脱水と体液動態
成人看護学 / 腎・泌尿器
解説
今回は脱水と体液動態について解説します。体液は身体の機能を維持するうえで欠かせない要素であり、その分布とイオン組成、浸透圧の関係を理解することが、脱水の病態把握につながります。
体液の区分
成人では体重の約60%が水分で構成され、体液は細胞内液と細胞外液に分けられます。細胞内液は全体液の約2/3を占め、細胞外液は約1/3で、さらに間質液と血漿に区分されます。細胞内液の主要陽イオンはカリウムであり、細胞外液の主要陽イオンはナトリウムです。このイオン分布の差は細胞膜のナトリウムポンプによって維持されており、体液の浸透圧調節において中心的な役割を果たします。
浸透圧と水の移動
水は浸透圧の低い区画から高い区画へと移動します。血漿浸透圧の維持にはナトリウム濃度が最も大きく寄与しており、ナトリウム濃度の変化は体液区分間の水移動を直接的に引き起こします。血漿浸透圧が低下すると水は細胞内へ移動し、細胞外液量は減少します。逆に血漿浸透圧が上昇すると水は細胞外へ移動し、細胞内が脱水状態となります。
脱水の3分類
脱水は喪失した水分とナトリウムのバランスによって3つに分類されます。
等張性脱水
水とナトリウムが同程度の比率で失われる脱水で、血漿浸透圧は正常範囲に保たれます。出血や急性の下痢など、細胞外液がそのまま失われる病態でみられます。
高張性脱水(水欠乏型)
水のほうがナトリウムより多く失われる脱水で、血漿ナトリウム濃度が上昇し血漿浸透圧は高くなります。水分摂取不足や発熱、不感蒸泄の増加で生じ、強い口渇を訴えることが特徴です。細胞内から水が引き出されるため細胞内脱水となります。
低張性脱水(塩分欠乏型)
ナトリウムのほうが水より多く失われる脱水で、血漿ナトリウム濃度が低下し血漿浸透圧は低くなります。大量発汗後に水だけを補給した場合などに生じ、水が細胞内へ移動して循環血液量が減少するため、意識障害や倦怠感が前景に立ちます。重症化すると脳浮腫や痙攣を起こすこともあり、いわゆる水中毒の病態と一致します。
経口補水液と看護
発汗による水分喪失時には、水だけでなくナトリウムも同時に補う必要があります。経口補水液はナトリウムと糖を適切な濃度で含み、小腸での水分吸収を促進するよう設計されており、軽症から中等症の脱水補正に用いられます。看護では、バイタルサイン、尿量、意識レベル、口渇感、皮膚や口腔粘膜の乾燥、ツルゴール反応などを観察し、脱水の種類と重症度を評価することが重要です。
まとめ
脱水の病態は、失われた水分とナトリウムの比率によって等張性・高張性・低張性に分かれ、それぞれ血漿浸透圧と細胞内外の水分動態が異なります。高張性では口渇、低張性では意識障害が特徴的に現れるため、症状と電解質の関連を結びつけて理解することが、適切な補液や看護介入の判断につながります。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
体液は細胞内液と細胞外液に分けられ、細胞外液はさらにと血漿に区分される。
- 2.
細胞外液の主要陽イオンはであり、細胞内液の主要陽イオンはカリウムである。
- 3.
水とナトリウムが同程度の比率で失われる脱水をという。
- 4.
水のほうがナトリウムより多く失われ、強い口渇を訴えるのはである。
- 5.
ナトリウムのほうが水より多く失われ、意識障害が前景に立つのはである。
- 6.
大量発汗後に水だけを多量に補給することで低Na血症をきたす病態はと呼ばれる。
- 7.
ナトリウムと糖を適切な濃度で含み、小腸での水分吸収を促進する飲料をという。
- 8.
血漿浸透圧が低下すると、水は浸透圧の高いへ移動するため、循環血液量は減少する。
