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先天性食道閉鎖症

小児看護学 / 小児消化器疾患・先天性消化器奇形

解説

先天性食道閉鎖症とは、胎生期の食道形成過程の異常により食道が途中で途切れ、口腔と胃が連続していない先天奇形のことをいいます。今回は先天性食道閉鎖症について、その病態・症状・診断・治療・看護の要点を解説します。

病態と分類

食道と気管は胎生4週ごろに原始前腸から分離して形成されますが、この過程が障害されると食道閉鎖や気管との間に異常な交通(気管食道瘻)が生じます。食道閉鎖症は約3,000〜4,500出生に1人の頻度で発生し、Gross(グロス)分類でA型からE型に分けられます。最も多いのはC型で、全体の約85%を占めます。C型は食道上部が盲端となり、食道下部が気管と瘻孔(気管食道瘻)を形成しているタイプです。盲端とは管の先が袋小路のように閉じている状態をいいます。

出生前の所見

胎児期には食道閉鎖により羊水を飲み込めないため、羊水過多となります。また胎児の胃に羊水が到達しないため、胎児超音波検査で胃胞陰影(胃のガス像)が見えないことも特徴です。羊水過多と胃胞欠如の組み合わせから出生前に本症が疑われることがあります。

出生直後の症状

出生直後の最も特徴的な所見は、口腔内の泡沫状唾液の流出です。食道が盲端であるため唾液を胃へ送ることができず、口腔・咽頭に唾液が貯留して泡(あわ)状になって口元から流れ出ます。古典的に「口からあぶくを吹く」と表現される所見で、本症を強く疑わせます。さらに、貯留した唾液が気道に流れ込むことで咳嗽(がいそう)やチアノーゼ、呼吸困難が出現します。C型では気管食道瘻を通じて胃液が肺に逆流し、誤嚥性肺炎を起こしやすい点も重要です。

診断

診断は、鼻腔または口腔から胃管(経鼻胃管)を挿入し、途中で進まずに食道盲端でとぐろを巻くコイルアップ徴候を胸部X線で確認することで確定します。気管食道瘻の有無により胃内のガス像の有無も判断材料となります。

術前管理と治療

診断がついたら、誤嚥性肺炎を予防するために上体挙上の体位をとり、食道盲端にダブルルーメンチューブ(持続吸引用カテーテル)を留置して唾液を持続吸引します。経口哺乳は禁忌です。根治術は新生児期に行われ、Gross C型では気管食道瘻切断と食道端々吻合術が標準術式です。状態によっては一期的に吻合せず、まず胃瘻を造設して栄養経路を確保し、後日に食道再建を行う段階的治療が選択されることもあります。

術後の看護

食道端々吻合術直後の数日間は、吻合部が縫合糸でつなぎ合わされているだけで組織の癒合が進んでいないため、物理的刺激に極めて弱い状態です。気道分泌物や唾液の吸引は誤嚥予防のため必須ですが、吸引チューブを深く進めると吻合部に接触し、縫合不全・後出血・瘻孔再開通の原因となります。そのため、吸引チューブの挿入長は医師の指示に従い、吻合部の手前で止めることが鉄則です。術後合併症としては縫合不全、吻合部狭窄、気管軟化症、胃食道逆流症(GERD)が重要で、特に吻合部狭窄は最も頻度が高く、繰り返し食道バルーン拡張術を要することがあります。

長期的な経過と社会生活支援

術後は吻合部狭窄に伴う嚥下困難や成長障害(低体重)が問題となることがあります。固形物の通過障害が残る幼児では、保育所などの集団生活において、児に適した食形態(刻み食や歯ぐきでつぶせる程度の軟らかい食事)が提供できるかを医療者・家族・保育所で事前に話し合い、安全な経口摂取と発達支援を両立させることが大切です。栄養士による食事指導や、緊急時・嘔吐時の対応を含めた個別支援計画の作成が推奨されます。

まとめ

先天性食道閉鎖症は、羊水過多と出生直後の口腔内泡沫状唾液で疑い、胃管のコイルアップ徴候で診断する新生児外科疾患です。Gross C型が最多で、誤嚥性肺炎予防のための上体挙上と持続吸引、新生児期の食道端々吻合術が治療の中心となります。術後は吻合部保護のための愛護的な吸引と、長期的には吻合部狭窄や成長への配慮が看護のポイントです。

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  1. 1.

    先天性食道閉鎖症のGross分類で最も頻度が高いのは型で、全体の約%を占める。

  2. 2.

    胎児期には食道閉鎖により羊水を飲み込めないため、がみられる。

  3. 3.

    出生直後の特徴的な所見は、口腔内のの流出である。

  4. 4.

    診断は胃管を挿入し、食道盲端でとぐろを巻く徴候を胸部X線で確認することで確定する。

  5. 5.

    術前は誤嚥性肺炎予防のための体位をとり、食道盲端をする。

  6. 6.

    Gross C型の根治術は、気管食道瘻切断と食道術である。

  7. 7.

    食道端々吻合術直後の吸引では、吸引チューブをの手前で止めることが重要である。

  8. 8.

    術後合併症として最も頻度が高いのはであり、食道術を繰り返し要することがある。

  9. 9.

    食道と気管の間に異常な交通が生じたものをという。

先天性食道閉鎖症」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。