食事介助の基本を押さえよう
看護師国家試験 第110回 午後 第18問 / 必修問題 / 日常生活援助技術
国試問題にチャレンジ
自力での摂取が困難な成人患者の食事介助で適切なのはどれか。
- 1.水分の少ない食べ物を準備する。
- 2.時間をかけずに次々と食物を口に入れる。
- 3.患者に食事内容が見える位置に食器を配置する。
- 4.患者の下顎が上がるよう高い位置からスプーンを操作する。
対話形式の解説
博士
今日は食事介助じゃ。誤嚥予防のポイントを押さえておるか?
アユム
姿勢と食形態、一口量が大事ですね。
博士
よく知っておるの。ではスプーンを運ぶ位置はどうする?
アユム
患者の顎が上がらないように、低めの位置から運びます。
博士
正解じゃ。顎を引いた前屈姿勢が気道を閉じやすくし誤嚥を防ぐのじゃ。
アユム
食器はどこに置くとよいですか。
博士
患者から見える位置に置くのが良い。視覚刺激で食欲と唾液分泌が促されるからじゃ。
アユム
認知症の方にも視認は大切と聞きます。
博士
そうじゃ。食事認知ができないと摂食行動が始まらぬ。先行期の刺激が重要じゃ。
アユム
食形態はどうすればよいですか。
博士
水分の少ないパサつく食べ物は避け、ゼリー状やとろみ付与食などまとまりやすいものを選ぶのじゃ。
アユム
一口量のペースはどうですか。
博士
ティースプーン1杯程度で、飲み込みを目視や喉頭挙上で確認してから次を運ぶのじゃ。
アユム
食後の姿勢も注意が必要ですね。
博士
食後30分は座位を保ち、胃食道逆流による誤嚥を防ぐのじゃ。食前の口腔ケアも忘れぬようにの。
アユム
一連の流れで安全に支援できるようにしたいです。
POINT
食事介助では座位・頸部前屈・顎を引いた姿勢が誤嚥予防の基本です。食事は見える位置に配置し先行期を刺激、食形態はまとまりやすくし一口ごとに嚥下確認を行います。食後30分の座位保持、食前後の口腔ケアも重要です。多職種と連携し安全な経口摂取を支援しましょう。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:自力での摂取が困難な成人患者の食事介助で適切なのはどれか。
解説:正解は3の患者に食事内容が見える位置に食器を配置するです。視覚情報は唾液分泌や嚥下反射を促し、食欲増進にもつながります。
選択肢考察
-
× 1. 水分の少ない食べ物を準備する。
水分が少なくパサついた食べ物は食塊形成が難しく誤嚥や窒息の原因となります。ゼリー状やとろみ付与食など、まとまりやすい物性が望まれます。
-
× 2. 時間をかけずに次々と食物を口に入れる。
前の一口を飲み込む前に次を入れると、咽頭残留物とともに誤嚥するリスクが高まります。嚥下を確認してから次を運ぶのが原則です。
-
○ 3. 患者に食事内容が見える位置に食器を配置する。
食事内容を視認することは食欲と唾液分泌を刺激し、嚥下準備を整える先行期の働きを高めます。認知症患者でも食事認識が重要です。
-
× 4. 患者の下顎が上がるよう高い位置からスプーンを操作する。
下顎が上がると頸部が伸展して気道が直線化し誤嚥しやすくなります。介助者はやや低い位置に座り、患者の顎が軽く引けた前屈姿勢を保つようにします。
誤嚥予防の基本ポジションは、座位で体幹90度・頸部軽度前屈・顎を引いた姿勢です。食事前に嚥下体操や口腔ケアを行い、食後30分は座位保持で胃食道逆流を防止します。一口量はティースプーン1杯程度とし、飲み込みを確認してから次へ進めます。
誤嚥予防の視点から食事介助の基本を理解しているかを問う問題です。
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