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ベッド上洗髪はなぜ仰臥位?支持基底面と重心で読み解く体位の物理学

看護師国家試験 第106回 午前 第43問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第43問

洗髪を行うときに、患者のエネルギー消費が最も少ない体位はどれか。

  1. 1.仰臥位
  2. 2.端座位
  3. 3.起座位
  4. 4.Fowler〈ファウラー〉位

対話形式の解説

博士 博士

今回は体位とエネルギー消費の話じゃ。洗髪時に最もエネルギー消費が少ない体位はどれか、選択肢は仰臥位・端座位・起座位・ファウラー位じゃ。

サクラ サクラ

うーん、寝てるのが一番楽そうだから仰臥位…ですか?

博士 博士

正解!理由を物理学的に説明できるかな?

サクラ サクラ

え、物理…?えーと、横になってるから体を支える力が要らない、みたいな感じですか?

博士 博士

ほぼ正解じゃ。体位の安定性とエネルギー消費は「支持基底面積」「重心の高さ」「抗重力筋の活動量」で決まる。仰臥位は支持基底面積が最大、重心が最も低く、抗重力筋はほとんど働いておらん。

サクラ サクラ

支持基底面積って何でしたっけ?

博士 博士

体が床や寝床と接している面積のことじゃ。仰臥位では頭・背中・臀部・下肢の裏側全てが接しておるから、支える力がほぼ要らん。立位では足裏だけじゃから狭いじゃろう?

サクラ サクラ

あー、イメージできました!だから仰臥位は一番エネルギーを使わないんですね。

博士 博士

では端座位はどうじゃ?

サクラ サクラ

ベッドの端に足を下ろして座る姿勢ですよね。体幹を立てて、足で床を踏んで…結構疲れそう。

博士 博士

その通り!背筋・腹筋で体幹を保ち、下肢筋で踏ん張る必要がある。選択肢の中で最もエネルギー消費が大きいぞ。

サクラ サクラ

起座位は心不全の人がする「オーバーテーブルにもたれる姿勢」でしたよね?

博士 博士

そう。横隔膜が下がって呼吸は楽になるが、体幹を起こしているから仰臥位よりエネルギー消費は多い。

サクラ サクラ

ファウラー位は半座位で45度ですよね。食事のときによく使う…

博士 博士

その通り。嚥下や誤嚥予防には良いが、エネルギー消費の少なさでは仰臥位に劣る。

サクラ サクラ

じゃあ洗髪で仰臥位を選ぶのは、患者さんの体力を温存するためなんですね。

博士 博士

その通りじゃ。ケリーパッドを首の下に敷いて、首から上だけをベッドから出して洗う。術後安静や重症患者、易疲労の患者で特に重要じゃ。

サクラ サクラ

でも水が顔にかかると誤嚥とか心配ですね。

博士 博士

鋭い!洗髪時はガーゼで目や耳を保護し、顔に水がかからないよう注意する。ケア前後のバイタルや顔色の観察も忘れずにな。

サクラ サクラ

体位選択って、物理学と生理学と看護ケアが全部つながってるんですね。

POINT

洗髪時に患者のエネルギー消費を最小にする体位は仰臥位です。体位のエネルギー消費は「支持基底面積の広さ」「重心の低さ」「抗重力筋の活動量」で決まり、仰臥位はこれらすべてにおいて最も有利な体位だからです。端座位>起座位>ファウラー位>仰臥位の順にエネルギー消費は小さくなります。床上洗髪ではケリーパッドを用いて仰臥位を保ち、患者の体力を温存するケアが行われます。看護師は患者の病状や体力、目的に応じて最適な体位を選択し、安楽・安全・効率の三側面を踏まえた援助を行う必要があります。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:洗髪を行うときに、患者のエネルギー消費が最も少ない体位はどれか。

解説:正解は 1 です。エネルギー消費が最も少ない体位の条件は、支持基底面積が広く、重心が低く、抗重力筋の活動が最小限であることである。仰臥位は全身を臥床面に預けることができ、頭部・体幹・四肢を支える筋活動がほぼ不要となるため、他の体位と比べて抗重力作用に対するエネルギー消費が最も少ない。ベッド上洗髪(床上洗髪)で仰臥位が採用されるのは、洗髪動作自体が受動的であっても患者の体力を温存できるためである。

選択肢考察

  1. 1.  仰臥位

    支持基底面積が最も広く、重心が最も低い体位。抗重力筋の活動がほぼ不要で、エネルギー消費が最小となる。床上洗髪で採用される基本体位である。

  2. × 2.  端座位

    ベッド端で足を下ろして座る体位。体幹を起こして保つ腹筋・背筋の活動と、下肢で床を踏む筋活動が必要で、エネルギー消費は選択肢の中で最大となる。

  3. × 3.  起座位

    上半身を約90度起こしてオーバーテーブルなどにもたれかかる体位。心不全の呼吸困難軽減には有効だが、上半身を支える筋活動が必要で仰臥位より消費エネルギーは大きい。

  4. × 4.  Fowler〈ファウラー〉位

    上半身を約45度挙上した半座位。仰臥位よりも抗重力筋の活動が増えるため消費エネルギーは多い。食事や誤嚥予防には有用だが、エネルギー消費の少なさという観点では仰臥位に劣る。

体位の安定性は「支持基底面積が広いほど、重心が低いほど、重心線が支持基底面内にあるほど安定」という力学原則で決まる。仰臥位<ファウラー位(半座位約45度)<起座位(約90度)<端座位の順にエネルギー消費が増す。床上洗髪では、ケリーパッドなどを用いて仰臥位のまま首から上を少し出して洗う。循環動態が不安定、易疲労、術後安静、重症患者などには仰臥位での洗髪が選択される。一方で、誤嚥リスクが高い患者では顔面に水がかかる注意が必要なので、ケア前後の観察も重要。

体位による支持基底面積・重心・抗重力筋活動の違いと、それが患者のエネルギー消費(体力消耗)に与える影響を問う問題。