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扁桃摘出術の看護

小児看護学 / 小児循環器・呼吸器・その他

解説

今回は扁桃摘出術の看護について解説します。扁桃摘出術は耳鼻咽喉科領域で小児に多く行われる手術であり、術前のプレパレーション、術後疼痛の評価、後出血の観察と、看護師が押さえるべきポイントが明確に決まっています。国家試験では学童期の小児を題材として、発達段階に応じたかかわりとあわせて出題されることが多い項目です。

扁桃とは何か

扁桃とは咽頭の周囲に存在するリンパ組織の集まりで、口蓋扁桃、咽頭扁桃(アデノイド)、舌扁桃、耳管扁桃の四つから構成され、これらをまとめてワルダイエル咽頭輪とよびます。扁桃は乳幼児期から学童期にかけて生理的に肥大し、思春期以降に縮小していくのが通常の経過です。臨床で単に「扁桃」と表現する場合は、口を開けたときに口蓋垂の両側に観察できる口蓋扁桃を指すことが多く、扁桃摘出術もこの口蓋扁桃を摘出する手術を意味します。アデノイドが大きい場合は同時にアデノイド切除術が併施されることもあります。

扁桃摘出術の適応

扁桃摘出術が選択される代表的な適応は、反復性扁桃炎閉塞性睡眠時無呼吸症候群の二つです。反復性扁桃炎は急性扁桃炎を年に4回以上、2年以上にわたって繰り返すような場合が目安となります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、肥大した扁桃やアデノイドが気道を狭くすることで、夜間のいびきや無呼吸、日中の集中力低下、成長障害などを引き起こす病態で、小児では扁桃摘出術が第一選択の治療となります。このほか、扁桃周囲膿瘍を繰り返す症例、IgA腎症などの病巣感染が疑われる症例も適応となります。

術前のプレパレーション

小児に手術を受けてもらうにあたっては、発達段階に応じたプレパレーションが欠かせません。プレパレーションとは、医療処置を受ける子どもに対し、認知発達と情緒に合わせて事前の心理的・知的な準備を支援するケアのことです。

学童期への説明

学童期(おおむね6〜12歳)は具体的操作期にあたり、目に見える事実や因果関係を理解できる段階に入っています。そのためこの時期の子どもには、実際に体で起きていることと手術の目的を、抽象的な比喩ではなく具体的で正確な言葉で説明することが大切です。たとえば睡眠時無呼吸を伴う扁桃肥大の児には、「寝ているときに息が止まってしまうのを防ぐために手術をする」というように、自分の身体に生じている現象と手術の目的を結びつけて伝えます。あいまいな表現や、子どもをだますような説明、必要以上に怖がらせる表現は避けます。視覚教材や人形を用いて、麻酔から目覚めるまでの流れ、術後にのどが痛むこと、しばらく食事に制限があることなど、見通しを具体的に示すと安心感が得られます。

術後疼痛の評価

扁桃摘出術後はのどの創部痛、特に嚥下時痛が強く、経口摂取や水分摂取の妨げとなりやすい合併症の一つです。痛みの放置は脱水、低栄養、不機嫌、創部安静の不徹底にもつながるため、こまめな評価と鎮痛介入が必要です。

発達段階別の痛みスケール

小児の痛み評価では、発達段階に合わせて適切な痛みスケールを選びます。乳幼児や言語表現が難しい子どもにはFLACCスケール(表情、下肢、活動、啼泣、安静の5項目を他者が評価する方法)が用いられます。おおむね3歳以上ではWong-Bakerのフェイススケールが適しており、笑顔から泣き顔までの絵を見せて子ども自身に選んでもらいます。おおむね7〜8歳以上の学童では、0から10までの数字で痛みの強さを表す**NRS(数値評価スケール)**やVAS(視覚的アナログスケール)が使用可能です。痛みスケールを用いることで、痛みを主観的かつ視覚的に表現でき、経時的な変化や鎮痛薬の効果判定、スタッフ間での情報共有が容易になります。

術後出血の観察

扁桃摘出術で看護師が最も警戒すべき合併症は**術後出血(後出血)**です。発生頻度は数パーセント程度とされていますが、小児では循環血液量が少ないため少量の出血でも循環動態に大きな影響を及ぼし、気道閉塞や出血性ショックに発展する危険があります。

一次性出血と二次性出血

後出血は出現時期によって二つに分けられます。一次性出血は術後24時間以内に生じる出血で、手術操作に関連した止血不十分が原因となります。二次性出血は術後5〜10日ごろ、創部を覆っていた**痂皮(白苔)**が脱落する時期に生じやすく、退院後の家庭で発症することもあります。家族には退院後もこの時期に出血の徴候があれば直ちに受診するよう指導しておくことが重要です。

観察のポイント

扁桃摘出術後の創部は口腔内深部にあり、直接の視診で出血量を判断するのは困難です。そのため看護師は、出血が唾液に混じって出てくることを利用し、唾液の色(透明か、鮮紅色か、暗赤色か、凝血塊が混じっているか)を継続的に観察することが最も実用的です。あわせて、無意識に頻繁に唾液を飲み込む嚥下動作、口腔内へ流れた血液による嘔吐、顔面蒼白、頻脈、血圧低下、不穏など、出血を示唆する全身徴候にも注意します。創部安静のため、術後しばらくは大きな声を出さない、強くうがいをしない、熱い・硬い・刺激の強い食事を避けるなどの指導も行います。

まとめ

扁桃摘出術はワルダイエル咽頭輪のうち口蓋扁桃を摘出する手術で、反復性扁桃炎や閉塞性睡眠時無呼吸症候群が主な適応となります。看護では、学童期の児に対し具体的で正確な言葉を用いてプレパレーションを行うこと、術後の嚥下時痛を発達段階に応じた痛みスケールで評価すること、そして一次性出血と二次性出血を念頭に唾液の性状を中心に後出血を観察することが要点です。これらは国家試験で繰り返し問われる定番の組み合わせであり、適応、プレパレーションの考え方、痛み評価ツール、後出血の好発時期と観察方法をひとまとめにして整理しておくことが、得点につながります。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    扁桃摘出術の小児における主要な適応は反復性扁桃炎と、肥大した扁桃やアデノイドが気道を狭くすることで生じるである。

  2. 2.

    医療処置を受ける子どもに対し、発達段階に応じて認知的・情緒的な準備を支援するケアをという。

  3. 3.

    学童期の児に手術の説明を行う際は、抽象的な比喩ではなく、身体で実際に起きていることに即したで正確な言葉を用いることが適切である。

  4. 4.

    扁桃摘出術後は創部の嚥下時痛が強く、その評価には発達段階に応じたを用いることで、主観的な痛みを視覚的・経時的に把握できる。

  5. 5.

    おおむね7〜8歳以上の学童に用いられる、0から10までの数字で痛みの強さを評価する痛みスケールをという。

  6. 6.

    扁桃摘出術後に看護師が最も警戒すべき合併症は、術後創部からのである。

  7. 7.

    扁桃摘出術後の後出血のうち、術後24時間以内に発生するものを一次性出血、創部の痂皮が脱落する術後5〜10日ごろに発生するものをという。

  8. 8.

    扁桃摘出術後の創部は口腔内で直接視認が難しいため、後出血の早期発見にはの色(鮮紅色や凝血塊の有無など)を継続的に観察する方法が最も適切である。

扁桃摘出術の看護」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。