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腸重積症

小児看護学 / 小児消化器疾患・先天性消化器奇形

解説

今回は腸重積症について解説します。

腸重積症とは

腸重積症とは、腸管の一部がその先の腸管の中に入り込んでしまう(陥入する)状態をいいます。たとえば靴下を裏返すように、口側の腸管が肛門側の腸管の内側に引き込まれることでトンネルのような二重構造が形成されます。陥入した腸管は周囲の腸管から圧迫されるため、まず静脈の還流(血液が心臓に戻る流れ)が障害され、粘膜の浮腫と出血が起こります。さらに時間が経つと動脈の血流まで途絶え、腸管壊死や穿孔に至る危険な疾患です。

好発年齢と原因

腸重積症は乳幼児に多い疾患で、生後4か月から2歳まで、特に生後6か月から1歳前後の乳児に好発します。性別では男児にやや多くみられます。この時期は離乳食の開始や上気道感染症・胃腸炎などのウイルス感染を契機として腸管リンパ組織(パイエル板)が腫脹し、これが先進部となって陥入を起こすことが多いと考えられています。多くは明らかな原因のない特発性ですが、2歳以上で発症した場合や非典型例ではメッケル憩室、ポリープ、悪性リンパ腫など器質的な先進部が隠れていることがあります。陥入の好発部位は小腸末端と大腸の境目にあたる回盲部で、回腸が盲腸・上行結腸へ入り込む回腸結腸型が最も多いとされます。

症状(乳児の三徴)

腸重積症の症状としては、次の三つが乳児の三徴として国試で頻出です。

間欠的啼泣(間欠的腹痛)

一つ目は間欠的啼泣です。健康に過ごしていた乳児が突然不機嫌になり、激しく泣いたかと思うと数分で泣き止んで一見落ち着き、また十数分後に泣き出すというパターンを繰り返します。これは陥入部の腸管が蠕動するたびに強い腹痛が周期的に出現するためで、言葉で痛みを訴えられない乳児では「周期的に激しく泣く」という形で現れます。

嘔吐

二つ目は嘔吐です。腸管の通過障害により内容物がうっ滞し、反射性に嘔吐が出現します。発症初期から認められることが多い症状です。

粘血便(イチゴゼリー様便)

三つ目はイチゴゼリー様便と呼ばれる粘血便です。陥入した腸管粘膜から漏れ出た血液と腸管粘液が混じり合い、いちごゼリーのような赤くてどろりとした便として排泄されます。発症から数時間経って現れることが多く、診断の決め手になる重要な所見です。

診断

診断には**腹部超音波検査(エコー)が第一選択として用いられます。陥入した腸管の断面像が同心円状の層構造として描出される所見をtarget sign(標的サイン)**といい、縦断像では腎臓のような形に見えるpseudokidney signも特徴的です。

治療

治療は発症からの時間と全身状態によって選択されます。発症から24時間以内で腸管壊死や穿孔がない場合は、高圧浣腸(空気や造影剤を肛門から圧をかけて注入し、陥入した腸管を押し戻す処置)による非観血的整復が第一選択となります。乳児では鎮静下に行うため、SpO2モニターによる呼吸状態の監視が必須です。発症から時間が経ち腸管壊死・穿孔が疑われる場合や、高圧浣腸で整復できない場合は開腹手術による整復・腸管切除が行われます。

整復後の経過と退院指導

高圧浣腸で整復が成功しても、24〜48時間以内を中心に数%から10%程度で再発することが知られています。そのため退院時には保護者に対し、間欠的啼泣・嘔吐・血便といった同じ症状が再び出現した場合はすぐに医療機関を受診するよう説明することが重要です。

まとめ

腸重積症は乳児に好発し、回盲部での陥入が多く、間欠的啼泣・嘔吐・イチゴゼリー様便を三徴とします。診断は超音波でのtarget signが決め手となり、発症早期であれば高圧浣腸で整復可能ですが、再発があり得るため退院後の観察と再受診の指導が欠かせません。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    腸重積症は腸管の一部がその先の腸管の中に入り込む疾患で、好発部位はである。

  2. 2.

    腸重積症の好発年齢は生後4か月からまでで、特に乳児期後半に多くみられる。

  3. 3.

    腸重積症の乳児の三徴は、間欠的啼泣、嘔吐、そしてである。

  4. 4.

    腸重積症で激しく泣いたり泣き止んだりを繰り返す症状をといい、周期的な腹痛を反映している。

  5. 5.

    腸重積症の診断で第一選択となる画像検査はであり、同心円状の所見が特徴的である。

  6. 6.

    腹部超音波検査で陥入した腸管が同心円状に描出される所見をという。

  7. 7.

    発症から24時間以内で腸管壊死や穿孔がない腸重積症に対し、第一選択となる非観血的整復法はである。

  8. 8.

    高圧浣腸による整復後は24〜48時間以内を中心にする可能性があるため、同様の症状が出現したら速やかに受診するよう保護者に指導する。

腸重積症」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。