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変形性股関節症の進行予防、最優先の指導は?

看護師国家試験 第113午前100(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

113午前100

状況設定

Aさん(70歳、女性)は夫(68歳)と2人で暮らしている。BMI26で左股関節の変形性関節症(osteoarthritis)のため関節可動域の制限と疼痛があり、外出時はT字杖を使用している。症状が強いときに消炎鎮痛薬を服用しているが、日常生活動作は自立している。Aさんは過去に転倒したことはないが、左右の下肢の差が3cmあり、立ち上がるときにふらつくことがある。自宅で座って過ごす時間が長い。Aさんは定期受診のため夫に付き添われて外来を受診した。

Aさんの症状の悪化を予防するための説明で適切なのはどれか。

  1. 1.運動はしない。
  2. 2.減塩食をとる。
  3. 3.体重を減らす。
  4. 4.家事は夫に任せる。

対話形式の解説

博士博士
Aさんは70歳女性、BMI26で左変形性股関節症。症状悪化予防の指導で適切なのはどれじゃ?
サクラサクラ
運動しない、減塩、体重を減らす、家事を夫に任せる、ですね。
博士博士
まず関節にかかる荷重を考えよう。歩行時に股関節には体重の何倍がかかる?
サクラサクラ
体重の3〜4倍と言われていますね。
博士博士
BMI26は肥満何度?
サクラサクラ
肥満1度です。減量の効果は大きいですね。
博士博士
そのとおり。1kg減ればどの程度の負荷軽減になる?
サクラサクラ
歩行時に3〜4kgの負荷軽減になり、疼痛緩和や可動域維持に直結します。
博士博士
『運動しない』はどうじゃ?
サクラサクラ
廃用性の筋力低下を招き、関節を支える力がさらに落ちて悪化します。
博士博士
推奨される運動は?
サクラサクラ
水中歩行、自転車エルゴメーター、等尺性運動など衝撃の少ないものです。
博士博士
減塩食は?
サクラサクラ
高血圧管理には有効でも、軟骨摩耗を止める効果はありません。
博士博士
家事を夫に任せるのは?
サクラサクラ
ADLが自立しているAさんには過剰介入で、座位時間が延びて悪化要因です。
博士博士
関節保護の生活指導で杖はどちら側に持つ?
サクラサクラ
患側の反対、健側で持ちます。階段は『行きはよいよい、帰りは怖い』で健側から上り患側から下ります。
博士博士
進行予防の3本柱は減量・運動・関節保護じゃ。

POINT

変形性関節症の進行予防で最も優先される保存療法の柱を選べるかを問う設問です。体重と関節荷重の関係、運動の意義を正しく理解することが鍵です。

解答・解説

正解は3です

問題文:Aさんの症状の悪化を予防するための説明で適切なのはどれか。

解説:正解は3の「体重を減らす」です。変形性股関節症では体重の3〜4倍の荷重が関節にかかるとされ、BMI26という肥満1度のAさんでは体重管理が症状進行予防の要です。1kgの減量でも歩行時の関節負荷は3〜4kg軽減し、疼痛軽減と可動域維持に直結します。

選択肢考察

  1. ×1.  運動はしない。

    安静は筋力低下を招き関節を支える機能がさらに落ちて症状を悪化させます。水中歩行や自転車エルゴメーター、等尺性運動など関節に衝撃の少ない運動はむしろ推奨され、適度な運動と休息のバランスが重要です。

  2. ×2.  減塩食をとる。

    減塩は高血圧や心不全の管理に有効ですが、変形性関節症の病態(軟骨摩耗・骨棘形成)とは直接関係がありません。高血圧合併があれば別の観点から勧めることはあっても、症状進行予防の第一選択ではありません。

  3. 3.  体重を減らす。

    正解です。股関節には歩行時に体重の3〜4倍の荷重がかかり、肥満は軟骨摩耗を加速させます。減量は疼痛緩和と可動域維持、手術時期の先延ばしに寄与するエビデンスがあり、BMI25未満を目標に指導します。

  4. ×4.  家事は夫に任せる。

    Aさんは日常生活動作が自立しており、家事を完全に任せると廃用性の筋力低下と座位時間の延長を招きます。負担の大きい動作だけ分担する、立ち仕事の合間に休憩を入れるなど工夫が適切です。

変形性関節症の進行予防3本柱は『減量・運動・関節保護』です。運動は股関節周囲筋(中殿筋・大殿筋・大腿四頭筋)の強化と水中運動が推奨されます。関節保護の視点では杖を『患側の反対側(健側)』で持つ、階段昇降は健側から上がり患側から下りる、長時間の立位を避けるなどの生活指導があります。保存療法で改善しない場合は人工股関節置換術が検討されます。

変形性関節症の進行予防で最も優先される保存療法の柱を選べるかを問う設問です。体重と関節荷重の関係、運動の意義を正しく理解することが鍵です。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。