的に体重が減ったあと回復していく正常な現象をという。
- 2.
生理的体重減少の程度は、出生時体重の%以内が正常範囲とされる。
- 3.
生理的体重減少で最低体重に達するのは生後日ごろである。
- 4.
生理的体重減少からの回復、すなわち出生時体重に戻るのは生後日ごろである。
- 5.
体重減少率(%)は、(出生時体重−現在の体重)÷×100で求められる。
- 6.
生理的体重減少の機序として、皮膚や呼気から水分が失われると胎便・尿の排泄が挙げられる。
- 7.
哺乳量充足の目安として、新生児の1日の排尿回数は回以上あることが望ましい。
- 8.
生理的体重減少と同時期にみられ、生後2〜5日でピークとなる新生児の皮膚の黄染をという。
- 9.
新生児出血症の予防のため、出生時・生後1週・1か月健診の3回投与されるのはである。
