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便の色で読み解く病態—閉塞性黄疸が灰白色便になる理由

看護師国家試験 第114回 午前 第14問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第14問

閉塞性黄疸(obstructive jaundice)の患者にみられる便の色はどれか。

  1. 1.
  2. 2.
  3. 3.
  4. 4.灰白

対話形式の解説

博士 博士

今日は便の色から病態を読む話じゃ。便は健康のバロメーター、看護師なら必ず観察するポイントじゃぞ。

アユム アユム

普通の便って茶色ですよね。あの色って何でついているんですか?

博士 博士

鋭いのう。便の褐色は胆汁中のビリルビンが腸内細菌に分解されて作られるステルコビリンという色素によるものじゃ。

アユム アユム

ということは、胆汁が出てこないと…便の色が消える?

博士 博士

その通り!閉塞性黄疸はまさにそれじゃ。胆石や胆管癌、膵頭部癌などで胆管が詰まると、胆汁が腸に流れなくなる。すると便から色素が消えて灰白色、まるで粘土のような便になるのじゃ。

アユム アユム

それを「アコーリック便」って呼ぶんでしたっけ。

博士 博士

よく知っておるな。a-cholic(胆汁がない)便、という意味じゃ。

アユム アユム

他の便色の変化も教えてください。

博士 博士

赤い便は下部消化管出血、特に肛門に近い直腸からの出血を示唆する。黒いタール便は上部消化管(胃・十二指腸)の出血で、血液が胃酸で酸化されて黒くなる。鉄剤を飲んでも黒くなるから注意じゃ。

アユム アユム

色だけで出血の場所がだいたいわかるんですね。

博士 博士

便はメッセンジャーじゃ。色・性状・回数を観察するのは看護の基本中の基本じゃよ。

アユム アユム

閉塞性黄疸では便だけじゃなく尿も変化しますよね?

博士 博士

その通り。腸に流れなくなった胆汁ビリルビンは血中に逆流し、腎臓から尿中へ排泄される。だから尿は濃い褐色(ビリルビン尿)になり、便は灰白色という対照的な変化が同時に起きるのじゃ。

アユム アユム

どんな随伴症状がありますか?

博士 博士

皮膚と眼球結膜の黄染、皮膚の強い瘙痒感(胆汁酸の蓄積)、脂溶性ビタミン吸収障害による出血傾向(ビタミンK欠乏)などじゃな。

アユム アユム

臨床ではどんな対応が必要ですか?

博士 博士

原因疾患の治療が第一じゃが、対症的には経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)や内視鏡的胆道ステント留置で胆汁の流出路を確保する。看護師は皮膚瘙痒感への対応、出血傾向の観察、栄養状態の評価が重要じゃよ。

アユム アユム

便の色一つから、こんなに広がるんですね。

POINT

閉塞性黄疸では胆管閉塞により胆汁が腸管へ流入しないため、便はステルコビリンによる褐色を失い灰白色(アコーリック便)となります。同時に血中の直接ビリルビンが上昇して黄疸が出現し、腎臓から排泄されるためビリルビン尿(濃褐色尿)も伴います。便色の鑑別では、赤=下部消化管出血、黒=上部消化管出血、灰白=胆汁うっ滞、というパターンを覚えておくと臨床推論に役立ちます。閉塞性黄疸では脂溶性ビタミン吸収障害による出血傾向や、胆汁酸蓄積による強い皮膚瘙痒感もみられるため、看護師は便色の観察に加えて全身症状を統合的に評価することが求められます。便は患者から発信される最も身近で重要な情報源の一つです。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:閉塞性黄疸(obstructive jaundice)の患者にみられる便の色はどれか。

解説:正解は 4 の灰白です。閉塞性黄疸は胆石・胆管癌・膵頭部癌などにより胆管が閉塞し、胆汁が腸管へ流れなくなる病態です。便の褐色は胆汁中のビリルビン代謝産物(ステルコビリン)に由来するため、胆汁が排泄されないと便は色素を失い灰白色(粘土様便、アコーリック便)となります。同時に血中の直接ビリルビンが上昇して黄疸を呈し、尿中にもビリルビンが排泄されるため尿は濃褐色(ビリルビン尿)となります。

選択肢考察

  1. × 1.  赤

    鮮血便は下部消化管(直腸・肛門)からの出血を示唆し、痔核・大腸ポリープ・大腸癌などで認められる。閉塞性黄疸とは関連しない。

  2. × 2.  黄

    黄色便は乳児期に多く、脂肪便や下痢時の急速な腸管通過で認められることがある。健常成人の便は通常黄褐色〜茶褐色。

  3. × 3.  黒

    タール便(黒色便)は上部消化管出血を示唆する。胃・十二指腸潰瘍などで血液が消化液により変性した状態。鉄剤内服でも黒色化する。

  4. 4.  灰白

    胆汁の流入が途絶えるため便が色素を失う。粘土様の灰白色便は閉塞性黄疸の代表的所見である。

黄疸は血中ビリルビンの上昇によるが、その分類は重要である。①溶血性黄疸(間接ビリルビン優位、便は濃く尿は正常〜濃い)、②肝細胞性黄疸(直接・間接ともに上昇)、③閉塞性黄疸(直接ビリルビン優位、灰白色便+ビリルビン尿)の3つを押さえる。閉塞性黄疸では脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収障害が起こり、特にビタミンK欠乏による出血傾向、皮膚瘙痒感(胆汁酸の蓄積)にも注意する。

胆汁の流れが障害される閉塞性黄疸で便色が灰白色になる病態生理を、便色変化の鑑別とともに問う問題。