脱健着患をマスター 点滴中の患者の更衣はこの順番
看護師国家試験 第114回 午後 第20問 / 必修問題 / 日常生活援助技術
国試問題にチャレンジ
左前腕に持続点滴静脈内注射をしている患者の更衣で適切なのはどれか。
- 1.左袖から脱ぎ、右袖から着る。
- 2.左袖から脱ぎ、左袖から着る。
- 3.右袖から脱ぎ、左袖から着る。
- 4.右袖から脱ぎ、右袖から着る。
対話形式の解説
博士
今回は点滴中の患者の更衣について学ぶぞ。「脱健着患」という言葉は聞いたことがあるかな?
アユム
だっけんちゃくかん…ですか?覚えにくい言葉ですね。
博士
四字熟語のように覚えるとよい。「脱ぐときは健側から、着るときは患側から」という意味じゃ。
アユム
健側と患側ってどう区別するんですか?
博士
点滴が入っている側、麻痺がある側、骨折している側など問題がある方が患側、何も問題がない方が健側じゃ。
アユム
今回の問題では左前腕に点滴があるので、左が患側、右が健側ですね。
博士
その通り!じゃあ脱ぐときはどっちから?
アユム
健側からだから…右袖からですね。
博士
正解じゃ。脱ぐときに患側から始めると点滴ルートを引っ張ってしまうリスクがある。健側の右袖を先に抜けば、患側の袖を抜くときに余裕を持ってゆっくり扱える。
アユム
じゃあ着るときは?
博士
患側からじゃ。つまり左袖から先に通す。
アユム
どうしてですか?健側からの方が動かしやすそうな気もしますが…
博士
考えてみよ。先に健側を通してしまうと、後から患側の袖を通すときに患側を大きく動かす必要が出てくる。点滴が外れたり、痛みが出たりするのじゃ。
アユム
なるほど!先に患側を通してから健側を通せば、健側は自由に動かせるから患側を無理せず済むんですね。
博士
その通り。点滴をしている患者だけでなく、片麻痺患者、骨折後の患者、リウマチで関節が痛む患者にも同じ原則が当てはまる。
アユム
点滴ボトルやルートはどう扱うんですか?
博士
これも大事なポイントじゃ。新しい衣服を患側から通すときは、まず点滴ボトルを袖の内側から外側に通してしまう。それから患者の腕を袖に通す。
アユム
ボトルを先に通しておくんですね。逆だとルートが絡まりますもんね。
博士
脱ぐときは衣服を内側からたくし寄せてボトルを通すように工夫する。前開きの寝衣や袖が広いものを選ぶと格段にやりやすくなる。
アユム
片麻痺患者でも同じ手順ですか?
博士
同じじゃ。脳卒中後の片麻痺患者でも、患側から着て健側から脱ぐ。リハビリの観点からも大切な原則じゃ。
アユム
看護師として点滴管理と更衣を組み合わせて考えるんですね。
博士
うむ。日常生活援助の中に医療行為が組み込まれているのが看護の特徴じゃ。事故防止と患者の快適性を両立させる視点が問われる。
アユム
シンプルだけど奥が深いんですね。
博士
脱健着患は国試頻出のキーワードじゃ。原則だけでなく、なぜそうするのか理由も含めて理解しておけば応用が利くぞ。
POINT
点滴中や麻痺のある患者の更衣では「脱健着患」、すなわち健側から脱ぎ患側から着るのが原則です。本問では左前腕に点滴があるため左が患側、右が健側となり、右袖から脱ぎ左袖から着るのが正解となります。先に健側を脱ぐことで患側の袖を抜く際にルートに張力をかけずに済み、患側から着ることで後の動作で患側を無理に動かさずルート抜去や疼痛を回避できます。看護師は点滴ボトルを先に袖に通す手技や前開き寝衣の選択、片麻痺患者への応用など、原則の意味と臨床応用を理解して安全で快適な更衣援助を実施する必要があります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:左前腕に持続点滴静脈内注射をしている患者の更衣で適切なのはどれか。
解説:正解は 3 の「右袖から脱ぎ、左袖から着る。」です。点滴ルートが入っている側や麻痺・障害のある側を「患側」、点滴やトラブルのない側を「健側」とよび、更衣の原則は「脱健着患(だっけんちゃくかん)」、つまり「健側から脱ぎ、患側から着る」です。本問では左前腕に持続点滴があるため左が患側、右が健側です。脱ぐときは健側の右袖から先に抜くことで、最後に患側左腕の袖を抜くときに点滴ルートが緩んだ状態でゆっくり扱えます。着るときは患側の左袖から先に通すことで、点滴ルートを通した袖を最初に着てしまえば、その後の動作で患側を無理に動かさずに済み、ルート抜去や疼痛・関節可動域制限による負担を最小限にできます。
選択肢考察
-
× 1. 左袖から脱ぎ、右袖から着る。
脱健着患の原則と正反対の手順で、脱ぐ際にいきなり患側の左袖を抜くと点滴ルートを引っ張りやすく、着る際も健側を先に通してから患側の袖を通すために左腕を無理に動かすことになる。
-
× 2. 左袖から脱ぎ、左袖から着る。
脱ぐときに最初から患側を抜こうとすると点滴ルートに張力がかかりやすい。また着るときに健側右袖を後回しにする必然性もない。原則に合致しない。
-
○ 3. 右袖から脱ぎ、左袖から着る。
「健側から脱ぎ、患側から着る(脱健着患)」の原則どおり。点滴ルートを引っ張らず、患側左腕への負担も最小限に抑えられる更衣手順。
-
× 4. 右袖から脱ぎ、右袖から着る。
着るときに健側から袖を通すと、後で患側を無理に動かして患側の袖を通すことになり、ルート抜去や疼痛のリスクが高まる。脱健着患の原則に反する。
「脱健着患」の原則は点滴中の患者だけでなく、片麻痺・骨折・関節リウマチ・術後で患側がある患者の更衣全般に適用される基本原則。実施手順としては、①点滴ボトル・ルートにかかる張力を確認、②健側の袖から脱がせ、③患側の袖を慎重に抜く際に点滴ルートが引っかからないよう袖を内側から手繰り寄せる、④新しい衣服を患側から通す際、点滴ボトルを先に袖の内側から外に通してから患者の腕を通す、⑤最後に健側を通す、という流れが基本。袖の広い前開きシャツや術後専用のラグランスリーブの寝衣を選択するとさらに更衣動作がしやすい。
点滴中の患者の更衣における「脱健着患」の原則を問う頻出問題。左前腕に点滴=左が患側という関係から手順を導き出す。
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