病院内災害対応と初動
看護の統合と実践 / 災害看護
解説
今回は病院内災害対応と初動について解説します。
クラッシュ症候群(挫滅症候群)
クラッシュ症候群とは、長時間(おおむね2時間以上)四肢などが瓦礫や重量物で圧迫されることにより骨格筋細胞が障害を受け、救出後の血流再開とともに破壊された筋細胞内のカリウム・ミオグロビン・乳酸などが一気に全身循環へ流入して生じる病態です。1995年の阪神・淡路大震災を契機に日本の災害医療において重要性が再認識されました。
3大病態と危険性
主な病態は、①高カリウム血症、②急性腎障害(ミオグロビン尿による尿細管閉塞)、③代謝性アシドーシスです。さらに循環血液量減少性ショックやDICを合併します。特に高カリウム血症は心室細動や心停止などの致死性不整脈を引き起こす点で危険です。トリアージでは外見上は元気でも「生きているのに色が変わる」と表現され、救出直後は歩けても急変するため要注意です。
初期対応
救出前から大量の生理食塩水を輸液し、循環血液量を確保します。高カリウム血症にはカルシウム製剤や重炭酸ナトリウムを投与し、救出後早期に血液透析を導入することが救命の鍵となります。
病院災害対応の原則:CSCATTT
CSCATTTは災害医療の基本枠組みで、Command(指揮命令系統)、Safety(安全)、Communication(情報伝達)、Assessment(評価)、Triage(トリアージ)、Treatment(治療)、Transport(搬送)の頭文字を表します。前半CSCAが管理項目、後半TTTが医療支援項目です。
リーダー看護師の役割
リーダー看護師は全体を俯瞰して指揮し、状況把握・優先順位決定・他部門との連絡調整に専念します。電話対応や安否問い合わせは個人情報保護の観点からも別のスタッフや事務職員が担当します。トリアージ・治療・搬送の役割を明確化し、コマンド&コントロール体制を確立することが重要です。
病棟看護師長の役割
看護師長は自部署の安全確保と避難準備を指揮します。余震に備えて避難経路の落下物や通行障害を確認し、自家発電稼働中の医療機器管理、酸素・吸引の継続使用を確認します。状況把握から報告、指示伝達、スタッフ指揮、患者対応まで一連の流れを統括し、本部への報告は5W1Hで簡潔に行います。
病院のBCP(事業継続計画)
BCPでは停電時の自家発電稼働(通常72時間)、酸素供給、水道、エレベーター、通信手段の確保が求められます。院内トリアージにより重症患者を優先して治療・搬送します。
避難の優先順位
避難方式や状況にもよりますが、自力歩行可能な患者を先に避難させ、寝たきりや人工呼吸器装着患者は最後に避難する場合もあります。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
クラッシュ症候群は四肢が時間以上圧迫されることで生じる。
- 2.
クラッシュ症候群では破壊された筋細胞から・ミオグロビン・乳酸が血中に流入する。
- 3.
クラッシュ症候群の致死的合併症は高カリウム血症による心室細動と(ミオグロビン尿)である。
- 4.
クラッシュ症候群の初期対応では救出前から大量のを輸液する。
- 5.
災害医療の基本原則CSCATTTのCはCommand()を表す。
- 6.
CSCATTTのTTTはTriage・・Transportを表す。
- 7.
災害時のリーダー看護師は全体を俯瞰し、状況把握と決定に専念する。
- 8.
病院のBCPでは停電時の自家発電は通常時間稼働を想定する。
- 9.
看護師長は本部への報告をで簡潔に行う。
