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看護倫理の原則

基礎看護学 / 看護倫理・看護師法規

解説

今回は看護倫理の原則について解説します。

看護倫理とは

看護倫理とは、看護師が専門職として臨床判断や行動を行うときに従うべき価値観や行動規範のことです。患者の生命や尊厳に深くかかわる看護では、何が「正しい行為」かを判断するための拠り所が欠かせません。そのために国際的・国内的な倫理綱領が定められ、また生命倫理学の基本原則が看護にも応用されています。

ICN看護師の倫理綱領

ICNとは国際看護師協会(International Council of Nurses)のことで、世界の看護師組織が集まる国際団体です。ICNは1953年に「看護師の倫理綱領」を初めて採択し、その後改訂を重ね、2021年版が最新となっています。

看護師の4つの基本的責任

前文には、看護師には4つの基本的責任があると明記されています。具体的には、健康の増進疾病の予防健康の回復苦痛の緩和の4つです。「疾病の回復」ではなく「健康の回復」である点が国試の引っかけとして頻出します。 また看護ケアは特定の個人だけでなく、家族や地域社会にも提供されるとされ、看護師は人権を尊重し、年齢・性別・人種・文化・信条などによる差別を行わない姿勢が求められます。

日本看護協会「看護職の倫理綱領」

日本国内では、日本看護協会が2021年に「看護職の倫理綱領」を改訂・公表しています。看護職が対象者の生命と人権を守る擁護者であることが明記され、国内で働く看護師の行動指針となっています。

生命倫理の4原則

アメリカのビーチャムとチルドレスは、医療における倫理判断の枠組みとして生命倫理の4原則を示しました。看護倫理を理解する基礎として国試でも頻出です。

自律尊重

自律尊重(autonomy)とは、患者本人の意思決定を尊重する原則です。十分な説明を受けたうえで患者が自分の意思で治療を選ぶインフォームド・コンセントは、自律尊重を具体化したものです。

無危害

無危害(non-maleficence)とは、患者に危害を加えず、害を最小限にする原則です。安全な手技や医療事故の防止はこの原則に基づきます。

善行

善行(beneficence)とは、患者の利益となるように行為する原則です。最善のケアを提供することがこれにあたります。

正義

正義(justice)とは、医療資源や負担を公平に配分する原則です。差別をせず、ニーズに応じて等しく扱うことを意味し、災害時のトリアージ、臓器移植の優先順位、医療費の配分などの場面で重要となります。

フライによる追加

看護倫理学者のフライは、看護独自の視点として上記4原則に誠実忠誠を加えました。誠実は真実を告げること、忠誠は患者との約束を守ることを指します。

アドボカシー

アドボカシー(advocacy)とは、権利擁護および代弁を意味する言葉です。自分の意思や権利を十分に表現できない患者に代わって、看護師がその意見・希望・権利を擁護し代弁する役割を指します。 対象となるのは、判断能力が低下した高齢者、小児、意識障害のある患者などです。インフォームド・コンセントの場面や意思決定支援において特に重要で、4原則のうち自律尊重を実現するための具体的な行動として位置づけられます。

まとめ

看護倫理の柱には、ICN看護師の倫理綱領が示す4つの基本的責任(健康の増進・疾病の予防・健康の回復・苦痛の緩和)と、ビーチャム&チルドレスの生命倫理4原則(自律尊重・無危害・善行・正義)があります。フライはこれに誠実と忠誠を加えました。アドボカシーは自律尊重を支える看護師の重要な役割であり、判断能力が低下した患者の権利を代弁・擁護することを意味します。これらの用語の定義と組み合わせを正確に押さえることが国試対策の要となります。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    ICN看護師の倫理綱領の前文には、看護師の4つの基本的責任として、健康の増進、疾病の予防、、苦痛の緩和が挙げられている。

  2. 2.

    ICN看護師の倫理綱領はが1953年に初めて採択し、2021年版まで改訂が重ねられてきた。

  3. 3.

    ビーチャム&チルドレスの生命倫理4原則のうち、患者本人の意思決定を尊重し、インフォームド・コンセントの根拠となる原則をという。

  4. 4.

    生命倫理4原則のうち、患者に危害を加えない、害を最小限にとどめる原則をという。

  5. 5.

    生命倫理4原則のうち、医療資源や負担を公平に配分し、トリアージや臓器移植の優先順位の根拠となる原則をという。

  6. 6.

    看護倫理学者のフライは、生命倫理4原則に加えて、真実を告げる「誠実」と、患者との約束を守る「」を看護倫理として示した。

  7. 7.

    意思や権利を十分に表現できない患者に代わって、看護師がその意見・希望・権利を擁護し代弁する役割を(権利擁護)という。

  8. 8.

    アドボカシーは、生命倫理4原則のうち特にを実現するための具体的な看護行動として位置づけられる。

看護倫理の原則」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。