AEDは万能じゃない!電気ショックが効く心停止・効かない心停止
看護師国家試験 第106回 午前 第47問 / 成人看護学 / 急性期・救急・クリティカルケア
国試問題にチャレンジ
自動体外式除細動器〈AED〉による電気的除細動の適応となるのはどれか。
- 1.心静止( asystole )
- 2.心房細動( atrial fibrillation )
- 3.心室細動( ventricular fibrillation )
- 4.房室ブロック( atrioventricular block )
対話形式の解説
博士
今日はAEDの適応じゃ。心停止でも電気ショックが有効なものと無効なものがあるのを知っておるか?
サクラ
え、心停止なら全部AEDを使うものだと思ってました…
博士
よくある誤解じゃ。AEDの適応は「心室細動(VF)」と「無脈性心室頻拍(pulseless VT)」の2つ限定。今回の選択肢だと3の心室細動じゃな。
サクラ
VFとVTって、どう違うんですか?
博士
心室細動は心室の各部分がバラバラに震えて、ポンプ機能が完全に停止。心電図は細かくギザギザした不規則波形じゃ。無脈性心室頻拍はQRSが規則的だが頻拍すぎて拍出ができず脈が触れない状態。
サクラ
両方とも電気ショックでリセットできるってことですね。
博士
その通り!除細動の原理は、異常な電気活動を一度すべてリセットして、洞結節からの正常な指令を再開させることじゃ。
サクラ
では選択肢1の心静止(asystole)はなぜダメなんですか?
博士
心静止は心電図が平坦、電気活動が全くない状態。つまりリセットすべき異常電気活動が存在しない。電気ショックしても効果がないのじゃ。
サクラ
じゃあ心静止のときは何をするんですか?
博士
質の高い胸骨圧迫、気道確保、人工呼吸、そしてアドレナリン投与などの二次救命処置(ALS)が中心になる。
サクラ
選択肢2の心房細動はどうですか?
博士
心房細動は心房がバラバラだが、心室は房室結節を介して不規則ながら機能しておる。通常は心拍出は保たれ、心停止ではない。
サクラ
でも電気ショックで治すこともあるって聞きますが?
博士
病院内での同期電気的除細動(カルディオバージョン)じゃな。VFとは違って心電図のR波に同期してショックするから、AEDでは扱えんのじゃ。
サクラ
選択肢4の房室ブロックは?
博士
房室ブロックは心房から心室への伝導が遅れるか途絶える徐脈性不整脈。電気ショックではなくペースメーカー(一時的・恒久的)が適応じゃ。
サクラ
なるほど。AEDは「速すぎてバラバラ」なリズムに効くんですね。
博士
その通り!心停止リズムの4つ(VF、pulseless VT、心静止、PEA)のうち、前2つがショック適応(shockable rhythm)、後2つが非適応(non-shockable rhythm)と覚えておこう。
サクラ
AEDを使うときの救命率って、時間でどれくらい変わりますか?
博士
除細動が1分遅れるごとに救命率が7〜10%下がる。5分遅れれば半分以下じゃ。だから市民AEDの普及が重要なのじゃ。
サクラ
一般市民にもAED使用が推奨されてますよね。
博士
JRC蘇生ガイドラインでは、「反応なし・正常な呼吸なし」と確認したら、すぐ119番・AED取り寄せ・胸骨圧迫を開始することが推奨されておる。
サクラ
AEDは音声ガイドもついてるから、勇気を出して使えば救命につながるんですね。
博士
その通り。胸骨圧迫を中断しない範囲でAEDを装着し、音声指示に従うだけで解析からショックまで機械がやってくれる。
サクラ
知識があると行動に移しやすくなりますね。
POINT
AEDが有効なのは心室細動(VF)と無脈性心室頻拍(pulseless VT)の2つで、心筋の無秩序な電気活動をリセットすることで洞調律への復帰を期待します。心静止(asystole)と無脈性電気活動(PEA)はAED適応外で、質の高い胸骨圧迫とアドレナリン投与が中心となります。心房細動や房室ブロックはそもそも心停止ではなく別の治療が選択されます。救命率は除細動が1分遅れるごとに7〜10%低下するため、BLSの早期介入が不可欠で、看護師は市民への蘇生教育や院内急変対応の中心的な役割を担います。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:自動体外式除細動器〈AED〉による電気的除細動の適応となるのはどれか。
解説:正解は 3 です。AEDは心臓が有効なポンプ活動を失い、かつ心筋が無秩序な電気活動をしている致死性不整脈に対して、強い電気ショックで心筋全体を一度リセットし、正常な洞調律への復帰を期待する機器である。適応となるのは心室細動(VF)と無脈性心室頻拍(pulseless VT)の2つ。心室細動では心室の各部分がバラバラに収縮し全身への血液拍出が停止するため、早期の除細動が救命の決め手となる。AEDは自動的に心電図を解析し、適応リズムのみ電気ショックを指示する仕組みになっている。
選択肢考察
-
× 1. 心静止( asystole )
心電図が平坦で電気活動が全く検出されない状態。電気ショックでリセットすべき異常電気活動がないためAEDの適応ではなく、胸骨圧迫とアドレナリン投与による蘇生を優先する。
-
× 2. 心房細動( atrial fibrillation )
心房が無秩序に収縮する頻脈性不整脈だが、心室は房室結節で不規則ながら機能しており、通常は心拍出は保たれる。急を要する場合は病院内で同期電気的除細動(カルディオバージョン)を行うが、AEDの適応ではない。
-
○ 3. 心室細動( ventricular fibrillation )
心室が無秩序に震え、有効な心拍出が停止する致死性不整脈。AEDの最も主要な適応リズムで、発症から1分遅れるごとに救命率が7〜10%低下するため早期除細動が鍵となる。
-
× 4. 房室ブロック( atrioventricular block )
心房から心室への伝導障害による徐脈性不整脈。完全房室ブロックなど重症例ではペースメーカーが適応となるが、除細動の適応ではない。
AEDの適応となる致死性不整脈は心室細動(VF)と無脈性心室頻拍(pulseless VT)の2つ。一方、心静止(asystole)と無脈性電気活動(PEA)はAED適応外で、胸骨圧迫・気道確保・アドレナリン投与など質の高いCPRが必要。心停止から除細動までの時間が救命率を決定する最大要因で、1分ごとに7〜10%救命率が低下する。市民が使えるAEDは空港・駅・学校・公共施設などに広く配置され、JRC蘇生ガイドラインでは「反応なし・正常な呼吸なし」の成人にはすぐ胸骨圧迫とAED使用を開始することが推奨されている。
AEDが自動的に解析・ショック指示する適応リズム(VF・pulseless VT)と、そうでない心停止リズム(心静止・PEA)の違いを理解しているかを問う問題。
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