先天性風疹症候群—妊娠初期の風疹がもたらす3つの障害
看護師国家試験 第114回 午後 第7問 / 必修問題 / 徴候と疾患
国試問題にチャレンジ
妊娠初期の感染で児に難聴が生じる可能性が高いのはどれか。
- 1.水痘(varicella)
- 2.風疹(rubella)
- 3.麻疹(measles)
- 4.流行性耳下腺炎(mumps)
対話形式の解説
博士
今日は妊娠中の感染症について学ぶぞ。妊娠初期の感染で児に難聴が生じやすいのはどれかな?
サクラ
水痘、風疹、麻疹、流行性耳下腺炎…どれも子どもに多い感染症ですね。
博士
正解は風疹じゃ。妊娠初期に感染すると先天性風疹症候群、CRSを引き起こすことがある。
サクラ
CRSの主症状は何ですか?
博士
三大症状は「感音性難聴」「白内障(眼症状)」「先天性心疾患」じゃ。「目・耳・心」と覚えるとよい。
サクラ
難聴が一番多いんですか?
博士
うむ、CRSの中で最も頻度が高い症状が感音性難聴じゃ。両側性のことが多く、聴覚補助なしでは言語発達にも影響する。
サクラ
妊娠のいつ頃の感染が問題なんですか?
博士
妊娠12週までが最もリスクが高く、特に妊娠4〜8週の感染で重症化しやすい。20週以降の感染ではCRSはほぼ起こらない。
サクラ
早い時期ほど臓器形成への影響が大きいんですね。予防はどうすれば?
博士
妊娠前のMR(麻疹風疹混合)ワクチン接種が最も有効じゃ。日本では2回接種が定期接種になっておる。
サクラ
妊娠中にワクチンを打つことはできますか?
博士
できぬ。風疹ワクチンは生ワクチンで、妊娠中の接種は禁忌じゃ。接種後は2か月間の避妊が必要とされる。
サクラ
他の選択肢の感染症はどんな影響があるんですか?
博士
水痘は先天性水痘症候群(皮膚瘢痕、四肢低形成)を起こすことがあるが、難聴は主症状ではない。麻疹は流産・早産・低出生体重児のリスクを高める。
サクラ
流行性耳下腺炎は?
博士
妊娠初期感染で流産率を高めるが、CRSのような奇形症候群は起こさない。ただし出生後のムンプス感染は片側性難聴の原因になることがある。
サクラ
母子感染って他にも色々ありますよね?
博士
TORCH症候群というまとめ方がある。T(トキソプラズマ)、O(その他:梅毒、HIV、B型肝炎など)、R(風疹)、C(サイトメガロウイルス)、H(単純ヘルペス)じゃ。
サクラ
頭文字で覚えると整理しやすいですね。
博士
その通り。看護師は妊婦健診や保健指導の場で、感染予防の知識を伝える重要な役割を担う。風疹抗体検査の受検勧奨も大切な業務じゃ。
サクラ
ワクチン接種は本人だけでなく次世代の健康にもつながるんですね。
POINT
先天性風疹症候群(CRS)は、妊娠初期(特に妊娠12週まで)に母体が風疹ウイルスに感染することで胎児に生じる症候群で、感音性難聴・白内障・先天性心疾患の3徴を特徴とします。難聴は最も頻度が高く、片側または両側の感音性難聴として現れ、言語発達に大きな影響を及ぼします。予防の鍵は妊娠前のMRワクチン2回接種で、妊娠中の生ワクチン接種は禁忌のため、妊娠を計画する女性とそのパートナーへの抗体検査・予防接種の啓発が重要です。母子感染はTORCH症候群として体系的に整理し、看護師は妊婦健診・保健指導の場で感染症対策の啓発を担います。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:妊娠初期の感染で児に難聴が生じる可能性が高いのはどれか。
解説:正解は 2 です。妊娠初期(特に妊娠20週未満、なかでも12週までのリスクが高い)に風疹ウイルスに感染すると、ウイルスが胎盤を経由して胎児に移行し、先天性風疹症候群(CRS:Congenital Rubella Syndrome)を引き起こすことがあります。CRSの三大症状は感音性難聴、白内障(および緑内障など眼症状)、先天性心疾患(特に動脈管開存症や肺動脈狭窄)であり、難聴は最も頻度の高い症状です。
選択肢考察
-
× 1. 水痘(varicella)
妊娠中の水痘感染は胎児に先天性水痘症候群(皮膚瘢痕、四肢低形成、眼異常など)を起こすことがあるが、難聴は主症状ではない。
-
○ 2. 風疹(rubella)
妊娠初期感染で先天性風疹症候群を引き起こし、感音性難聴・白内障・先天性心疾患の3徴を生じる。難聴は最頻症状。
-
× 3. 麻疹(measles)
妊娠中の麻疹は流産・早産・低出生体重児のリスクを高めるが、CRSのような特徴的な先天奇形症候群は引き起こさない。
-
× 4. 流行性耳下腺炎(mumps)
ムンプスウイルス感染は妊娠初期に流産率を高めるが、児の難聴の原因にはならない。なお出生後のムンプス感染は片側性難聴の原因となりうる。
母子感染を起こす代表的な病原体は「TORCH症候群」としてまとめられる。T(Toxoplasma:トキソプラズマ)、O(Others:梅毒、B型肝炎、HIV、水痘、パルボウイルスB19など)、R(Rubella:風疹)、C(Cytomegalovirus:サイトメガロウイルス)、H(Herpes simplex virus:単純ヘルペス)。風疹は妊娠12週までのリスクが高く、20週以降の感染ではCRSはほぼ起こらない。CRS予防には妊娠前のMR(麻疹風疹混合)ワクチン接種が最も有効で、妊娠中はワクチン接種不可。
風疹の妊娠初期感染と先天性風疹症候群の関連を問う問題。「白内障・難聴・心疾患」の3徴を覚えるのが核心。
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