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免疫細胞と抗体産生

人体の構造・機能 / 免疫・血液・感染

解説

今回は免疫細胞と抗体産生について解説します。免疫とは、体内に侵入した病原体や異物を認識して排除する生体防御機構であり、その中心的役割を担うのが白血球と免疫グロブリン(抗体)です。看護師国家試験では、各免疫細胞の役割、抗体の種類と特徴、一次・二次免疫応答の違いが頻出します。

免疫を担う細胞

免疫機能に関与する細胞は白血球であり、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の総称です。基準値は成人で約3,500〜9,000/μLで、好中球が40〜70%と最多、リンパ球が20〜40%を占めます。細菌感染症では好中球が増加し、ウイルス感染や白血病ではリンパ球の異常が見られます。血液の三本柱として、白血球は免疫、赤血球は酸素運搬、血小板は止血を担うと整理しておきましょう。

マクロファージと貪食能

強い貪食能を有する代表的な細胞がマクロファージです。血中の単球が組織に遊走して分化したもので、細菌、ウイルス、死細胞などを取り込んで分解します。さらに、取り込んだ抗原の情報をT細胞に伝える抗原提示細胞として働き、獲得免疫の司令塔となります。樹状細胞も貪食と抗原提示能を持ちます。組織ごとに特化したマクロファージとして、肝臓のクッパー細胞、肺胞マクロファージ、中枢神経のミクログリアなどがあり、それぞれの場所で常駐して防御にあたっています。好中球とともに食細胞の代表として覚えておきましょう。

B細胞と形質細胞

B細胞は骨髄で産生・成熟するリンパ球で、抗原と出会うとヘルパーT細胞(特にTfh細胞)の補助を受けて活性化・増殖し、**形質細胞(プラズマ細胞)へ分化します。形質細胞は大量の抗体(免疫グロブリン)を産生・分泌する細胞で、体液性免疫の最終エフェクターです。同時にB細胞の一部はメモリーB細胞(記憶B細胞)**へ分化し、次回同じ抗原に曝露した際の迅速応答に備えます。

抗体(免疫グロブリン)の種類

抗体は免疫グロブリンと呼ばれ、5種類に分類されます。IgGは血中濃度が最も多く、唯一胎盤を通過して胎児に移行します。IgMは五量体構造で分子量約900kDa、感染初期に最初に産生され補体活性化能が非常に強いのが特徴です。IgAは粘膜や母乳に多く局所免疫を担い、IgEはI型アレルギー(即時型)に関与し、IgDはB細胞表面の受容体として働きます。血中濃度の順は、IgG>IgA>IgM>IgD>IgEと覚えます。

一次応答と二次応答

初回感染時には、B細胞が抗原を認識してから数日以内にクラススイッチ前のIgMをまず産生します。これが一次免疫応答で、数週間後にクラススイッチが起こりIgGが主体となります。一方、ワクチン接種後や再感染時には、メモリーB細胞が速やかに活性化し、初回より大量かつ高親和性のIgGを短期間で産生します。これを**二次免疫応答(ブースター効果)**といい、ワクチンの追加接種が有効な理由です。臨床的に、IgM抗体陽性は急性期や初感染を示し、IgG抗体陽性は既感染、回復期、ワクチン既接種の指標となります。

多発性骨髄腫

多発性骨髄腫は、形質細胞が腫瘍化して骨髄内でモノクローナルに増殖する血液がんです。単一クローンの免疫グロブリン(M蛋白)を過剰産生し、特徴的な症状としてCRABサイン、すなわちC(高Ca血症)、R(腎障害)、A(貧血)、B(骨病変)が現れます。検査では血清・尿中のM蛋白、尿中Bence Jones蛋白(遊離軽鎖)、骨髄中の形質細胞増加、骨X線で打ち抜き像(punched-out lesion)が認められます。治療にはプロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ)、免疫調節薬(レナリドミド)、抗CD38抗体(ダラツムマブ)、自家造血幹細胞移植などが用いられます。

まとめ

免疫の中心は白血球で、貪食と抗原提示を担うマクロファージが獲得免疫の司令塔となります。B細胞は形質細胞に分化して抗体を産生し、メモリーB細胞として記憶を残します。免疫グロブリンはIgG、IgM、IgA、IgE、IgDの5種類で、一次応答ではIgM、二次応答ではIgGが主役です。形質細胞が腫瘍化した疾患が多発性骨髄腫であり、M蛋白とCRABサインが鍵となります。これらの関係を整理して理解しておきましょう。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    強い貪食能を持ち、抗原提示細胞として獲得免疫の司令塔となる細胞はである。

  2. 2.

    B細胞が最終分化し、大量の抗体を産生・分泌する細胞は(プラズマ細胞)である。

  3. 3.

    初回感染時に最初に産生され、五量体構造で補体活性化能が強い免疫グロブリンはである。

  4. 4.

    免疫グロブリンのうち血中濃度が最も多く、唯一胎盤を通過するのはである。

  5. 5.

    ワクチン接種後の再曝露でメモリーB細胞が活性化し、大量の抗体を短期間で産生する反応を(ブースター効果)という。

  6. 6.

    免疫機能に関与し、好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球の総称となる血球はである。

  7. 7.

    形質細胞が腫瘍化し、M蛋白を過剰産生する血液がんはである。

  8. 8.

    多発性骨髄腫で見られる特徴的な4症状(高Ca血症・腎障害・貧血・骨病変)の頭文字をとった所見をという。

免疫細胞と抗体産生」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。