在宅感染予防と管理
地域・在宅看護論 / 在宅生活支援・その他
解説
在宅で療養する方は、病院と違って清潔区域と不潔区域がはっきりと分かれていない生活空間で日常を送っています。家族や訪問するスタッフが多く出入りし、ペットや来客もある環境で、感染を防ぐためには医療者と利用者・家族が同じ視点で予防行動を共有することが重要になります。ここでは在宅における感染予防の基本である標準予防策と、感染症流行時の事業所での対応について、ゼロから整理して学んでいきましょう。
標準予防策(スタンダードプリコーション)の考え方
標準予防策とは、汗を除くすべての血液・体液・分泌物・排泄物・粘膜・損傷した皮膚は感染の可能性があるものとして扱う、という原則です。感染症の有無や診断名にかかわらず、すべての療養者に等しく適用するのが特徴です。在宅療養者に感染徴候がなくても、排泄物や唾液には何らかの病原体が含まれている可能性があるという前提で接します。
この考え方の柱になるのが手指衛生と**個人防護具(PPE)**の適切な使用です。手指衛生は流水と石けんによる手洗い、または速乾性アルコール製剤による手指消毒で行い、ケアの前後に必ず実施します。個人防護具は手袋、エプロンまたはガウン、マスク、ゴーグルがあり、行う処置のリスクに応じて選択します。
個人防護具の選び方
手袋は血液・体液・排泄物に触れる可能性があるすべての場面で着用します。エプロンやガウンは衣服が汚染される可能性があるとき、マスクやゴーグルは飛沫や飛散のおそれがあるときに使います。たとえば床上での排便援助では、排泄物の飛散や衣服汚染が起こりやすいため、手袋と使い捨てエプロンの着用が基本となり、状況に応じてマスクも追加します。
在宅特有の感染対策の工夫
在宅では病院のような医療廃棄物処理や高水準消毒の設備が整っていません。そのため、排泄物で汚染されたおむつや手袋は密閉して可燃ごみとして家庭で処分し、汚染した衣類は家庭用洗剤で他の洗濯物と分けて洗う、といった現実的な対応をとります。ただし、ノロウイルス、疥癬、多剤耐性菌などの感染症が確認された場合は、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒や個室対応など、病院に準じた対応へ切り替えます。
感染症流行期の事業所での予防
小規模多機能型居宅介護のように通い・訪問・泊まりを組み合わせる事業所では、職員や利用者を介して感染が広がりやすい構造があります。インフルエンザのように飛沫感染と接触感染で広がる感染症が流行している時期は、まだ罹患者がいない段階でも標準予防策を徹底することが重要です。なかでも最も基本かつ効果が高い対策は手洗いの励行で、職員・利用者ともに実施します。あわせてマスク着用、湿度50〜60%の管理、定期的な換気、予防接種、毎日の体調管理を組み合わせて重層的に守ります。
まとめ
在宅感染予防の基本は、すべての療養者に標準予防策を適用し、行うケアのリスクに応じて手袋・エプロン・マスクなどを選択することです。流行期の事業所対応では、罹患者がいない段階から手洗いを中心とした基本対策を徹底し、生活の場であることに配慮した現実的で持続可能な感染管理を行うことが看護師の役割になります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
標準予防策では、汗を除くすべての血液・体液・分泌物・・粘膜・損傷した皮膚を感染の可能性があるものとして扱う。
- 2.
標準予防策は感染症の有無に、すべての療養者に適用される。
- 3.
感染徴候のない在宅療養者の床上での排便援助では、と使い捨てエプロンを着用するのが適切である。
- 4.
インフルエンザの主な感染経路は感染と接触感染である。
- 5.
インフルエンザ流行期に事業所内で罹患者がいない場合、最も基本かつ効果の高い予防策はの励行である。
- 6.
インフルエンザ予防では、室内湿度を%に保つことが望ましい。
- 7.
在宅で排泄物に汚染されたおむつは密閉してごみとして処分するのが一般的である。
- 8.
ノロウイルスや疥癬、多剤耐性菌が確認された場合は、に準じた感染対策に切り替える。
