細胞内小器官の機能
人体の構造・機能 / 形態・発生・その他
解説
今回は細胞内小器官の機能について解説します。
細胞の基本構造
細胞とは、生命の基本単位であり、ヒトの体はおよそ37兆個の細胞で構成されています。細胞は外側を囲む細胞膜、内部を満たす細胞質、遺伝情報を収める核から成り立ち、細胞質内にはさまざまな働きをもつ細胞内小器官(オルガネラ)が存在します。それぞれの小器官が役割分担をすることで、生命活動が円滑に営まれています。
核と遺伝情報
核は核膜に包まれ、内部に染色質(DNAとヒストン蛋白の複合体)と核小体を含みます。DNAに書かれた遺伝情報は核内でmRNAへと写し取られ(転写)、核膜孔を通って細胞質へと運ばれます。 ヒトの体細胞は通常1つの細胞に1個の核をもちますが、なかには複数の核をもつ細胞も存在します。代表例が骨格筋細胞(骨格筋線維)で、発生の過程で多数の筋芽細胞が細胞融合することによって形成されるため、1本の筋線維の中に**2つ以上の核(多核)**を有します。このように2個以上の核をもつ細胞を多核細胞と呼び、骨格筋細胞や破骨細胞がその代表例として国試で問われます。
タンパク質を合成する小器官
リボソーム
リボソームは、mRNAの遺伝情報をもとにアミノ酸を順番につなぎ合わせてタンパク質を合成する小器官です。細胞質中に遊離して存在する遊離型と、粗面小胞体の表面に付着した結合型があり、結合型は主に細胞外へ分泌するタンパク質や膜タンパク質を合成します。
小胞体
小胞体は袋状・管状の構造で、リボソームが付着した粗面小胞体と、付着していない滑面小胞体に分けられます。粗面小胞体は合成されたタンパク質の修飾と輸送を担い、滑面小胞体は脂質の合成、カルシウムの貯蔵、薬物の解毒に関わります。
ゴルジ装置
ゴルジ装置は、小胞体から送られてきたタンパク質に糖鎖を付加するなどの修飾を行い、分泌小胞に詰めて細胞外への分泌や細胞膜への運搬を担います。タンパク質合成の流れは「核(DNA→mRNA)→リボソームで翻訳→小胞体→ゴルジ装置→分泌」と覚えると整理しやすくなります。
エネルギーを産生する小器官
ミトコンドリアは、栄養素を酸化してATPを産生する「細胞のエネルギー工場」です。内膜の電子伝達系で酸化的リン酸化が行われ、TCA回路と合わせて細胞活動に必要なエネルギーの大部分を供給します。ミトコンドリアは独自のDNA(mtDNA)をもち、母親由来のものだけが受け継がれる母系遺伝という特徴があります。
分解と処理に関わる小器官
リソソームは加水分解酵素を含む袋で、不要となった細胞内成分や取り込んだ異物を分解するオートファジーや異物処理を担います。ペルオキシソームは脂肪酸の酸化と過酸化水素の分解に関与します。
細胞膜とその他の構造
細胞膜はリン脂質二重層を基本構造とし、膜タンパク質が点在して物質輸送・情報伝達・細胞接着の役割を果たします。細胞分裂時には中心体から紡錘体が伸びて染色体を分配し、細胞骨格(微小管・中間径フィラメント・ミクロフィラメント)が細胞の形態維持と運動を支えています。
まとめ
細胞内小器官はそれぞれ固有の働きをもち、リボソームでのタンパク質合成、小胞体・ゴルジ装置での修飾と輸送、ミトコンドリアでのATP産生、リソソームでの分解という流れで生命活動を支えています。特に「タンパク質合成=リボソーム」「エネルギー産生=ミトコンドリア」「分解=リソソーム」という対応関係は国試で頻出ですので確実に押さえておきましょう。また、骨格筋細胞が筋芽細胞の融合によって生じる多核細胞であることも、細胞構造の代表的な例外として確実に押さえておきたい知識です。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
mRNAの遺伝情報をもとにアミノ酸を連結してタンパク質を合成する細胞内小器官をという。
- 2.
栄養素を酸化してATPを産生する「細胞のエネルギー工場」と呼ばれる細胞内小器官はである。
- 3.
ミトコンドリアは独自のDNAをもち、母親からのみ受け継がれるを示す。
- 4.
リボソームが付着し、合成されたタンパク質の修飾と輸送を担う小胞体をという。
- 5.
小胞体から送られたタンパク質に糖鎖を付加するなどの修飾を行い、分泌小胞に詰めて細胞外へ送り出す小器官をという。
- 6.
加水分解酵素を含み、不要となった細胞内成分や異物を分解する小器官をという。
- 7.
核内でDNAの遺伝情報を写し取って合成され、細胞質へ運ばれてタンパク質合成の鋳型となる核酸をという。
- 8.
細胞膜の基本構造はであり、膜タンパク質が点在して物質輸送や情報伝達を担っている。
- 9.
骨格筋細胞(骨格筋線維)は、多数の筋芽細胞が細胞融合することにより形成されるため、1つの細胞内に2つ以上の核をもつ細胞である。
