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糖尿病のフットケア——なぜ「保湿」がいちばん大切なのか

看護師国家試験 第114回 午後 第41問 / 成人看護学 / 内部環境と内分泌系

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第41問

糖尿病(diabetes mellitus)の在宅療養者に行うフットケアの説明で適切なのはどれか。

  1. 1.「素足で過ごしましょう」
  2. 2.「足の皮膚を保湿してください」
  3. 3.「足浴には42℃のお湯を使ってください」
  4. 4.「爪は指の先端よりも短く切ってください」

対話形式の解説

博士 博士

今日は糖尿病在宅療養者のフットケアについて学ぶぞ。まずなぜ糖尿病で足のケアが特別に重要なのかを押さえよう。

サクラ サクラ

糖尿病だと足が傷つきやすいんですよね?

博士 博士

その通り。糖尿病には三つの足の敵があってな。①末梢神経障害で痛みに気づかない、②動脈硬化で血流が悪く治りが遅い、③高血糖で免疫が落ちて感染が広がりやすい——この三拍子が揃うと小さな傷が壊疽になり、最悪は下肢切断に至るのじゃ。

サクラ サクラ

だから日々のケアで「傷を作らない」「早く見つける」が勝負なんですね。

博士 博士

うむ。さて選択肢を見ていこう。「素足で過ごしましょう」はどうじゃ?

サクラ サクラ

裸足だと画びょうとか踏んでも気づかないからダメですよね。室内でも靴下を履いた方がいい。

博士 博士

正解。白色の靴下を勧めることが多いぞ。出血したらすぐ気づけるからのう。次に「足浴42℃」はどうかな?

サクラ サクラ

熱そう…でも普通のお風呂って42℃くらいですよね?

博士 博士

健康な人なら平気じゃが、神経障害がある人は熱さを感じにくく低温熱傷を起こす。糖尿病患者の足浴は37〜39℃のぬるめが目安じゃ。必ず介助者が温度計や肘で確かめるよう指導するのじゃ。

サクラ サクラ

爪を指先より短く切るのは?深爪は良くないって聞いたことあります。

博士 博士

その通り。深爪は爪周囲を傷つけ陥入爪や感染の温床になる。指先と同じ長さで、両端を丸めずまっすぐに切る「スクエアオフ」が鉄則じゃ。

サクラ サクラ

残るは「足の皮膚を保湿してください」ですね。これが正解か。

博士 博士

うむ。糖尿病では自律神経障害で発汗が減り、皮脂も少なく、足の皮膚はカラカラに乾く。そこに亀裂が入ると細菌の侵入門戸となるのじゃ。だから尿素入りクリームなどで毎日保湿し、皮膚バリアを保つ——これが足病変予防の基本中の基本じゃよ。

サクラ サクラ

ただし、指の間は白癬の温床になるから塗りすぎ注意ですね。

博士 博士

よく勉強しておるな。あと毎日鏡で足底まで観察する、靴を履く前に中に異物がないか手で確かめる、靴は浮腫が出やすい夕方に試し履きする、といった生活指導もセットで押さえておくと良いぞ。

POINT

糖尿病在宅療養者へのフットケア指導では、「足の皮膚を保湿してください」が正解です。糖尿病患者は神経障害により痛覚が鈍り、動脈硬化で血流が低下し、易感染性も加わるため、わずかな乾燥や亀裂が潰瘍・壊疽・下肢切断へと進む危険があります。保湿は皮膚バリアを保ち、感染の入口となる亀裂を予防する最も基本的なセルフケアです。素足回避・湯温37〜39℃・スクエアオフ爪切り・毎日の足観察といった一連の指導とセットで覚え、看護師は「足を守ることが命を守る」視点で患者教育を行いましょう。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:糖尿病(diabetes mellitus)の在宅療養者に行うフットケアの説明で適切なのはどれか。

解説:正解は 2 「足の皮膚を保湿してください」です。糖尿病では高血糖の持続により末梢神経障害・末梢動脈疾患・易感染性が生じ、足の皮膚は皮脂分泌が低下して乾燥しやすくなります。乾燥が進むと角質層に亀裂(ひび割れ)が生じ、ここから細菌が侵入して足潰瘍・蜂窩織炎・壊疽へと進展し、最終的に下肢切断に至る危険があります。そのため毎日の保湿によって皮膚バリアを維持することは、糖尿病性足病変の一次予防として最も基本的かつ重要なセルフケアです。

選択肢考察

  1. × 1.  「素足で過ごしましょう」

    糖尿病性末梢神経障害があると、画びょうを踏む・小石を踏むといった軽微な外傷でも痛みを感じず気づかないため、潰瘍化のリスクが高まる。室内でも靴下や室内履きで足を保護することが推奨される。

  2. 2.  「足の皮膚を保湿してください」

    糖尿病患者の足は乾燥して亀裂が生じやすく、その亀裂が感染・潰瘍の入口になる。尿素配合クリームなどで保湿し皮膚バリアを保つことが、足病変予防の柱となる。なお、白癬予防のため指の間には塗布しすぎないよう指導する。

  3. × 3.  「足浴には42℃のお湯を使ってください」

    末梢神経障害により温度感覚が鈍麻しているため、42℃では低温熱傷を起こす危険がある。足浴は37〜39℃程度のぬるめに設定し、必ず手や温度計で湯温を確認するよう指導する。

  4. × 4.  「爪は指の先端よりも短く切ってください」

    深爪は爪周囲の皮膚を傷つけ陥入爪・感染の原因となる。糖尿病患者では爪の長さは指先と同じか少し短い程度にし、両端を丸めず一直線にカットする「スクエアオフ」が推奨される。

糖尿病性足病変の三大要因は「神経障害」「血流障害」「易感染性」である。神経障害により痛みに気づかず、血流障害により創傷治癒が遅延し、高血糖により感染が容易に拡大する。患者・家族への指導として、毎日の足の観察(鏡で足底まで確認)、靴の中の異物確認、白色靴下の着用(出血の早期発見)、爪切りはスクエアオフ、靴は夕方に試し履きして購入、といった具体策を伝える。

糖尿病性足病変を予防するためのフットケアの基本指導内容を問う問題。乾燥予防(保湿)・外傷予防(履物)・熱傷予防(湯温)・感染予防(爪切り)の4視点で考える。