高齢者世帯の所得と健康
老年看護学 / 老年看護総論・その他
解説
今回は高齢者世帯の所得と健康について解説します。高齢者世帯とは、厚生労働省の国民生活基礎調査において、65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚の者が加わって構成される世帯のことを指します。看護師国家試験では、この高齢者世帯の所得構造と健康状態に関する統計が頻出のため、ここで整理しておきましょう。
国民生活基礎調査とは
国民生活基礎調査は、厚生労働省が毎年実施する基幹統計調査で、3年に1度は世帯・健康・介護・所得・貯蓄など多岐にわたる項目を調べる大規模調査が行われ、中間の年は世帯と所得に関する簡易調査が実施されます。保健・医療・福祉・年金・所得など国民生活の基礎的事項を明らかにし、各種行政施策の企画・運営に必要な基礎資料を得ることを目的としています。
高齢者世帯の所得構造
高齢者世帯の1世帯当たり平均所得金額は、全世帯平均のおよそ半分程度にとどまります。その所得を種類別に見ると、構成割合が最も高いのは公的年金・恩給です。平成25年調査では約68%、平成28年調査では約70%を占め、その後の調査でも一貫して最多を維持しています。次いで稼働所得、財産所得、年金以外の社会保障給付金、仕送り・企業年金・個人年金などが続きます。
稼働所得とは賃金・給料などの就労によって得られる収入のことですが、高齢者は退職により就労収入が大きく減少するため、構成割合は小さくなります。また、公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%である世帯、つまり公的年金・恩給のみで生活している高齢者世帯はおよそ半数を占め、年金制度が高齢者の生活基盤として不可欠であることがわかります。
高齢者の健康状態
国民生活基礎調査では、世帯員の健康状態についても調べられます。病気やけが等で自覚症状のある者の人口千人に対する割合を有訴者率といい、医療機関や施術所に通っている者の割合を通院者率といいます。これらは自己申告に基づく指標であり、実際に医療機関で受療した患者を調べる患者調査とは異なる点に注意が必要です。
令和元年(2019年)の調査によると、65歳以上の高齢者が訴える自覚症状で最も多いのは、男女とも腰痛でした。次いで男女ともに肩こり、手足の関節が痛むなどが続きます。腰痛が第1位となる背景には、加齢に伴う椎間板や脊柱の変性、骨粗鬆症による椎体圧迫骨折、慢性的な筋力低下などがあり、高齢者のADLやQOLに直結する重要な健康課題です。
まとめ
高齢者世帯の所得構成では公的年金・恩給が最も大きな割合を占め、平均所得は全世帯平均の約半分です。高齢者の自覚症状では腰痛が男女ともに第1位であり、これらは国民生活基礎調査によって明らかにされています。有訴者率と通院者率は国民生活基礎調査の指標であり、外来受療率は患者調査の指標であるという使い分けも合わせて押さえておきましょう。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
高齢者世帯の所得構成で最も割合が高いのはである。
- 2.
高齢者世帯の所得や健康状態を調査している統計はである。
- 3.
国民生活基礎調査を実施している省庁はである。
- 4.
令和元年の国民生活基礎調査において、65歳以上の高齢者が訴える自覚症状で男女ともに第1位であるのはである。
- 5.
病気やけが等で自覚症状のある者の人口千人に対する割合をという。
- 6.
医療機関や施術所に通院している者の人口千人に対する割合をという。
- 7.
高齢者世帯とは、65歳以上の者のみまたはこれにが加わって構成される世帯をいう。
