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先天性心疾患の小児

小児看護学 / 小児循環器・呼吸器・その他

解説

今回は先天性心疾患の小児について解説します。先天性心疾患とは、胎児期の心臓形成過程の異常により、出生時にすでに心臓や大血管に構造的な異常を持って生まれてくる疾患の総称です。出生児の約100人に1人にみられる頻度の高い疾患群であり、小児領域の国試では分類・代表疾患・症状の特徴が頻繁に問われます。

先天性心疾患の分類

先天性心疾患は、皮膚や粘膜が青紫色になるチアノーゼの有無によって、大きく非チアノーゼ性心疾患チアノーゼ性心疾患の2つに分類されます。チアノーゼとは、血液中の還元(脱酸素化)ヘモグロビンが5g/dL以上に増加した際に出現する所見で、動脈血の酸素飽和度が低下した状態を反映します。

短絡(シャント)の方向

心臓内や大血管の異常な交通を短絡(シャント)といいます。正常では肺で酸素を取り込んだ動脈血が左心系を、全身から戻った静脈血が右心系を流れています。圧の高い左心系から右心系へ血液が流れる左→右短絡ではチアノーゼは出現しませんが、右→左短絡では静脈血がそのまま体循環へ流れ込むためチアノーゼが生じます。

非チアノーゼ性心疾患

代表的な疾患は心室中隔欠損症(VSD)、心房中隔欠損症(ASD)、動脈管開存症(PDA)です。いずれも左→右短絡を呈し、肺血流が増加します。心室中隔欠損症は先天性心疾患の中で最も頻度が高く、小欠損では無症状で自然閉鎖することもありますが、大欠損では多呼吸・哺乳不良・体重増加不良といった心不全症状を呈します。

チアノーゼ性心疾患

新生児期からチアノーゼをきたす代表疾患はファロー四徴症と完全大血管転位症です。チアノーゼ性心疾患は「5つのT」(Tetralogy of Fallot、Transposition of the great arteries、Truncus arteriosus、Total anomalous pulmonary venous return、Tricuspid atresia)として整理すると覚えやすくなります。

ファロー四徴症

ファロー四徴症は、(1)心室中隔欠損、(2)肺動脈狭窄、(3)大動脈騎乗、(4)右室肥大の4つを特徴とする、チアノーゼ性先天性心疾患の代表です。肺動脈狭窄により肺血流が減少し、右室から大動脈へ静脈血が流入するため、出生後早期からチアノーゼがみられます。乳児が泣いた後や哺乳後などに突然強いチアノーゼと呼吸困難を起こす発作を**無酸素発作(チアノーゼ発作)**といい、胸膝位(しゃがみこみ)をとらせることで静脈還流を減らし症状が軽快します。

動脈管依存性心疾患

完全大血管転位症など、出生後に動脈管が閉鎖すると生命維持が困難になる疾患を動脈管依存性心疾患といいます。これらの疾患では、動脈管を開存させるためにプロスタグランジンE1を投与します。

アイゼンメンジャー症候群

左→右短絡を呈する非チアノーゼ性心疾患を長期間放置すると、肺血管が高い圧と血流に持続的に晒されて肺血管リモデリング(叢状病変)が進行し、肺血管抵抗が体血管抵抗を上回るようになります。その結果、短絡の向きが逆転して右→左短絡となり、チアノーゼが新たに出現します。この状態をアイゼンメンジャー症候群といいます。いったん不可逆的な肺血管病変が完成すると根治手術の適応外となるため、短絡疾患の早期手術介入とSpO2・心エコーによる経過観察が重要です。

まとめ

先天性心疾患はチアノーゼの有無で非チアノーゼ性とチアノーゼ性に分けられ、左→右短絡型では心室中隔欠損症が、右→左短絡型ではファロー四徴症が代表疾患です。新生児期から強いチアノーゼをきたす疾患ではプロスタグランジンE1による動脈管開存が必要となります。また、左→右短絡が長期化すると肺血管抵抗の上昇により短絡が逆転し、アイゼンメンジャー症候群へ進展する点も国試頻出の重要知識です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    先天性心疾患のうち、肺で酸素化されない静脈血が体循環へ流入し皮膚や粘膜が青紫色になる所見をという。

  2. 2.

    先天性心疾患の中で最も頻度が高く、左→右短絡を呈する代表的な非チアノーゼ性心疾患はである。

  3. 3.

    心室中隔欠損、肺動脈狭窄、大動脈騎乗、右室肥大の4つを特徴とするチアノーゼ性先天性心疾患の代表疾患はである。

  4. 4.

    ファロー四徴症の乳児が啼泣後などに突然強いチアノーゼと呼吸困難を起こす発作をといい、胸膝位で軽快する。

  5. 5.

    完全大血管転位症など動脈管依存性心疾患では、動脈管を開存させるためにを投与する。

  6. 6.

    左→右短絡疾患の長期化により肺血管抵抗が体血管抵抗を上回り、短絡が右→左に逆転してチアノーゼを呈する状態をという。

  7. 7.

    チアノーゼ性先天性心疾患の代表として整理される「5つのT」のうち、ファロー四徴症と並んで重要で、大動脈と肺動脈の起始が入れ替わっている疾患はである。

先天性心疾患の小児」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。