COPDの最大の敵はたばこ煙 喫煙が肺を壊すメカニズム
看護師国家試験 第114回 午後 第14問 / 必修問題 / 徴候と疾患
国試問題にチャレンジ
慢性閉塞性肺疾患<COPD>(chronic obstructive pulmonary disease)の危険因子はどれか。
- 1.花粉
- 2.薬物
- 3.たばこ煙
- 4.アルコール
対話形式の解説
博士
今回はCOPDについて学ぶぞ。COPDがどんな病気か説明できるかな?
アユム
慢性閉塞性肺疾患…ですよね。気道が狭くなって息が吐きにくくなる病気でしたっけ?
博士
その通りじゃ。気道に慢性炎症が起こり、肺胞も破壊されて、空気が肺に閉じ込められて吐き出しにくくなる。これを気流閉塞という。
アユム
どうしてそんなことが起きるんですか?
博士
最大の原因はたばこ煙じゃ。COPD患者の9割以上が喫煙歴をもっておる。
アユム
9割以上ってすごい高さですね。
博士
じゃろう?たばこ煙には数千種類の化学物質が含まれており、活性酸素種やプロテアーゼ(蛋白分解酵素)が肺の防御機構を壊してしまう。
アユム
具体的にはどう壊れるんですか?
博士
気道粘膜の慢性炎症で粘液分泌が増えて気道が狭くなり、肺胞壁の弾性線維が分解されて肺胞が破壊される。これが肺気腫じゃ。
アユム
選択肢には花粉やアルコールもありますが、関係ないんですか?
博士
花粉はアレルギー性鼻炎や気管支喘息の引き金にはなるが、COPDの原因にはならんぞ。アルコールは肝臓や膵臓に悪影響を与えるが、肺への直接ダメージは少ない。
アユム
じゃあ受動喫煙はどうなんですか?
博士
受動喫煙もしっかりCOPDの危険因子じゃ。家族に喫煙者がいる人や職場で煙にさらされる人もリスクが高まる。
アユム
他にリスクってあるんですか?
博士
職業性粉塵、大気汚染、バイオマス燃料の煙、α1‐アンチトリプシン欠損症などの遺伝的要因もリスクじゃが、日本では喫煙が圧倒的に多い。
アユム
診断はどうやってするんですか?
博士
スパイロメトリーじゃ。気管支拡張薬を吸入したあとに測定して、1秒率(FEV1/FVC)が70%未満ならCOPDと診断される。
アユム
治療は禁煙が一番大事ですよね?
博士
その通りじゃ。禁煙以外には、長時間作用性気管支拡張薬の吸入、肺リハビリテーション、酸素療法などがある。ただしCOPDで慢性的にCO2が貯まっている人は高濃度酸素投与でCO2ナルコーシスを起こすから、SpO2は88〜92%を目安にするのじゃ。
アユム
看護師として禁煙支援も重要なんですね。
博士
うむ。喫煙は予防可能な最大のリスクで、禁煙によって進行を遅らせることができる。患者教育の主役は看護師じゃぞ。
POINT
COPDは長期間の有害物質吸入によって気道と肺胞に慢性炎症と破壊が起こる進行性の閉塞性肺疾患で、最大の危険因子は喫煙です。患者の9割以上が喫煙歴を持ち、たばこ煙中の活性酸素やプロテアーゼが気道粘膜と肺胞壁を破壊し気流閉塞を生じます。受動喫煙や職業性粉塵・大気汚染なども関与しますが、本問では「たばこ煙」が最適解で、花粉や薬物・アルコールは主要な危険因子ではありません。看護師はスパイロメトリーによる診断、吸入療法のアドヒアランス支援、禁煙指導、CO2ナルコーシスを避けた酸素療法管理など、生活全体を支える役割を担います。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:慢性閉塞性肺疾患<COPD>(chronic obstructive pulmonary disease)の危険因子はどれか。
解説:正解は 3 のたばこ煙です。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、有害物質の長期吸入により末梢気道や肺胞に慢性炎症が起こり、気流閉塞と肺胞破壊(肺気腫)を生じる進行性の疾患です。最大の危険因子は喫煙で、COPD患者の約90%以上が喫煙歴を有します。たばこ煙に含まれる活性酸素種やプロテアーゼが肺の防御機構を破壊し、気道粘膜の慢性炎症と肺胞壁の破壊を引き起こします。受動喫煙、職業性粉塵・化学物質、大気汚染、室内のバイオマス燃料煙、加齢、α1‐アンチトリプシン欠損症などの遺伝的素因、小児期の重症呼吸器感染症などもリスクとなりますが、本問では「たばこ煙」が最も適切な選択肢となります。
選択肢考察
-
× 1. 花粉
花粉はアレルギー性鼻炎や気管支喘息の誘因となるが、COPDの直接的な発症原因ではない。COPDは慢性気道炎症と肺胞破壊を本態とし、アレルギー性疾患とは病態が異なる。
-
× 2. 薬物
一部の薬物は薬剤性肺炎や間質性肺炎を起こし得るが、COPDの主要な危険因子としては挙げられない。
-
○ 3. たばこ煙
たばこ煙はCOPDの最大の危険因子であり、能動喫煙だけでなく受動喫煙もリスクとなる。気道炎症・酸化ストレス・蛋白分解酵素活性化を介して肺破壊を進行させる。
-
× 4. アルコール
アルコールは肝障害・膵炎・食道癌・アルコール依存症などの危険因子であるが、COPDの主要な危険因子ではない。
COPDの病態は末梢気道の閉塞と肺胞破壊で、慢性気管支炎と肺気腫の両側面を併せもつ。診断はスパイロメトリーで気管支拡張薬吸入後のFEV1/FVC(1秒率)が70%未満であることが基本となる。臨床所見としては労作時呼吸困難・慢性咳嗽・喀痰、口すぼめ呼吸、ビア樽状胸郭などがみられる。治療は禁煙が最も重要な介入で、長時間作用性気管支拡張薬(LABA/LAMA)、吸入ステロイド、肺リハビリテーション、急性増悪時の抗菌薬や酸素療法が中心となる。慢性Ⅱ型呼吸不全例では高濃度酸素投与によりCO2ナルコーシスを起こす危険があるため、SpO2目標は88〜92%程度に設定するのが原則。
COPDの最大の危険因子が喫煙(たばこ煙)であることを問う基本問題。発症予防・進行抑制ともに禁煙が最重要であることを押さえる。
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