診療記録・看護記録の法規
健康支援と社会保障制度 / 看護師関連法規
解説
診療記録とは、診療の過程で作成されるあらゆる記録物の総称です。今回は診療記録と看護記録に関する法規について解説します。
診療記録の範囲
診療記録は広い概念であり、医師が記す診療録(カルテ)だけを指すものではありません。具体的には、診療録、処方箋、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、紹介状、退院時要約(退院サマリー)などが含まれます。つまり看護記録も診療記録の重要な構成要素の一つに位置づけられています。看護学生はまず「診療録=カルテ」ではなく、より広い枠組みで診療記録という用語が使われることを理解しておく必要があります。
各記録の根拠法と保存期間
医師が作成する診療録は、医師法第24条により医師に作成義務が課され、保存期間は5年と定められています。歯科医師についても歯科医師法で同様に5年の保存が義務付けられています。一方、看護記録は医療法第21条および医療法施行規則第20条に基づき、病院が備えるべき「診療に関する諸記録」の一つとして規定されており、保存期間は2年です。同規則が定める診療に関する諸記録には、過去2年間の病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、入院診療計画書が含まれます。また助産録は保健師助産師看護師法第42条で助産師に作成義務があり、保存期間は5年です。「カルテ5年・諸記録2年・助産録5年」とまとめて押さえると整理しやすくなります。
開示の決定権と個人情報保護
診療記録の開示請求があった場合、開示の可否を決定するのは医療機関の管理者です。患者本人または法定代理人は個人情報保護法に基づき開示請求権を有しており、医療機関は厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」に沿って対応します。医療情報は機微情報にあたるため、第三者提供には原則として本人同意が必要です。また看護師には保健師助産師看護師法第42条の2で守秘義務が課され、違反には罰則があります。
看護記録の意義と原則
看護記録には、ケアの根拠と連続性の確保、法的記録としての役割、教育や研究への活用、診療報酬請求の根拠などの意義があります。構成要素は基礎情報、看護計画、経過記録(SOAPやフォーカスチャーティング)、看護サマリーが典型です。記録の原則は、客観的事実を時系列で記載し、署名と日時を明記すること、訂正は二重線と押印で行い元の記載を残すこと、推測と事実を区別すること、電子カルテではログ管理により真正性・見読性・保存性を確保することです。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
診療記録という用語は、診療過程で生まれた記録物を含む広い概念である。
- 2.
医師の診療録の作成義務と5年の保存期間を定めているのはである。
- 3.
看護記録が「診療に関する諸記録」の一つとして規定されている根拠法はおよび医療法施行規則第20条である。
- 4.
医療法施行規則における看護記録の保存期間は年である。
- 5.
助産録の作成義務と5年の保存期間を定めているのはである。
- 6.
診療記録の開示の可否を決定する権限は、医療機関のにある。
- 7.
看護師の守秘義務は保健師助産師看護師法第42条のに規定されている。
- 8.
診療記録の訂正は元の記載が読めるようにで行い押印する。
