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尖足を防ぐポジショニング 足底クッションが守る将来の歩行

看護師国家試験 第114回 午後 第19問 / 必修問題 / 日常生活援助技術

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第19問

長期臥床している患者の仰臥位時のポジショニングを図に示す。 Aの位置にクッションを挿入する目的はどれか。

長期臥床している患者の仰臥位時のポジショニングを図に示す。 Aの位置にクッションを挿入する目的はどれか。
  1. 1.褥瘡の予防
  2. 2.尖足の予防
  3. 3.腓骨神経麻痺の予防
  4. 4.深部静脈血栓症(deep vein thrombosis)の予防

対話形式の解説

博士 博士

今回は長期臥床中のポジショニングについて学ぶぞ。尖足という言葉は知っておるか?

サクラ サクラ

足首がつま先側に固まっちゃう状態…ですか?

博士 博士

その通りじゃ。足関節の底屈拘縮で背屈ができなくなる状態を尖足と呼ぶ。バレリーナのつま先立ちのような形で足が固まってしまう。

サクラ サクラ

どうして長期臥床で起こるんですか?

博士 博士

仰向けに寝たままだと、重力で足先が下を向きがちじゃ。さらに掛布団の重みも加わって、足関節は常に底屈位になる。

サクラ サクラ

それが続くと…

博士 博士

ふくらはぎの筋肉、つまり下腿三頭筋が短縮したまま固まり、前側の前脛骨筋は伸びきって弱くなる。やがて足関節を背屈できなくなり、立位や歩行ができなくなるのじゃ。

サクラ サクラ

だから足底にクッションを当てて90度に保つんですね。

博士 博士

その通り!足台や厚みのあるクッションを足底にしっかり当てて、足関節を中間位に保つ。これが尖足予防の基本ポジショニングじゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の褥瘡予防はどうですか?

博士 博士

褥瘡好発部位は仙骨、踵、後頭部、肩甲骨、肘などじゃ。足底のクッションではこれらの部位を除圧できないから、褥瘡予防にはならない。

サクラ サクラ

褥瘡予防には何が必要ですか?

博士 博士

2時間ごとの体位変換、体圧分散マットレス、踵を浮かせるための膝下枕、栄養管理、スキンケアなど多面的アプローチが必要じゃ。

サクラ サクラ

選択肢3の腓骨神経麻痺はどう予防するんですか?

博士 博士

腓骨神経は膝の外側、腓骨頭のあたりを通っておる。ここが長時間圧迫されると下垂足やしびれが出る。予防には膝下に枕を入れて下肢の外旋を防ぎ、腓骨頭の圧迫を避ける。

サクラ サクラ

深部静脈血栓症はどう予防するんですか?

博士 博士

弾性ストッキング、間欠的空気圧迫装置(フットポンプ)、抗凝固薬、早期離床、足関節の能動的底屈背屈運動などじゃ。足底のクッションだけでは予防できん。

サクラ サクラ

ところで尖足予防のクッションって、近年はあまり推奨されていないとも聞きました。

博士 博士

鋭いところに気づいたな。足底刺激で下肢伸筋反射が誘発される患者では、逆に底屈反射を強めて尖足を助長することがある。

サクラ サクラ

じゃあどうすればいいんですか?

博士 博士

最近は短下肢装具(AFO)を使ったり、関節可動域訓練(ROM訓練)を看護師が定期的に行うことが推奨されておる。患者の状態に合わせた個別対応が大事じゃ。

サクラ サクラ

長期臥床にはほかにもいろんな合併症がありますね。

博士 博士

廃用症候群、深部静脈血栓症、誤嚥性肺炎、起立性低血圧、便秘、せん妄、筋萎縮、骨粗鬆症など、看護師の予防的介入が幅広く求められる。早期離床が最大の対策じゃ。

POINT

仰臥位での足底クッション挿入は、足関節を90度(背屈中間位)に保ち下腿三頭筋の短縮と底屈拘縮を防ぐことで尖足を予防する目的があります。長期臥床では掛物の重みと重力で足関節が底屈位に固定されやすく、放置すると立位や歩行が困難になるため早期からの予防が重要です。褥瘡は仙骨・踵などの除圧、腓骨神経麻痺は膝下枕による外旋防止、深部静脈血栓症は弾性ストッキングや早期離床で予防する別の介入が必要です。看護師は長期臥床患者に対して、合併症ごとに適切な体位とポジショニング、ROM訓練を組み合わせ、ADL再獲得の土台を支える役割を担います。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:長期臥床している患者の仰臥位時のポジショニングを図に示す。 Aの位置にクッションを挿入する目的はどれか。

解説:正解は 2 の尖足の予防です。図では仰臥位の患者の足底部(足底と足台の間、すなわち足底面)にクッションが挿入されています。長期臥床では掛物の重みや重力により足関節が常に底屈位(つま先が下を向いた状態)に置かれ、足関節背屈に関わる前脛骨筋などが伸張位、下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)が短縮位で固定されてしまいます。これが続くと足関節背屈制限を生じる「尖足」となり、立位や歩行が困難になります。足底にクッションや足台を当てて足関節を約90度(背屈中間位)に保つことで、下腿三頭筋の短縮や底屈拘縮を予防できます。

選択肢考察

  1. × 1.  褥瘡の予防

    褥瘡好発部位(仙骨部・踵部・後頭部・肩甲骨部・肘頭部)の体圧分散には体圧分散マットレスや体位変換、踵部の浮かせ(除圧)が有効。足底へのクッション挿入は褥瘡予防の主目的ではない。

  2. 2.  尖足の予防

    足底にクッションを当てて足関節を90度に保ち、下腿三頭筋の短縮と底屈拘縮を防ぐ。長期臥床患者でADL再獲得のために重要なポジショニング。

  3. × 3.  腓骨神経麻痺の予防

    腓骨神経麻痺は腓骨頭外側の圧迫で生じる末梢神経障害(下垂足・しびれ)。予防には膝下に枕を入れて下肢の外旋を防ぎ、腓骨頭を圧迫しないようにする。足底のクッションでは予防できない。

  4. × 4.  深部静脈血栓症(deep vein thrombosis)の予防

    深部静脈血栓症の予防には弾性ストッキング、間欠的空気圧迫装置(フットポンプ)、抗凝固薬、早期離床、足関節の能動的運動などが用いられる。足底のクッション単独では血栓予防効果は期待できない。

尖足予防では足底全体を支持するように厚みのあるクッションや足台を当て、足関節を中間位(90度)に保つ。ただし足底刺激により下肢伸筋反射(push-off反射)が誘発される患者では尖足を助長することがあるため、近年は足関節装具(短下肢装具:AFO)の併用やROM訓練が推奨される。長期臥床に伴う合併症は他にも、褥瘡、廃用症候群(筋萎縮、関節拘縮、骨粗鬆症、起立性低血圧)、深部静脈血栓症、誤嚥性肺炎、便秘、せん妄など多岐にわたるため、それぞれに対する予防的看護介入が求められる。

仰臥位での足底クッション挿入の目的を問う問題。長期臥床→足関節底屈位固定→尖足というメカニズムから、足関節90度保持の意義を導き出せるかが核心。