てんかんの看護
小児看護学 / 小児神経・運動器・発達障害
解説
今回はてんかんの看護について解説します。 てんかんとは、大脳のニューロン(神経細胞)が突発的に過剰な電気的興奮を起こすことで、けいれんや意識障害などの発作(てんかん発作)を反復する慢性の脳疾患です。発作を一度起こしただけでは診断されず、繰り返し起こることが診断の条件となります。看護では、発作時の安全確保、観察、服薬の継続支援、生活指導が中心となります。
てんかんの基礎知識
てんかんは小児から高齢者まで幅広い年代で発症します。原因が明らかでない特発性てんかんと、脳腫瘍・外傷・脳血管障害などが原因となる症候性てんかんに分けられます。診断には脳の電気活動を直接記録できる**脳波検査(EEG)**が最も重要であり、棘波・鋭波・棘徐波複合といった発作波の有無や局在から発作型を分類します。MRIなどの画像検査は構造的病変の検索に、血液検査は代謝性原因の除外に併用されますが、まず脳波で異常興奮を捉えることが診断の鉄則です。
発作型の分類
てんかん発作は、大脳の一部から始まる焦点発作(部分発作)と、最初から両側大脳半球が同時に興奮する全般発作に大別されます。全般発作の代表が強直間代発作で、全身が硬く突っ張る強直期と、四肢がガクガクと屈曲・伸展を繰り返す間代期からなります。発作中は呼吸が停止しチアノーゼを認めることがあり、発作後にはもうろう状態や健忘がみられます。欠神発作は数秒間の意識消失が特徴で、小児に多くみられます。
発作時の看護
発作時はまず安全の確保を最優先とします。患者を平らな場所に寝かせ、周囲の危険物を遠ざけ、頭部の下に柔らかい物を敷いて外傷を防ぎます。衣服やベルトを緩めて呼吸を妨げないようにし、嘔吐物による誤嚥を防ぐため側臥位にして気道を確保します。発作中に口の中に箸やタオルなどを入れることは、歯の損傷や窒息を招くため絶対に行いません。また、四肢を無理に押さえつけると骨折や脱臼の原因となるため避けます。発作の開始時刻と持続時間、発作型、意識状態、瞳孔、チアノーゼの有無を冷静に観察・記録することが重要です。
てんかん重積状態
発作が5分以上続く、または意識が回復しないまま発作を繰り返す状態をてんかん重積状態といいます。脳に不可逆的な障害を残す危険があるため、ジアゼパムなどの静脈内投与による速やかな発作停止が必要となる救急対応の対象です。
服薬と生活指導
てんかんの治療の基本は抗てんかん薬の規則的な服用です。薬の血中濃度を一定に保つことで発作が抑制されるため、自己判断による中断や減量は発作再発の最大の誘因となります。退院指導では、決められた時間に確実に内服を続けるよう本人と家族に強調します。 発作の誘因として、睡眠不足、過労、過換気、強い光刺激(テレビやゲームの光過敏)、発熱、ストレス、飲酒、服薬中断が知られています。十分な睡眠と規則正しい生活が予防の基本です。学童期の患児に対しては、発作のコントロール状況に応じて段階的に活動範囲を広げ、過度な制限は心理社会的発達を妨げるため避けます。安全が確保できる範囲での学校行事やレクリエーションへの参加を促し、学校との連携を図ることが大切です。
まとめ
てんかんは大脳の過剰な電気的興奮による発作を反復する慢性疾患であり、診断には脳波検査が最も重要です。発作型は焦点発作と全般発作に分類され、強直間代発作では強直期と間代期がみられます。発作時の看護は、安全確保・側臥位による誤嚥防止・観察記録が原則で、口の中に物を入れない・無理に押さえつけないことを徹底します。5分以上続く発作はてんかん重積状態として救急対応が必要です。退院指導では、規則的な服薬の継続と、睡眠不足・過労・光刺激などの誘因回避を伝え、患児の社会性を損なわない生活支援を行うことが看護の要点となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
てんかんとは、大脳のニューロンが突発的に過剰なを起こすことで発作を反復する慢性の脳疾患である。
- 2.
てんかんが疑われる患者に対し、診断のために最優先で行う検査はであり、棘波や鋭波などの発作波を確認する。
- 3.
てんかん発作は、大脳の一部から始まる焦点発作(部分発作)と、最初から両側大脳半球が興奮するに大別される。
- 4.
全身が硬く突っ張る強直期と、四肢の屈曲・伸展を繰り返す間代期からなる全般発作をという。
- 5.
発作時は嘔吐物による誤嚥を防ぐため、患者をにして気道を確保する。
- 6.
発作中に窒息や歯の損傷を招くため、口の中に箸やタオルなどをことが原則である。
- 7.
発作が5分以上続く、または意識が回復しないまま発作を繰り返す状態をといい、救急対応を要する。
- 8.
てんかん治療の基本は規則的なの服用であり、自己判断による中断は発作再発の最大の誘因となる。
- 9.
てんかんの発作誘因として、睡眠不足、過労、過換気、強い光刺激、発熱、ストレスのほか、が挙げられる。
