学童期肥満の食事・生活指導
小児看護学 / 小児の心理発達・権利・社会
解説
学童期の肥満とは、おおむね小学校就学から思春期前までの子どもにおいて、身長に対して体重が過剰となった状態をいいます。今回は学童期の生活習慣と肥満指導について解説します。
近年、食生活の変化や運動不足、夜更かしなどの生活習慣の乱れにより、学童期の肥満は増加傾向にあります。学童期の肥満は成人肥満や生活習慣病へ移行しやすいことが知られており、早期からの介入が重要です。看護師は身体的評価と生活習慣の両面から支援する役割を担います。
学童期の肥満評価
肥満度の計算と判定区分
学童期では身長に対する標準体重と実測体重との差を用いた肥満度で評価します。計算式は「肥満度(%)=(実測体重−身長別標準体重)÷身長別標準体重×100」です。学校保健安全法に基づく学校健診では、+20%以上+30%未満を軽度肥満、+30%以上+50%未満を中等度肥満、+50%以上を高度肥満と判定します。
発達段階別の評価指標
肥満の評価指標は発達段階によって使い分けます。乳幼児期はカウプ指数、学童期は身長別標準体重を用いた肥満度、思春期以降はBMIを用います。年齢に応じた指標を選ぶことが正確な評価につながります。
食事指導の基本
三大栄養素のエネルギー比率
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、学童期・思春期の三大栄養素のエネルギー比率の目標量を、たんぱく質13〜20%、脂質20〜30%、炭水化物50〜65%としています。脂質のうち飽和脂肪酸は10%以下が目安です。
脂質を極端に制限してはいけない理由
脂質は細胞膜・ホルモン・神経組織の構成成分であり、成長期には欠かせない栄養素です。極端な制限は発育障害や月経異常を招くおそれがあるため、減量目的であっても目標量の中央である25%前後を目安に確保します。総エネルギー量と栄養バランスの両面から指導し、特定栄養素を極端にカットしないことが原則です。
食事内容の改善
スナック菓子や清涼飲料水には遊離糖類や飽和脂肪酸が多く含まれます。これらを果物や水・お茶などに置き換える方法は、無理なく実行しやすく現実的な改善策となります。
生活リズムと睡眠の指導
概日リズムと睡眠相後退症候群
ヒトの概日リズム(体内時計)は約24時間より少し長く、毎朝の光刺激によってリセットされます。学童・思春期では夜更かしから就寝・起床時刻が後ろにずれる睡眠相後退症候群がみられやすく、登校困難や日中の眠気の原因となります。
朝の光療法と生活改善の4本柱
朝に2,500〜10,000ルクスの高照度光を浴びると、視床下部の視交叉上核が活性化し、メラトニン分泌が抑制されて覚醒が促されます。その約14〜16時間後に再びメラトニンが分泌され、自然な眠気が訪れます。生活リズム改善の基本は、①朝の高照度光療法(朝日浴)、②就寝前のブルーライト制限、③起床・就寝時刻の固定、④日中の運動習慣の4本柱です。睡眠不足は肥満・抑うつ・学業不振との関連が指摘されており、十分な睡眠の確保は減量指導の重要な柱となります。
指導の基本姿勢
学童期はピアジェの発達段階でいう具体的操作期にあたり、抽象的な説明より具体物や数値を用いた指導が理解されやすい時期です。本人が主体的に取り組めるよう、目標を一緒に立て、達成感を持てる工夫が有効です。家族の協力を得ながら本人参加型で進めます。
まとめ
学童期の肥満指導では、身長別標準体重から算出する肥満度で評価し、軽度・中等度・高度の区分を把握します。食事は三大栄養素のバランスを保ち、脂質を極端に制限せず菓子類や清涼飲料水の置き換えで改善します。概日リズムを整える朝日浴と規則的な生活リズム、十分な睡眠も欠かせません。発達段階に合わせた具体的で本人参加型の指導が、将来の生活習慣病予防につながります。
確認問題(穴埋め)
空欄をタップすると答えが表示されます。
- 1.
学童期の肥満度(%)は、(実測体重−)÷身長別標準体重×100で計算する。
- 2.
学校健診における肥満度の判定では、+20%以上+30%未満を、+30%以上+50%未満を、+50%以上をと判定する。
- 3.
発達段階別の肥満評価指標は、乳幼児期は、学童期は、思春期以降はを用いる。
- 4.
日本人の食事摂取基準(2020年版)における学童期・思春期の三大栄養素エネルギー比率の目標量は、たんぱく質%、脂質%、炭水化物%である。
- 5.
脂質は細胞膜・ホルモン・の構成成分であり、成長期に極端に制限すると発育障害やを招くおそれがある。
- 6.
ヒトの体内時計であるは約24時間より少し長く、毎朝の光刺激でリセットされる。
- 7.
夜更かしから就寝・起床時刻が後方にずれる概日リズム障害をといい、学童・思春期に多くみられる。
- 8.
朝に高照度光を浴びると視床下部のが活性化し、分泌が抑制されて覚醒が促される。
- 9.
学童期はピアジェの発達段階でいうにあたり、具体物や数値を用いた指導が理解されやすい。
