高齢者の健康障害の特徴
老年看護学 / 老年看護総論・その他
解説
今回は高齢者の健康障害の特徴について解説します。
加齢に伴う身体機能の変化
高齢者は加齢に伴って、心臓・腎臓・肺・肝臓などの臓器予備能、免疫能、恒常性維持機能が低下しています。普段は問題なく生活していても、感染や脱水、手術などのストレスがかかると一気に予備力を超えてしまい、思わぬ重症化や合併症を起こしやすくなります。
高齢者の健康障害の5つの特徴
1. 症状が非定型で不明瞭
肺炎であっても発熱や咳嗽がはっきり出ず、食欲低下や元気がないといった非定型な症状で受診することが多くみられます。心筋梗塞でも胸痛がはっきりせず、嘔気や倦怠感のみのこともあります。
2. 多疾患併存(multimorbidity)
複数の慢性疾患を同時に抱えていることが多く、互いに病態や治療が影響し合います。
3. 回復力・治癒力の低下
若年者と比べて回復に時間がかかり、入院に伴う廃用症候群や認知機能低下も生じやすくなります。
4. 心理社会的要因の影響が大きい
独居・社会的孤立・経済状況・介護者の有無などが治療や予後に大きく影響します。
5. 薬物有害事象が起こりやすい
腎機能・肝機能の低下、体内水分量減少、血清アルブミン低下による薬物動態の変化により、薬の効果が出すぎたり副作用が現れやすくなります。
注意すべき薬剤とポリファーマシー
高齢者で副作用に特に注意が必要な薬剤として、転倒・せん妄を起こしやすいベンゾジアゼピン系、口渇・尿閉などを生じやすい抗コリン薬、腎障害や消化管出血を起こすNSAIDs、中毒域の狭いジゴキシン、遷延性低血糖をきたすスルホニル尿素薬などがあります。一般に5種類以上の内服薬を併用すると副作用のリスクが有意に増加することから、不要な薬を整理する処方の見直し(deprescribing)が推奨されます。これらをポリファーマシー対策と呼びます。
老年症候群
転倒、せん妄、尿失禁、嚥下障害、低栄養、認知機能低下、フレイル、サルコペニアなど、原疾患と直接結びつかなくても高齢者に頻繁にみられる症状群を老年症候群といいます。これらは個別のケアと多職種連携での対応が必要です。
まとめ
高齢者の健康障害は、症状が非定型でわかりにくく、多疾患併存と回復力低下、心理社会的要因の影響、薬物有害事象の起こりやすさが特徴です。看護では、いつもと違う様子の早期発見、薬剤管理(特にポリファーマシー対策)、老年症候群の予防と早期介入を意識した個別性の高いケアが求められます。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
高齢者の健康障害では、肺炎で発熱や咳嗽がはっきり出ず食欲低下のみで現れるなど、症状がになりやすい。
- 2.
高齢者で複数の慢性疾患を同時に抱えている状態をという。
- 3.
転倒、せん妄、尿失禁、嚥下障害、低栄養、フレイルなど、原疾患と直接結びつかなくても高齢者に頻繁にみられる症状群をという。
- 4.
高齢者では腎機能・肝機能の低下や血清アルブミンの低下により薬物動態が変化し、薬の効果や副作用が出やすくなるための頻度が高い。
- 5.
一般に5種類以上の内服薬を併用することで副作用リスクが有意に増加する状態をといい、不要な薬を整理する処方の見直しが推奨される。
- 6.
高齢者で転倒・せん妄を起こしやすく、慎重投与が求められる代表的な睡眠薬・抗不安薬は薬剤である。
