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前立腺癌の基本と治療

看護師国家試験 第111回 午後 第49問 / 成人看護学 / 泌尿器・性・生殖器系

国試問題にチャレンジ

111回 午後 第49問

前立腺癌(prostate cancer)について正しいのはどれか。

  1. 1.肺転移の頻度は低い。
  2. 2.血清PSA値が高値となる。
  3. 3.患者の多くは60歳未満である。
  4. 4.テストステロン補充療法が行われる。

対話形式の解説

博士 博士

今日は前立腺癌について学ぼう。男性の癌罹患数上位を占める疾患で、近年増加傾向にある。

サクラ サクラ

どんな特徴がありますか?

博士 博士

加齢とアンドロゲン依存性が二大特徴じゃ。50代から増加し始め、60〜70代以降が好発年齢。だから選択肢3の「多くが60歳未満」は誤りじゃな。

サクラ サクラ

なぜ増加しているのですか?

博士 博士

高齢化、食生活の欧米化、そしてPSA検診の普及による早期発見が理由じゃ。

サクラ サクラ

正解の2番、PSAについて詳しく教えてください。

博士 博士

PSAは前立腺特異抗原、前立腺上皮細胞から分泌される糖タンパク質じゃ。癌の発生や進行で血中濃度が上昇する。基準値は4.0ng/mL以下が一般的じゃよ。

サクラ サクラ

PSAだけで診断できますか?

博士 博士

いや、前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇するから、確定診断には針生検が必要じゃ。直腸診や経直腸的超音波も組み合わせる。

サクラ サクラ

転移について、肺転移は少ないのですか?

博士 博士

違うのじゃ。前立腺癌は骨転移、特に腰椎・骨盤・大腿骨が最多じゃが、リンパ節、肺、肝にも転移する。肺転移の頻度は低いとは言えない。選択肢1は誤りじゃ。

サクラ サクラ

骨転移はどんな症状が出ますか?

博士 博士

腰背部痛が主症状じゃ。進行すると病的骨折や脊髄圧迫による麻痺も起こる。画像では造骨性転移が特徴的じゃ。

サクラ サクラ

テストステロン補充療法はどうですか?

博士 博士

これは完全に禁忌じゃ。前立腺癌の多くはアンドロゲン依存性で、テストステロン投与は腫瘍増殖を促進してしまう。選択肢4は誤りじゃな。

サクラ サクラ

治療はどんな方法がありますか?

博士 博士

内分泌療法、つまりアンドロゲン遮断療法が主軸じゃ。LH-RHアゴニストやアンタゴニスト、抗アンドロゲン薬を用いる。ほかに手術、放射線療法、化学療法もある。

サクラ サクラ

監視療法とは何ですか?

博士 博士

PSA監視療法といって、進行の緩やかな早期癌で高齢者には積極治療せずに定期的にPSAを測定して経過を見る方法じゃ。過剰治療を避ける考え方が広がっておる。

サクラ サクラ

去勢抵抗性前立腺癌とは?

博士 博士

内分泌療法中にPSAが上昇し進行する状態じゃ。エンザルタミドやアビラテロンなどの新規ホルモン薬、化学療法、骨修飾薬などが使用される。

サクラ サクラ

看護のポイントは?

博士 博士

内分泌療法の副作用、ほてり・性機能低下・骨粗鬆症・心血管イベントなどへの対応、骨転移患者の疼痛管理と転倒予防、患者の男性性に配慮した心理的支援が重要じゃよ。

POINT

前立腺癌は加齢とアンドロゲン依存性が特徴で、好発年齢は60〜70代です。血清PSAは重要な腫瘍マーカーで上昇しますが、確定診断には生検を要します。転移は骨が最多ですがリンパ節・肺・肝にも及びます。アンドロゲン依存性のためテストステロン投与は禁忌で、LH-RHアゴニストなどによる内分泌療法が治療の中核です。正解は選択肢2です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:前立腺癌(prostate cancer)について正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。前立腺癌は男性の癌罹患数上位を占める疾患で、加齢とアンドロゲン(男性ホルモン)依存性が特徴です。血清PSA(prostate specific antigen:前立腺特異抗原)は前立腺上皮細胞から分泌される糖タンパク質で、前立腺癌の発生や進行に伴い血中濃度が上昇します。健診や早期発見のスクリーニング検査として広く用いられ、一般に4.0ng/mL以下が基準値とされますが、前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇するため確定診断には生検が必要です。

選択肢考察

  1. × 1.  肺転移の頻度は低い。

    前立腺癌は骨転移(特に腰椎・骨盤・大腿骨)が最多ですが、所属リンパ節転移、肺転移、肝転移も頻度の高い遠隔転移先です。「肺転移の頻度は低い」とは言えません。

  2. 2.  血清PSA値が高値となる。

    PSAは前立腺特異抗原で前立腺上皮由来の糖タンパク質です。前立腺癌では腫瘍量に応じて上昇し、早期発見とモニタリングに有用な腫瘍マーカーとなっています。

  3. × 3.  患者の多くは60歳未満である。

    前立腺癌は加齢に伴い罹患率が上昇し、50代から増加し始め60〜70代以降が好発年齢です。60歳未満での発症は相対的に少数派です。

  4. × 4.  テストステロン補充療法が行われる。

    前立腺癌の多くはアンドロゲン依存性で、テストステロン投与は腫瘍増殖を促進してしまうため禁忌です。治療ではむしろLH-RHアゴニスト/アンタゴニストや抗アンドロゲン薬を用いた内分泌療法(アンドロゲン遮断療法)を行います。

前立腺癌のスクリーニングはPSA測定、直腸診(硬結の触知)、経直腸的超音波が基本で、異常があれば針生検で確定診断します。病期はTNM分類、組織型はGleason scoreで評価されます。治療選択肢は監視療法(PSA監視療法)、手術(前立腺全摘術)、放射線療法(外照射・密封小線源療法)、内分泌療法、化学療法、去勢抵抗性に対する新規ホルモン薬(エンザルタミドなど)があり、病期・年齢・全身状態で選択します。骨転移による病的骨折や脊髄圧迫への対応も重要です。

前立腺癌の好発年齢、腫瘍マーカー、転移傾向、内分泌療法の原理を総合的に問う問題です。