医療介護総合確保推進法
健康支援と社会保障制度 / 医療法と医療提供体制
解説
今回は医療介護総合確保推進法について解説します。
法律の背景と概要
医療介護総合確保推進法とは、正式名称を「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」といい、2014年に成立した法律です。この法律が制定された背景には、団塊の世代が全員75歳以上となる2025年問題があります。高齢化のピークを迎えるなかで医療費・介護費が急増し、社会保障制度の持続可能性が危ぶまれることから、効率的で質の高い医療・介護提供体制への構造改革が求められました。 この法律は単独の法律ではなく、医療法・介護保険法など19の関係法律を一括して改正した包括的立法であり、社会保障制度改革の中核に位置づけられています。
法律の二本柱
この法律の柱は、地域包括ケアシステムの構築と地域医療構想の策定の2つです。いずれも、入院中心の医療から地域での生活を支える医療・介護へと方向転換することを目的としています。
地域包括ケアシステム
地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援の5つを一体的に提供する仕組みのことです。おおむね30分以内に必要なサービスが受けられる日常生活圏域(中学校区程度)を単位として整備が進められています。
地域医療構想
地域医療構想とは、2025年の医療需要を推計し、都道府県が地域ごとに必要な病床数を機能別に定める計画です。病床は高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4機能に区分され、各医療機関は自院の病床機能を都道府県に報告する病床機能報告制度が設けられました。これにより、過剰な急性期病床を回復期へ転換するなど、医療資源の最適配分が図られます。
主要な改正ポイント
本法による主な改正点として、まず財政支援の仕組みとして地域医療介護総合確保基金が都道府県に創設されました。また、診療行為に関連した予期しない死亡について原因究明と再発防止を目的とする医療事故調査制度も創設されています。 介護保険制度の見直しでは、予防給付のうち訪問介護と通所介護が市町村の地域支援事業へ移行されました。特別養護老人ホームへの新規入所は原則要介護3以上に限定され、一定以上所得のある利用者の自己負担は2割へ引き上げられました(その後さらに3割負担も導入)。
地域連携クリニカルパス
地域連携クリニカルパスとは、疾患別の標準的な診療計画を急性期病院・回復期病院・維持期施設・在宅医療など複数の施設で共有するツールです。これは「病院完結型」から「地域完結型」医療への転換を象徴する仕組みであり、脳卒中・大腿骨頸部骨折・がんなどが代表的な対象疾患です。たとえば脳卒中では急性期病院から回復期リハビリ病院、さらに在宅医療や通所リハへと一枚の計画表で情報を共有しながら切れ目なく移行できます。 看護師は地域包括ケアの担い手として、退院支援や在宅移行支援の役割を担い、多職種・多施設をつなぐ調整役を果たします。
まとめ
医療介護総合確保推進法は、2025年問題に備えて2014年に成立した包括的立法であり、医療法・介護保険法など19法律を一括改正しました。柱は地域包括ケアシステムの構築と地域医療構想の策定であり、4機能の病床区分、地域医療介護総合確保基金、医療事故調査制度、特養入所要件の要介護3以上化、自己負担2割化などが導入されました。地域完結型医療を支える地域連携クリニカルパスとともに、看護師には退院支援・在宅移行支援を通じて地域をつなぐ役割が求められます。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
2014年に成立し、医療法・介護保険法など19の関係法律を一括改正した包括的立法はである。
- 2.
医療介護総合確保推進法が見据えるのは、団塊の世代が全員75歳以上となる問題である。
- 3.
高齢者が住み慣れた地域で医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に受けられる仕組みをという。
- 4.
2025年の医療需要を推計し、都道府県が機能別に必要病床数を定める計画をという。
- 5.
地域医療構想における病床の4機能は、高度急性期・急性期・・慢性期である。
- 6.
医療介護総合確保推進法により、都道府県に創設された財政支援の仕組みをという。
- 7.
同法により、特別養護老人ホームへの新規入所は原則以上に限定された。
- 8.
疾患別の標準的な診療計画を急性期から在宅まで複数施設で共有し、地域完結型医療を支えるツールをという。
- 9.
地域連携クリニカルパスの代表的な適用疾患には、脳卒中・がん・などがある。
- 10.
医療介護総合確保推進法により、診療関連の予期しない死亡について原因究明と再発防止を行うが創設された。
