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過活動膀胱の核心をつかむ

看護師国家試験 第105回 午前 第47問 / 成人看護学 / 泌尿器・性・生殖器系

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第47問

過活動膀胱(overactive bladder)の説明で正しいのはどれか。

  1. 1.尿意切迫感がある。
  2. 2.失禁することはない。
  3. 3.水分を制限して治療する。
  4. 4.50歳台の有病率が最も高い。

対話形式の解説

博士 博士

今日は過活動膀胱、OABの問題じゃ。名前は聞いたことあるかな?

サクラ サクラ

はい、頻尿で困る病気というイメージがあります。

博士 博士

そうじゃが、OABの診断で最も大切なのは「尿意切迫感」じゃ。急に強い尿意が襲ってきて我慢できない状態、これがないとOABとは言えん。

サクラ サクラ

ということは正解は1番ですね。

博士 博士

その通り。OABでは排尿筋が少量の蓄尿でも不随意に収縮してしまい、強烈な尿意として感じられる。頻尿や切迫性尿失禁も高頻度に伴うんじゃ。

サクラ サクラ

2番「失禁することはない」が違うのは、切迫性尿失禁があるからですね。

博士 博士

そうじゃ。失禁を伴うものをOAB-wet、伴わないものをOAB-dryと呼び分ける。wet型の方が生活の質への影響が大きいぞ。

サクラ サクラ

3番「水分を制限して治療」はどうですか?

博士 博士

これはよくある誤解じゃ。水分制限は脱水や濃縮尿による膀胱刺激を招くのでむしろ症状を悪化させる。治療の中心は薬物療法と行動療法じゃ。

サクラ サクラ

薬はどんなものが使われますか?

博士 博士

抗コリン薬(ソリフェナシン、イミダフェナシンなど)とβ3アドレナリン受容体作動薬(ミラベグロン、ビベグロン)じゃな。抗コリン薬は口渇や便秘、認知機能低下に注意が必要で、高齢者ではβ3作動薬が使いやすいこともある。

サクラ サクラ

4番「50歳台の有病率が最高」は?

博士 博士

違うぞ。日本の疫学研究ではOABは加齢とともに増加し、80歳以上で30〜40%と最も高くなる。50歳代はまだ10〜15%程度じゃ。

サクラ サクラ

行動療法にはどんなものがありますか?

博士 博士

膀胱訓練(少しずつ排尿間隔を延ばす)、骨盤底筋訓練(尿道括約筋を鍛える)が代表じゃ。カフェインやアルコールの制限、適正な飲水量の指導も組み合わせる。

サクラ サクラ

看護師として患者さんへ伝える際のポイントは?

博士 博士

羞恥心から受診が遅れる患者さんが多いから、まずは共感的に傾聴すること。排尿日誌をつけてもらい、客観的データをもとに生活指導と治療を進めていくと効果的じゃな。

サクラ サクラ

症状・疫学・治療の全体像が見えてきました。

POINT

過活動膀胱は尿意切迫感を必須症状とし、頻尿や切迫性尿失禁を伴う症候群で、診断にはOABSSを用います。加齢とともに有病率が上昇し80歳以上で最も多く、治療は抗コリン薬・β3作動薬と膀胱訓練・骨盤底筋訓練の組み合わせが基本です。水分制限は逆効果のため行わず、排尿日誌を活用した生活指導が重要となります。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:過活動膀胱(overactive bladder)の説明で正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。過活動膀胱(OAB)は「尿意切迫感」を必須症状とする症候群で、通常は頻尿、夜間頻尿、切迫性尿失禁を伴います。日本排尿機能学会の定義では、明らかな感染や代謝性疾患などの原因がないものを指し、過活動膀胱症状質問票(OABSS)を用いて診断します。成人の約12%、40歳以上では男女ともに加齢とともに有病率が上昇します。

選択肢考察

  1. 1.  尿意切迫感がある。

    尿意切迫感(急に起こる強い尿意で我慢困難なもの)はOABの診断に必須の症状です。少量の蓄尿で排尿筋が不随意に収縮するために生じ、頻尿や切迫性尿失禁を伴うことが多いです。

  2. × 2.  失禁することはない。

    OABの一症状に切迫性尿失禁があります。尿意切迫感の直後にトイレに間に合わず漏れるもので、OAB-wet(湿性)と呼ばれます。失禁を伴わないものはOAB-dry(乾性)と区別されます。

  3. × 3.  水分を制限して治療する。

    極端な水分制限は脱水や尿路感染、濃縮尿による膀胱刺激を招き逆効果です。治療は抗コリン薬やβ3作動薬(ミラベグロン)などの薬物療法と、膀胱訓練・骨盤底筋訓練などの行動療法が中心です。

  4. × 4.  50歳台の有病率が最も高い。

    OABは加齢とともに有病率が上昇し、日本の疫学調査では80歳以上で30〜40%と最も高くなります。50歳代は10〜15%程度で、年代別では高齢になるほど頻度が高いのが特徴です。

OABの病態は排尿筋の不随意収縮(detrusor overactivity)ですが、原因は神経性(脳血管障害、パーキンソン病、脊髄損傷)と非神経性に分類されます。治療は①生活指導(適切な飲水量と排尿習慣)②行動療法(膀胱訓練、骨盤底筋訓練)③薬物療法(抗コリン薬、β3作動薬)④難治例への神経変調療法・ボツリヌス毒素注入、の段階的アプローチが標準です。カフェインやアルコールは刺激となるため控えるよう指導します。

過活動膀胱の定義と主症状、有病率の特徴、治療の方向性を正しく理解しているかを問う問題です。