国際機関の役割と事業
看護の統合と実践 / 国際看護・多文化看護
解説
国際看護の分野では、世界中の人々の健康を守るためにさまざまな国際機関が活動しています。それぞれの機関には固有の役割と事業内容があり、看護師国家試験では「どの機関が何を担当しているか」を正確に結びつける問題が頻出です。略称・主任務・本部所在地をセットで整理しておくことが得点への近道になります。
WHO(世界保健機関)の役割
**WHO(World Health Organization:世界保健機関)**は1948年に設立された国連の専門機関で、本部はスイスのジュネーブにあります。「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的に掲げ、人々の健康を基本的人権と位置づけて活動しています。
主な事業内容は、感染症対策、予防接種の普及、母子保健、精神保健、非感染性疾患対策、喫煙対策、保健分野の研究促進と技術協力など多岐にわたります。さらに**国際保健規則(IHR)**の運用やパンデミック対応の調整役も担っており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行では国際的な中核機関として機能しました。
WHOが策定する代表的な国際基準が**国際疾病分類(ICD:International Classification of Diseases)**です。ICDは疾病・傷害・死因を統一基準で分類するための国際共通ルールで、現在は2022年に発効したICD-11が使用されています。
国連系の主な専門機関
WHO以外にも、国連には保健・福祉に関わる多くの機関があります。**UNICEF(国連児童基金)**は子どもの健康・栄養・教育・保護を担当し、予防接種事業や緊急人道支援にも力を入れています。**UNFPA(国連人口基金)**は人口問題やリプロダクティブヘルス、母子保健を扱う機関です。
UNAIDSはHIV/AIDS対策を専門に担う合同計画で、複数の国連機関が連携して運営しています。**UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)**は難民・避難民の保護と支援、**WFP(世界食糧計画)**は飢餓と闘うための食糧支援を担当しています。
また**ILO(国際労働機関)**は労働条件改善と労働者保護、**UNESCO(国連教育科学文化機関)**は教育・科学・文化を通じた国際協力、**FAO(国連食糧農業機関)**は農業と食料、**UNDP(国連開発計画)**は開発途上国の支援を担います。
非国連系の機関と日本の協力
国連に属さない国際的な人道支援組織も重要です。**ICRC(赤十字国際委員会)**は中立・独立の立場から武力紛争下の人道支援を行い、**MSF(国境なき医師団)**は紛争地や被災地で医療援助を展開するNGOです。これらは国連機関ではない点が試験でよく問われます。
日本のODA(政府開発援助)を実施する代表的機関が**JICA(国際協力機構)**で、二国間協力の中心を担います。多国間協力ではWHOやUNICEFなどへの拠出金という形で貢献しています。
まとめ
国際機関は、それぞれが分担する専門領域を持ち、世界の健康と福祉を支えています。WHOは保健全般とICDの策定、UNICEFは子ども、UNFPAは人口とリプロダクティブヘルス、UNHCRは難民、ILOは労働、UNESCOは教育科学文化を担当することを押さえてください。ICRCやMSFは国連機関ではない人道支援組織であり、JICAは日本のODA実施機関である点も国試で頻出のポイントです。略称と主任務をセットで暗記することで、組合せ問題に確実に対応できるようになります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
世界保健機関の略称はであり、1948年に設立された国連の専門機関である。
- 2.
WHOが策定する疾病・傷害・死因の国際共通分類を(国際疾病分類)という。
- 3.
難民の保護と支援を担当する国連機関は(国連難民高等弁務官事務所)である。
- 4.
子どもの健康・教育・保護を担う国連機関は(国連児童基金)である。
- 5.
人口問題やリプロダクティブヘルスを扱う国連機関は(国連人口基金)である。
- 6.
労働条件の改善と労働者保護を担う国連の専門機関は(国際労働機関)である。
- 7.
日本のODA(政府開発援助)を実施する代表的な機関は(国際協力機構)である。
- 8.
武力紛争下で中立・独立の立場から人道支援を行う非国連の国際組織は(赤十字国際委員会)である。
