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膵頭部癌の診断と術後管理

成人看護学 / 肝・胆・膵

解説

膵頭部癌とは、膵臓の頭部(十二指腸に接する部分)に発生する悪性腫瘍のことです。今回は膵頭部癌の症状・診断・治療と術後管理について解説します。

膵頭部癌の特徴と初発症状

膵臓は頭部・体部・尾部に分けられ、頭部は十二指腸に囲まれ、内部を総胆管が貫いて十二指腸乳頭部(ファーター乳頭)に開口しています。膵頭部に腫瘍ができると総胆管が圧迫・閉塞され、胆汁の流れが妨げられて黄疸を生じます。腹痛を伴わずに黄疸が出現する無痛性黄疸は、膵頭部癌の典型的な初発症状として国試で頻出です。

さらに膵頭部は十二指腸壁と接しているため、進行すると十二指腸への浸潤を起こし、消化管出血からタール便(黒色便)や鉄欠乏性貧血を呈することがあります。

黄疸の分類とビリルビン

ビリルビンは赤血球のヘモグロビンが分解されて生じる黄色色素で、肝臓に運ばれる前の間接ビリルビン(非抱合型)と、肝細胞でグルクロン酸抱合された直接ビリルビン(抱合型)に分けられます。直接ビリルビンは胆汁中に排泄されるため、胆管が閉塞すると血中に逆流して上昇します。

溶血性黄疸では間接型が、肝細胞性黄疸では両者が、閉塞性黄疸では直接型優位に上昇します。膵頭部癌による黄疸は閉塞性黄疸であり、直接ビリルビン優位の高ビリルビン血症と濃褐色尿が特徴です。

診断とドレナージ

診断には腹部造影CTのほか、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)が用いられ、同時に膵液細胞診や膵管擦過細胞診で組織学的診断を行います。閉塞性黄疸に対しては術前の減黄目的に**内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)**が施行され、内視鏡で胆管にチューブを留置し鼻から体外へ胆汁を排出します。

ERCP・ENBD後は急性膵炎・胆管炎・穿孔・出血などの合併症に注意し、アミラーゼ上昇・腹痛・発熱の有無を観察します。ENBDでは鼻翼の固定部の皮膚障害や自己抜去が問題となりやすく、患者の違和感の訴えがあれば固定位置の調整など皮膚保護を優先します。

膵頭十二指腸切除術と術後管理

膵頭部癌の標準術式は**膵頭十二指腸切除術(PD、Whipple手術)**で、膵頭部・十二指腸・胆管下部・幽門側胃の一部・胆嚢を切除し、膵空腸・胆管空腸・胃空腸吻合を再建します。胃と幽門を温存する幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)もあります。

胃切除を伴うPDでは食物が急速に小腸へ流入し、食後30分以内に動悸・冷汗・腹痛を呈する早期、食後2〜3時間に低血糖症状を呈する後期のダンピング症候群が起こりやすくなります。指導は少量頻回食、ゆっくりよく噛むことが基本です。

長期的には、リパーゼ分泌低下による脂肪消化吸収障害(脂肪便・体重減少)、脂溶性ビタミン欠乏、膵内分泌機能低下による膵性糖尿病に注意し、消化酵素補充や血糖管理を行います。最も警戒すべき早期合併症は膵液漏です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    膵頭部癌の典型的な初発症状は、腹痛を伴わずに出現するである。

  2. 2.

    胆管が閉塞して生じる黄疸では、血中のビリルビンが優位に上昇する。

  3. 3.

    膵頭部癌の診断と細胞診のために行われる内視鏡検査を(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)という。

  4. 4.

    閉塞性黄疸に対する減黄目的で、鼻から胆管にチューブを留置して胆汁を排出する処置を(内視鏡的経鼻胆道ドレナージ)という。

  5. 5.

    膵頭部癌の標準術式で、膵頭部・十二指腸・胆管下部・幽門側胃の一部を切除する手術を(Whipple手術)という。

  6. 6.

    胃切除後に食物が急速に小腸へ流入することで、食後早期や食後数時間に動悸・冷汗・低血糖症状を生じる病態をという。

  7. 7.

    膵頭十二指腸切除術後に最も警戒すべき早期合併症はである。

  8. 8.

    膵切除後はリパーゼ分泌が低下するため、の消化吸収障害が最も顕著となる。

  9. 9.

    膵頭部癌の進行により十二指腸へ浸潤すると、消化管出血により(黒色便)や鉄欠乏性貧血を来すことがある。

膵頭部癌の診断と術後管理」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。