下痢と便秘の分類
成人看護学 / 消化器系
解説
下痢と便秘は、排便異常を代表する症状であり、その発生機序や原因によっていくつかに分類されます。今回は下痢と便秘の分類について解説します。
下痢の分類
下痢とは、便中の水分量が増加し、便が泥状または水様となって排泄される状態をいいます。下痢はその発生機序によって、滲出性下痢、分泌性下痢、浸透圧性下痢、運動亢進性下痢、脂肪性下痢に分類されます。
滲出性下痢
滲出性下痢は、腸管粘膜に炎症や潰瘍が生じることで粘膜の透過性が亢進し、血漿成分や粘液、血液などの滲出液が腸管内へ漏れ出すことで生じる下痢です。代表的な原因疾患は潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患で、粘血便を呈することが特徴です。潰瘍性大腸炎は原因不明の慢性炎症性疾患で、厚生労働省の指定難病に位置付けられています。
分泌性下痢
分泌性下痢は、腸管粘膜からの水分や電解質の分泌が異常に亢進することで起こります。代表例はコレラで、コレラ毒素が腸管上皮に作用し大量の水分が分泌されることで激しい水様便を生じます。
浸透圧性下痢
浸透圧性下痢は、腸管内に吸収されにくい物質が存在することで腸管内の浸透圧が高まり、水分が腸管内に引き込まれて生じます。下剤の乱用や乳糖不耐症などが原因となります。
運動亢進性下痢と脂肪性下痢
運動亢進性下痢は、腸管運動が過度に亢進し内容物の通過時間が短縮することで水分吸収が不十分となり生じる下痢で、過敏性腸症候群などでみられます。脂肪性下痢は脂肪の消化吸収障害による下痢で、慢性膵炎などが原因となります。
便秘の分類
便秘は原因によって機能性便秘と器質性便秘に大別されます。
器質性便秘
器質性便秘は、大腸癌、イレウス、術後癒着、クローン病、大腸憩室などにより腸管内腔に器質的な狭窄や通過障害が生じて起こる便秘です。進行性の便秘に便柱狭小、血便、体重減少を伴う場合は大腸癌の精査が必要です。
機能性便秘
機能性便秘は腸管の機能異常によるもので、弛緩型、痙攣型、直腸型の3つに分類されます。弛緩型は腸管の蠕動運動が低下したもので、食物繊維と水分摂取、適度な運動が基本となります。痙攣型は腸管の過緊張により生じ、ストレス管理や低刺激食が重要です。直腸型は便意の抑制習慣などにより直腸に便が停滞するもので、規則的な排便習慣の再教育が必要です。
まとめ
下痢は発生機序により滲出性、分泌性、浸透圧性、運動亢進性、脂肪性に分類され、潰瘍性大腸炎は滲出性下痢を起こします。便秘は器質性と機能性に大別され、大腸の狭窄による便秘は器質性便秘に該当します。分類と原因疾患を対応付けて整理しておくことが重要です。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
潰瘍性大腸炎により生じる下痢は、病態機序による分類でに分類される。
- 2.
潰瘍性大腸炎は原因不明の炎症性腸疾患であり、厚生労働省のに位置付けられている。
- 3.
コレラ毒素により大量の水分が腸管内へ分泌されて生じる下痢はである。
- 4.
下剤の乱用や乳糖不耐症で生じる、腸管内の浸透圧上昇による下痢はである。
- 5.
便秘は原因によって機能性便秘とに大別される。
- 6.
大腸癌やイレウスなどによる大腸の狭窄が原因となる便秘はである。
- 7.
機能性便秘は弛緩型、痙攣型、の3つに分類される。
- 8.
潰瘍性大腸炎の特徴的な便の所見はである。
