尿道下裂の手術と看護
小児看護学 / 小児腎・内分泌・代謝系
解説
尿道下裂(hypospadias)とは、胎生期の尿道形成過程の異常により、外尿道口が陰茎腹側にずれて開口する男児の先天奇形です。今回は尿道下裂の病態と手術、術前後の看護について解説します。
病態と分類
尿道下裂は男児の約300人に1人にみられる比較的頻度の高い先天異常で、外尿道口が本来の亀頭先端に開かず、陰茎の腹側から会陰部までのいずれかに開口します。開口部位により、亀頭型・冠状溝型を遠位型、陰茎幹型を中位型、陰嚢型・会陰型を近位型と分類し、遠位型ほど軽症、近位型ほど重症となります。
特徴的な所見として、外尿道口の異所開口、陰茎の腹側湾曲(chordee)、包皮の腹側欠損と背側余剰の三つが揃うことが多く、停留精巣など他の泌尿生殖器奇形を合併することもあります。症状としては尿線が腹側へ向かい、立位排尿が困難となります。
手術時期と術前管理
根治術である尿道形成術は、自我や羞恥心の発達への影響を避け、かつ麻酔リスクが落ち着く時期として、生後6か月から18か月頃、多くは1歳前後に行われます。陰茎皮膚や口腔粘膜などを用いて尿道を亀頭先端まで延長し、同時に陰茎の湾曲を矯正します。
手術までの待機期間に特別な日常ケアは不要ですが、乳児期は予防接種スケジュールが過密であり、手術前後の一定期間は接種を避ける必要があります。母親には予防接種のスケジュールを主治医と相談して調整するよう指導することが重要です。
術後の看護
術後は手術部位の安静と尿の創部外誘導のため、尿道カテーテルが留置されます。看護の最大のポイントは、カテーテルの開通性を維持することです。カテーテル周囲から尿が漏れる場合、それは凝血塊や粘液、屈曲によってカテーテルが閉塞し、行き場を失った尿が抵抗の少ない創部側へ押し出されているサインです。放置すると尿が縫合部に漏出し、縫合不全、尿道皮膚瘻、感染を引き起こすため、屈曲の確認やミルキングなど早急な開通確認が必要です。
そのほか、創部の腫脹・血腫・発赤・膿などの感染徴候の観察、排便による創部汚染の予防、疼痛コントロール、便秘による腹圧上昇の回避、抗菌薬投与の管理を行います。
退院後の生活指導
創部の瘢痕が安定するまでには3〜4週間を要し、術後約2週間で退院する時点では縫合部はまだ脆弱です。退院後の指導で特に重要なのは、腹ばい(うつ伏せ)の姿勢を避けることです。腹ばいでは陰茎が布団や衣類に押し付けられて擦れ、縫合部の離開、尿道皮膚瘻、感染の誘因となります。またがるおもちゃや硬い衣類も避けます。
おむつ交換をこまめに行い創部を清潔に保ち、入浴は医師の許可が出るまで控えます。尿線の向きや尿勢、排尿時の啼泣の有無を観察し、発熱や創部の異常があれば受診するよう伝えます。合併症として尿道皮膚瘻、尿道狭窄、再湾曲があり、外来での経過観察が欠かせません。思春期以降は整容面や性機能への不安が生じやすく、プライバシーへの配慮と継続的な心理社会的支援も大切です。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
尿道下裂は外尿道口が陰茎の側に開口する先天奇形である。
- 2.
尿道下裂のうち、亀頭型や冠状溝型は型に分類される。
- 3.
尿道下裂にしばしば合併する陰茎の腹側への湾曲をという。
- 4.
尿道形成術は精神発達や麻酔リスクを考慮し、多くは生後歳前後に行われる。
- 5.
手術前後はのスケジュールを主治医と相談して調整する必要がある。
- 6.
尿道形成術後に手術部位の安静と尿の誘導目的で留置されるのは尿道である。
- 7.
術後にカテーテル周囲から尿が漏れている場合、カテーテルのが最も疑われる。
- 8.
尿道形成術後の創部が安定するには約週間を要する。
- 9.
退院後は創部保護のため、(うつ伏せ)の姿勢を避けるよう指導する。
- 10.
術後の代表的な合併症として、尿道皮膚や尿道狭窄が挙げられる。
