胃全摘術後の看護
成人看護学 / 消化器系
解説
今回は胃全摘術後の看護について解説します。
胃全摘術とは
胃全摘術とは、主に胃癌に対して行われる手術で、胃をすべて摘出し、食道と空腸を直接吻合する術式です。再建にはRoux-en-Y法などが用いられます。胃を失うことで、幽門による食物貯留・排出調節機能、消化酵素分泌、胃酸分泌、そして内因子分泌がすべて失われ、術後はさまざまな合併症のリスクを抱えることになります。
術後早期の看護
疼痛管理
術後1日目は硬膜外持続鎮痛法を用い、十分な疼痛コントロールを行います。疼痛は交感神経を賦活化し、血圧上昇・頻脈・呼吸数増加・末梢血管収縮を引き起こします。疼痛を放置すると深呼吸が抑制されて無気肺や肺炎を招き、早期離床の妨げとなり**深部静脈血栓症(DVT)**のリスクも高まります。NRSやVASを用いて疼痛を定量的に評価することが重要です。
全身管理
創部・ドレーンからの排液・バイタルサイン・尿量を継続的に観察し、出血や縫合不全、感染の早期発見に努めます。早期離床はDVT予防と腸管蠕動促進に有効です。
ダンピング症候群
早期ダンピング症候群
食後30分以内に出現し、高浸透圧の食塊が一気に小腸へ流入することで循環血液量が腸管内に移行し、セロトニンやブラジキニンなどの血管作動性物質が放出されます。症状はめまい、顔面紅潮、動悸、冷汗、下腹部痛、下痢などです。
後期ダンピング症候群
食後2〜3時間に出現し、インスリンの過剰分泌による反応性低血糖が原因です。冷汗、手指振戦、倦怠感、めまいなどが現れ、飴や糖分補給で対応します。
予防の食事指導
少量頻回食、高蛋白・低糖質、食事中の水分制限、食後20〜30分の半臥位安静、よく噛んでゆっくり食べることが基本です。
長期合併症と退院指導
内因子欠乏によりビタミンB12の吸収障害が起こり、術後2〜5年で**巨赤芽球性貧血(悪性貧血)**を発症することがあります。生涯にわたるビタミンB12筋注が必要です。また、鉄欠乏性貧血、カルシウム・ビタミンD吸収低下による骨粗鬆症、体重減少にも注意します。コーヒー・アルコール・香辛料・炭酸飲料などの刺激物は逆流性食道炎を助長するため避け、定期受診と体重測定の習慣を指導します。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
胃全摘術では胃を全摘し、食道と空腸を吻合する法などで再建する。
- 2.
胃全摘により分泌が失われ、ビタミンB12の吸収障害が生じる。
- 3.
術後の疼痛評価にはやVASなどのスケールを用いて定量的に行う。
- 4.
早期ダンピング症候群は食後分以内に出現し、高浸透圧の食塊が小腸へ流入して循環血液量が腸管内に移行することで起こる。
- 5.
後期ダンピング症候群は食後2〜3時間にの過剰分泌による反応性低血糖で発症する。
- 6.
ダンピング症候群の予防として、少量頻回食、高蛋白・の食事が推奨される。
- 7.
食後はで20〜30分安静にすることでダンピング症候群を予防する。
- 8.
胃全摘後は内因子欠乏により術後2〜5年で貧血(悪性貧血)が出現することがあり、ビタミンB12の筋注による補充が必要である。
- 9.
胃全摘後はカルシウムやビタミンDの吸収低下によりのリスクが高まる。
- 10.
術後の疼痛放置は深呼吸抑制から無気肺・肺炎を招き、早期離床の妨げから(深部静脈血栓症)のリスクを高める。
