「創」と「傷」の違いとは?開放性損傷を見抜く基本のキ
看護師国家試験 第106回 午後 第81問 / 成人看護学 / 急性期・救急・クリティカルケア
国試問題にチャレンジ
開放性損傷はどれか。2つ選べ。
- 1.切創
- 2.打撲傷
- 3.擦過創
- 4.皮下出血
- 5.内臓損傷
対話形式の解説
博士
今回は外傷の分類、特に「開放性損傷」と「非開放性損傷」の違いについて学ぶぞ。
サクラ
開放性と非開放性って、なんだか言葉が難しいです…。
博士
簡単じゃよ。皮膚が破れているかどうか、それだけの違いなんじゃ。皮膚が破れているものを開放性損傷、破れていないものを非開放性損傷と呼ぶ。
サクラ
なるほど!出血しているかどうかで見分けられそうですね。
博士
基本的にはそうじゃ。ただし注意が必要で、皮下出血のように皮膚が破れていなくても皮下で出血している場合もある。その場合は非開放性損傷じゃよ。
サクラ
そうか、体外に血が出ているかどうかで判断するんですね。日本語では「創」と「傷」で使い分けるって聞いたことがあります。
博士
よく知っておるな。「創」が開放性、「傷」が非開放性じゃ。切創、刺創、擦過創、咬創、裂創はすべて開放性。打撲傷、捻挫、脱臼、皮下出血、内臓損傷は非開放性じゃな。
サクラ
あれ、でも「擦過傷」って書くこともありますよね?
博士
正式には「擦過創」と書くのが正しいんじゃ。摩擦で表皮が剥がれて出血するから、立派な開放性損傷じゃよ。
サクラ
なるほど。ところで、開放性と非開放性で看護上の注意点って違うんですか?
博士
大きく違うぞ。開放性損傷では感染リスクが最大の問題となる。特に土などで汚染された創では破傷風予防も重要じゃ。受傷から6時間以内、いわゆるゴールデンピリオドに十分な洗浄とデブリドマンを行うのが原則じゃな。
サクラ
一方、非開放性損傷は?
博士
見た目では軽症に見えても、内部の損傷が重篤なことがある。例えば腹部打撲で肝臓や脾臓が破裂していれば、皮膚は無傷でも大量出血でショックになる。だからこそバイタルサインや腹部症状の注意深い観察が命を救うのじゃ。
サクラ
外見だけで判断してはいけないんですね。
博士
その通り。特に交通事故や高所からの転落では必ず全身を評価する必要がある。救急看護では「見えない損傷」を疑う目が大切じゃよ。
サクラ
「創」と「傷」の漢字の違いに、こんなに深い意味があったなんて驚きです。
POINT
外傷は皮膚の連続性が断たれているかどうかで、開放性損傷(創)と非開放性損傷(傷)に分類されます。切創・擦過創・刺創・咬創・裂創などの開放性損傷では出血・疼痛・感染リスクが主な問題となり、打撲傷・捻挫・脱臼・皮下出血・内臓損傷などの非開放性損傷では外見に現れにくい内部損傷が臨床上の懸念点となります。看護師は創の種類を正しく判別し、開放性なら洗浄や感染予防、非開放性ならバイタルや腹部所見の観察を重視する必要があります。特に救急現場では「見えない損傷」を念頭に全身観察を徹底することが患者の予後を左右します。外傷分類の基本理解は、急性期看護の出発点となる重要な知識です。
解答・解説
正解は 1 ・ 3 です
問題文:開放性損傷はどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1(切創)と 3(擦過創)です。外傷は皮膚の連続性が断たれているか否かで「開放性損傷(=創)」と「非開放性損傷(=傷)」に大別されます。開放性損傷では皮膚が裂けて出血・疼痛・感染リスクが生じ、代表例として切創・擦過創・刺創・咬創・裂創などが該当します。一方、皮膚が破れず皮下組織・筋・腱・神経・骨・関節に損傷が及ぶものは非開放性損傷で、打撲傷・捻挫・脱臼・皮下出血・内臓損傷などが含まれます。
選択肢考察
-
○ 1. 切創
包丁やガラスなど鋭利な物で皮膚が断裂した開放性損傷。創縁が比較的整で、挫滅を伴わずに出血・疼痛が前面に出る。感染予防のため洗浄と適切な閉鎖が必要。
-
× 2. 打撲傷
鈍的外力により皮下組織や筋に挫滅が生じるが、皮膚の連続性は保たれるため非開放性損傷に分類される。いわゆる打ち身で、内出血や腫脹を伴う。
-
○ 3. 擦過創
摩擦によって表皮から真皮にかけて皮膚が削ぎ取られた開放性損傷。転倒時の膝擦りむきが典型で、汚染度が高く洗浄が治療の基本になる。
-
× 4. 皮下出血
外力で皮下血管が破綻し皮下に血液が貯留した状態。皮膚は破れておらず体外への出血もないため非開放性損傷。紫斑や血腫として視認される。
-
× 5. 内臓損傷
交通外傷などの鈍的外力で腹腔内臓器(肝・脾・腎など)が損傷する状態。皮膚表面に傷がなくても大出血を来しうる非開放性損傷である。
日本語の「創」と「傷」は医学的に使い分けがあり、「創=開放性(破れている)」「傷=非開放性(破れていない)」と覚えると整理しやすい。開放性損傷では破傷風を含む感染対策が不可欠で、汚染創では受傷から6時間以内(golden period)の洗浄・デブリドマンが推奨される。非開放性損傷は外見では軽症に見えても、内臓損傷のように致命的となる場合があり、バイタルサインや腹部所見を注意深く観察することが重要である。
創傷分類における「開放性損傷(創)」と「非開放性損傷(傷)」の違いを問う問題。皮膚の連続性が断たれているかどうかで見分けるのが鍵。
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