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変形性股関節症の外来看護

老年看護学 / 運動器・転倒・リハビリ

解説

今回は変形性股関節症の外来看護について解説します。変形性股関節症は中高年女性に多くみられる慢性の関節疾患で、外来通院しながら保存療法を続ける患者が多いため、看護師には症状進行の予防、転倒予防、生活の質(QOL)を支える幅広い支援が求められます。

変形性股関節症の基礎知識

変形性股関節症とは、股関節の関節軟骨が摩耗・変性し、軟骨下骨の硬化や骨棘形成、関節裂隙の狭小化などを生じる進行性の疾患です。日本では先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全を背景にした二次性のものが多く、中高年女性に好発します。主な症状は股関節痛、関節可動域の制限、跛行であり、進行すると左右の脚長差が生じて立位や歩行のバランスが崩れます。日常生活では立ち上がり時のふらつき、長時間の立位や歩行による痛みの増強がみられ、転倒のリスクが高まります。

保存療法と生活指導

外来での保存療法は、減量・運動療法・関節保護の三本柱を中心に行います。股関節には歩行時に体重の3〜4倍の荷重がかかるため、肥満は関節への負担を増やし症状を悪化させます。BMIが25を超える肥満の患者では、減量が症状進行予防の最優先事項となります。1kgの減量でも歩行時の関節負荷は3〜4kg軽減され、疼痛の軽減と可動域の維持につながります。

運動療法では、股関節周囲の中殿筋・大殿筋・大腿四頭筋の強化を目的とした筋力訓練や、関節への荷重を抑えられる水中運動が推奨されます。関節保護の観点では、長時間の立位や正座、和式トイレなど股関節を深く曲げる動作を避け、洋式の生活様式に整えることが大切です。痛みが強いときには消炎鎮痛薬を使用し、保存療法で改善しない場合は人工股関節置換術が検討されます。

杖の使い方

T字杖は患側の負担を軽減するために用いますが、**健側(患側と反対側)**の手で持つのが原則です。健側で杖を持ち、患側下肢と一緒に杖を出すことで、痛みのある関節への荷重を減らせます。階段では「上るときは健側から、下りるときは患側から」を基本とし、転倒を防ぎます。

転倒予防の視点

変形性股関節症の患者は、関節痛、可動域制限、脚長差、立ち上がり時のふらつきといった複数の転倒リスクを抱えています。座って過ごす時間が長いと下肢筋力がさらに低下し、転倒の危険性が高まります。外来では待合室での転倒事故も起こりうるため、患者の歩行状態を観察し、トイレ誘導や移動の際に見守りではなく介助を選択することが重要です。院内で車椅子が確保できない場合でも、看護師が同行して歩行を支えることが安全確保の基本となります。

セクシュアリティへの支援

慢性疾患の患者にとって性は人間の基本的ニーズであり、看護の対象です。股関節痛や脱臼への不安から性交を控える患者は少なくありませんが、看護師が相談を受けた際は意思を尊重し、股関節への負担が少ない体位など具体的な情報を提供します。過屈曲・内転・内旋の組み合わせは関節への負担や脱臼のリスクを高めるため避け、側臥位で患側を上にする、仰臥位で膝下にクッションを入れるなどの工夫が有用です。相談は同性の看護師がプライバシーの保たれた場所で対応します。

まとめ

変形性股関節症の外来看護では、減量・運動・関節保護を柱とする保存療法の指導が中心となります。T字杖は健側で持ち、脚長差や立ち上がり時のふらつきを抱える患者には転倒予防のための直接的介助が重要です。さらに、セクシュアリティを含む生活全体のQOLを支える視点をもち、患者が安心して通院生活を続けられるよう支援することが看護師の役割です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    変形性股関節症では股関節に体重の3〜4倍の荷重がかかるため、肥満のある患者では症状進行予防としてが最も優先される。

  2. 2.

    変形性股関節症の運動療法では、股関節周囲の中殿筋・大殿筋・などの筋力強化が推奨される。

  3. 3.

    T字杖は患側の負担を軽減するため、患側と反対側であるで持つのが原則である。

  4. 4.

    階段昇降では転倒予防のため、上るときは健側から、下りるときはから行う。

  5. 5.

    変形性股関節症の患者で、左右の脚長差や立ち上がり時のふらつきがある場合、外来での転倒リスクが高いため、急な排泄ニーズには看護師が歩行を介助する。

  6. 6.

    慢性疾患患者から性に関する相談を受けたとき、看護師は性をニーズの一つとして捉え、股関節に負担がないについて具体的に情報提供する。

  7. 7.

    変形性股関節症や人工股関節置換術後では、関節への負担や脱臼を避けるため、過屈曲・内転・の組み合わせとなる肢位を避ける。

  8. 8.

    保存療法で症状の改善が得られない進行例では、外科的治療としてが検討される。

変形性股関節症の外来看護」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。