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健康権・生存権の法的根拠

健康支援と社会保障制度 / 健康増進・疾病予防

解説

健康権・生存権とは、人が健康で文化的な生活を送る権利を法的・国際的に保障する基本的人権です。今回は日本国憲法と国際宣言に基づく健康権・生存権の根拠について解説します。

日本国憲法第25条と生存権

日本における健康権の最も重要な法的根拠は、日本国憲法第25条です。第1項では「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定められ、これが生存権と呼ばれます。さらに第2項では「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定され、国の責務として社会保障・社会福祉・公衆衛生の三本柱の向上が明記されています。

生存権の法的性格

生存権の法的性格をめぐっては、二つの学説があります。一つはプログラム規定説で、第25条は国の政治的・道義的目標を示したものであり、国民が直接給付を請求できる具体的権利ではないとする考え方です。もう一つは法的権利説で、生存権は裁判規範性を有する具体的権利であるとする立場です。判例上はプログラム規定説に近い解釈がなされる傾向がありますが、生存権は社会保障制度全体の理念的根拠として機能しています。

生存権を具体化する制度

憲法第25条を具体化する法律として、生活保護法による公的扶助、介護保険法による高齢者介護、健康保険法・国民健康保険法などの医療保険制度、地域保健法・健康増進法による公衆衛生施策が整備されています。これらはいずれも生存権の理念を実現するための法的仕組みです。

健康権の国際的根拠

健康を人々の権利として明記した最初の国際文書は、WHO憲章です。WHO憲章は1946年に採択され、1948年に発効しました。その前文には「到達しうる最高水準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念や経済的・社会的条件の差別なく、すべての人が有する基本的権利の一つである」と記され、健康そのものが基本的人権であることを世界で初めて明確に宣言しました。

世界人権宣言

1948年に国連総会で採択された世界人権宣言第25条では「すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利を有する」と定められています。WHO憲章とともに、健康権を国際的に裏付ける基盤となっています。

関連する医療倫理の宣言

健康権を支える医療倫理の宣言として、いくつかの重要な国際文書があります。ニュルンベルク綱領(1947年)はナチスの人体実験への反省から、被験者の自発的同意を中心とする人体実験の倫理原則を示しました。ジュネーブ宣言(1948年)は現代版「ヒポクラテスの誓い」と呼ばれ、医師の職業倫理を定めています。ヘルシンキ宣言(1964年)は人を対象とする医学研究の倫理原則を示し、インフォームド・コンセントの基礎となりました。リスボン宣言(1981年)は患者の権利を体系化し、自己決定権や情報を得る権利などを掲げています。

まとめ

健康権・生存権の法的根拠は、国内では日本国憲法第25条に基づく生存権と、それを具体化する社会保障・社会福祉・公衆衛生の諸制度に求められます。国際的にはWHO憲章前文と世界人権宣言第25条が健康権を基本的人権として明記し、さらにニュルンベルク綱領、ジュネーブ宣言、ヘルシンキ宣言、リスボン宣言などの医療倫理宣言が患者・被験者の権利を支えています。これらの法的・倫理的根拠は、看護を含む医療実践の基盤となる重要な枠組みです。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    日本国憲法第条は、すべて国民はで文化的な最低限度の生活を営む権利を有すると定めており、これを権という。

  2. 2.

    憲法第25条第2項では、国は社会福祉、及びの向上及び増進に努めなければならないと規定されている。

  3. 3.

    生存権の法的性格に関する学説として、政治的目標を示すにとどまるとする説と、具体的権利であるとする説がある。

  4. 4.

    健康を基本的人権として最初に明記した国際文書は、1946年採択・1948年発効のである。

  5. 5.

    1948年に国連総会で採択された第25条には、健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利が定められている。

  6. 6.

    人体実験における被験者の自発的同意の重要性を示したのは1947年のである。

  7. 7.

    1964年に採択された人を対象とする医学研究の倫理原則を示す宣言は宣言である。

  8. 8.

    患者の権利を体系化した1981年の宣言は宣言である。

  9. 9.

    医師の職業倫理を定めた現代版ヒポクラテスの誓いとも呼ばれる1948年の宣言は宣言である。

  10. 10.

    憲法第25条を具体化する公的扶助制度の根拠法は法である。

健康権・生存権の法的根拠」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。