高齢者虐待通報は地域包括支援センターの『権利擁護』業務
看護師国家試験 第108回 午後 第68問 / 地域・在宅看護論 / 地域包括ケアシステムと多職種連携
国試問題にチャレンジ
家族からネグレクトを受けている高齢者について、地域包括支援センターに通報があった。 この通報を受けた地域包括支援センターが行う業務はどれか。
- 1.権利擁護
- 2.総合相談支援
- 3.介護予防ケアマネジメント
- 4.包括的・継続的ケアマネジメント支援
対話形式の解説
博士
今日は家族からネグレクトを受けている高齢者について通報があった、という事例じゃ。地域包括支援センターのどの業務になるか問うておる。
アユム
博士、地域包括支援センターの業務っていくつかありましたよね?
博士
4つあるぞ。①総合相談支援、②権利擁護、③包括的・継続的ケアマネジメント支援、④介護予防ケアマネジメント、じゃ。虐待対応は2番目の権利擁護に含まれる。
アユム
だから正解は1番の権利擁護ですね。
博士
その通り。権利擁護業務は高齢者虐待対応、成年後見制度の活用支援、消費者被害の防止などを担う。『高齢者の権利を守る』業務全般じゃ。
アユム
高齢者虐待ってネグレクト以外にもあるんですか?
博士
ある。高齢者虐待防止法では5類型じゃ。身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待、そして介護・世話の放棄(ネグレクト)の5つじゃよ。
アユム
通報があったらすぐ家に突入するんですか?
博士
ははは、そうではない。まずコアメンバー会議を開くんじゃ。センター職員と市町村担当者、必要なら警察や医療機関が集まって、緊急性を判断する。生命の危険がある場合は立入調査や分離保護に進むぞ。
アユム
通報には義務があるんですか?
博士
発見した者には通報の努力義務、身体的虐待など生命身体に重大な危険がある場合は通報義務がある。医療・介護従事者は特に意識しておくべきじゃ。
アユム
2の総合相談支援はどんな業務ですか?
博士
高齢者や家族からの幅広い相談を受け、必要な支援やサービスにつなぐ『窓口機能』じゃ。虐待対応は専門性の高い権利擁護業務で扱うから区別される。
アユム
3の介護予防ケアマネジメントは?
博士
要支援1・2の人や基本チェックリストで該当した事業対象者の介護予防ケアプランを作成する業務じゃ。虐待対応とは別領域じゃな。
アユム
4の包括的・継続的ケアマネジメント支援は?
博士
居宅介護支援事業所のケアマネジャーへの助言・指導、地域ケア会議の開催、多職種ネットワーク構築などを担う。いわばケアマネの後方支援じゃ。
アユム
分離保護が必要な場合はどうするんですか?
博士
やむを得ない事由による措置入所として特別養護老人ホームなどに短期入所させたり、市長申立てで成年後見人を選任して財産保護したりする。状況に応じた制度活用が鍵じゃ。
アユム
地域包括支援センターの4業務、整理できました。
POINT
地域包括支援センターは総合相談支援・権利擁護・包括的継続的ケアマネジメント支援・介護予防ケアマネジメントの4業務を担う。高齢者虐待(ネグレクトを含む5類型)への対応は権利擁護業務で、通報受理後はコアメンバー会議で緊急性を判断し、事実確認・分離保護・成年後見活用などを進める。高齢者虐待防止法では通報の努力義務、生命危険時は通報義務が定められている。各業務の守備範囲を正確に区別することが重要である。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:家族からネグレクトを受けている高齢者について、地域包括支援センターに通報があった。 この通報を受けた地域包括支援センターが行う業務はどれか。
解説:正解は 1 です。地域包括支援センターの業務は①総合相談支援、②権利擁護、③包括的・継続的ケアマネジメント支援、④介護予防ケアマネジメントの4つが柱です。高齢者虐待(身体的・心理的・性的・経済的虐待およびネグレクト)への対応は『権利擁護業務』に含まれ、高齢者虐待防止法に基づき市町村と連携して事実確認・立入調査・分離保護・成年後見制度活用などを進めます。通報受理後は速やかにコアメンバー会議を開き、生命の危険度を判断して対応するのが標準的な流れです。
選択肢考察
-
○ 1. 権利擁護
高齢者虐待(ネグレクトを含む)への対応、成年後見制度の活用、消費者被害防止などを担う業務で、今回の通報に直接対応します。
-
× 2. 総合相談支援
高齢者や家族からの各種相談を受け、必要なサービスにつなげる業務で、虐待対応は権利擁護業務で扱われます。
-
× 3. 介護予防ケアマネジメント
要支援者等の介護予防ケアプラン作成・評価が中心で、虐待対応とは別の業務領域です。
-
× 4. 包括的・継続的ケアマネジメント支援
居宅介護支援専門員への支援やネットワーク構築を担う業務で、虐待対応の主担当ではありません。
高齢者虐待防止法では、虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は市町村に通報する努力義務、身体的虐待や生命の危険がある場合は通報義務があります。地域包括支援センターは市町村から委託を受けて権利擁護業務を担い、コアメンバー会議(センター職員・市町村・必要時警察や医療機関)で緊急性判断、事実確認訪問、必要に応じて分離保護、やむを得ない事由による措置入所、成年後見市長申立てなどの対応を進めます。ネグレクトは介護放棄や必要な医療を受けさせないなども含まれます。
地域包括支援センターの4業務と、高齢者虐待対応がどの業務に属するかを問う問題です。
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