StudyNurse

マズローの欲求5段階、看護にどう活かす?

看護師国家試験 第114回 午前 第6問 / 必修問題 / 人間の特性とライフサイクル

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第6問

マズロー, A. H.(Maslow, A. H.)の基本的欲求の階層で生理的欲求はどれか。

  1. 1.仲間を持ちたい。
  2. 2.空腹を満たしたい。
  3. 3.自分らしくありたい。
  4. 4.他者から称賛されたい。

対話形式の解説

博士 博士

今回はマズローの欲求階層説じゃ。心理学の基本理論であると同時に、看護理論の根っこになっている重要テーマじゃよ。

アユム アユム

5段階のピラミッドっていうのは聞いたことがあります。

博士 博士

うむ。下から順に、生理的欲求・安全の欲求・所属と愛の欲求・承認の欲求・自己実現の欲求 の5つじゃ。下位が満たされると次の欲求が現れる、という動機づけ理論じゃな。

アユム アユム

生理的欲求というのは、具体的には何ですか?

博士 博士

食事・水分・呼吸・睡眠・排泄・体温調節・性など、生命維持に直結する本能的欲求じゃ。問題の『空腹を満たしたい』がまさにこれに当たる。

アユム アユム

これが一番下にあるってことは、まず食べて寝て、が基本ってことですね。

博士 博士

その通り。これが満たされない状態では、より上位の欲求を感じる余裕はない。飢えている人に『自分らしさ』を説いても響かぬじゃろう。

アユム アユム

じゃあ安全の欲求というのは?

博士 博士

身体的安全、経済的安定、病気からの回復、将来の見通しなど、『脅威から守られたい』という欲求じゃ。入院患者が病状の不安を訴えるのは、まさに安全の欲求に関わる。

アユム アユム

『仲間を持ちたい』は…所属の欲求でしたっけ?

博士 博士

うむ。第3階層の所属と愛の欲求。家族・友人・集団に属したい、愛したい愛されたいという社会的欲求じゃ。入院で家族と離れて孤独を感じるのもこの欲求じゃな。

アユム アユム

承認の欲求は『他者から称賛されたい』ですね。

博士 博士

正解。他者から認められたい、尊敬されたい、自分に自信を持ちたい、という欲求。看護で言えば、患者が『回復している自分』を家族やスタッフに認められて喜ぶ場面などが該当する。

アユム アユム

最上位の自己実現は『自分らしくありたい』ですね。

博士 博士

うむ。自分の可能性を最大限発揮し、自分らしく生きたいという欲求。終末期の患者が『最後まで自分らしく過ごしたい』と語るのは、まさに自己実現の領域じゃ。

アユム アユム

これって看護ではどう使うんですか?

博士 博士

看護過程でニードを整理するときの枠組みになる。ヘンダーソンの14の基本的ニードやオレムのセルフケア理論にも、マズローの思想が反映されておる。

アユム アユム

優先順位の判断にも使えそうですね。

博士 博士

その通り。急変時・救急の場面では、まずは気道・呼吸・循環という生理的欲求レベルから介入するというABCアプローチも、階層的発想じゃ。

アユム アユム

実は晩年のマズローはもう一段階追加したって聞いたことがあります。

博士 博士

よく知っておるな。『自己超越』という階層で、他者や社会への貢献、スピリチュアルな領域を指す。国試では5段階で覚えれば十分じゃが、教養として知っておくとよい。

アユム アユム

単なる心理学じゃなくて、看護の実践に直結する理論なんですね。

博士 博士

その通りじゃよ。

POINT

マズローの基本的欲求の階層は、下位から生理的欲求・安全の欲求・所属と愛の欲求・承認の欲求・自己実現の欲求 の5段階で構成され、下位欲求が満たされると次の階層が現れる動機づけ理論です。『空腹を満たしたい』は食事という生命維持に直結する行為で、最下層の生理的欲求に該当します。他の選択肢は、仲間=所属と愛、称賛=承認、自分らしさ=自己実現 にそれぞれ対応します。看護では、患者の抱える欲求を階層的に把握することで優先順位づけを行い、まず生命維持と安全を確保してから心理社会的ニーズへと支援を広げます。ヘンダーソンやオレムなど多くの看護理論の思想的基盤となっており、実践と理論をつなぐ重要な枠組みとして理解しておきたい内容です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:マズロー, A. H.(Maslow, A. H.)の基本的欲求の階層で生理的欲求はどれか。

解説:正解は 2 の「空腹を満たしたい。」です。マズローは、人間の欲求を5段階のピラミッド型階層構造として提唱しました。下位から順に①生理的欲求(呼吸・食事・睡眠・排泄・性など生命維持に必要な最も基本的な欲求)、②安全の欲求(身体的安全・経済的安定・健康維持)、③所属と愛の欲求(家族・友人・集団に属したい、愛されたい)、④承認の欲求(他者から認められたい、尊敬されたい)、⑤自己実現の欲求(自分の可能性を最大限発揮したい)となります。『空腹を満たしたい』は食事摂取という生命維持に直結する欲求であり、最も基盤にある生理的欲求に該当します。

選択肢考察

  1. × 1.  仲間を持ちたい。

    第3階層の『所属と愛の欲求』にあたる。家族や友人など集団に属したい、人とつながりたいという社会的欲求を指す。

  2. 2.  空腹を満たしたい。

    最下層の『生理的欲求』にあたる。食事・呼吸・睡眠・排泄・性など、生命を維持するために欠かせない本能的欲求で、他のすべての欲求の前提となる。

  3. × 3.  自分らしくありたい。

    最上位の第5階層『自己実現の欲求』にあたる。自分の能力や可能性を最大限に発揮し、自分らしく生きたいという欲求。

  4. × 4.  他者から称賛されたい。

    第4階層の『承認の欲求』にあたる。他者から認められたい、尊敬されたい、自分に自信を持ちたいといった欲求。

マズローの欲求階層説は、下位の欲求が満たされると次の階層の欲求が現れるとされる『動機づけ理論』で、看護理論(ヘンダーソン、オレムなど)の思想的背景にもなっている。なお、晩年のマズローは自己実現の欲求のさらに上に『自己超越の欲求(他者や社会への貢献・スピリチュアルな領域)』を加えたとされる。看護では、入院患者のニードを階層的に把握することで、『まず呼吸・栄養・排泄など生理的欲求を満たし、次に安全、そして心理社会的ニーズへ』という優先順位づけが可能となる。トリアージや急性期ケアの発想にも通じる重要理論である。

マズローの5段階欲求階層のうち、生命維持に関わる最基底の欲求が『生理的欲求』であることを識別する問題。