夜間頻尿に悩む高齢男性の最適な援助とは?
看護師国家試験 第107回 午前 第31問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術
国試問題にチャレンジ
排泄行動が自立している入院中の男性高齢者が、夜間の排尿について「夜は何度もトイレに行きたくなります。そのたびにトイレまで歩くのは疲れます」と訴えている。 この患者の看護で適切なのはどれか。
- 1.おむつの使用
- 2.夜間の尿器の使用
- 3.就寝前の水分摂取の制限
- 4.膀胱留置カテーテルの挿入
対話形式の解説
博士
今日は夜間頻尿を訴える高齢男性患者への看護を考えるぞ。夜に何度もトイレに行くのはつらいのう。
サクラ
はい、排泄は自立しているのに疲れてしまうんですよね。どうしてあげるのが一番いいんでしょうか?
博士
選択肢は4つある。おむつ、尿器、水分制限、膀胱留置カテーテルじゃ。まずはどれが良さそうか考えてみよ。
サクラ
おむつを使うと楽そうに思えますが…なんだか違う気がします。
博士
そうじゃな、排泄が自立している人にいきなりおむつを使うのは、残存機能を奪い自尊心を傷つけてしまうのじゃ。ADLは使わなければ衰える、という原則を忘れてはいかんぞ。
サクラ
なるほど。では水分制限はどうですか?夜のトイレが減りそうですが。
博士
高齢者は口渇中枢が鈍く、もともと脱水になりやすい。就寝前の極端な水分制限は脱水や脳梗塞・心筋梗塞の引き金になりうる。安易に制限してはいかんのじゃ。
サクラ
膀胱留置カテーテルは?これで眠れそうです。
博士
とんでもない!尿路感染症や尿道損傷のリスクが高く、自立している人に入れる理由はまったくないぞ。医療行為は侵襲の小さい順に考えるのが鉄則じゃ。
サクラ
残るは尿器ですね。男性はベッドの上で使いやすそうです。
博士
その通り。男性の解剖学的特徴から尿器は臥位や端座位でも使え、歩行の疲労や夜間転倒を防げる。しかも自立は保たれたままじゃ。正解は2じゃな。
サクラ
夜間転倒は高齢者にとって大きなリスクですもんね。骨折から寝たきりになることも。
博士
よく気づいたのう。夜間頻尿の背景には前立腺肥大症、心不全、睡眠時無呼吸、利尿薬の服用時間など多彩な要因がある。原因検索も看護の視点で大切じゃ。
サクラ
女性の場合はどうするんですか?
博士
女性の尿器は使いにくいので、ベッドサイドにポータブルトイレを置くのが一般的じゃ。性別や体格、ADLに合わせて柔軟に考えるのが看護の腕の見せどころじゃよ。
サクラ
一つの症状にもいろんな視点があるんですね。勉強になりました!
POINT
本問は、排泄が自立している高齢男性の夜間頻尿への援助を問う設問です。自立機能を守りつつ疲労と転倒を防ぐ視点から、尿器の使用が最適解となります。おむつや膀胱留置カテーテルは過剰介入、水分制限は脱水リスクがあり不適切です。高齢者の排泄援助では「安全・自立・尊厳」の3つを常に天秤にかけ、個別性をふまえて最小侵襲の方法を選ぶ姿勢が重要であり、国試でも頻出の視点です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:排泄行動が自立している入院中の男性高齢者が、夜間の排尿について「夜は何度もトイレに行きたくなります。そのたびにトイレまで歩くのは疲れます」と訴えている。 この患者の看護で適切なのはどれか。
解説:正解は2の「夜間の尿器の使用」です。この患者は排泄行動が自立しており、日中は自力でトイレへ移動できる状態にあります。しかし加齢による夜間頻尿(高齢者では抗利尿ホルモン分泌リズムの変化や膀胱容量の低下、睡眠の浅さなどから夜間排尿回数が増える傾向があります)により、夜間に繰り返し覚醒して歩くことが疲労感や転倒リスクにつながっています。男性患者の場合、ベッドサイドで臥位や座位のまま使用できる尿器(採尿器)は解剖学的に使用しやすく、本人の自立性を損なうことなく負担を軽減できます。自立機能を温存しつつ夜間の安全と睡眠の質を守る援助として、尿器の使用が最も適切です。
選択肢考察
-
× 1. おむつの使用
排泄行動が自立している患者にいきなりおむつを使用させることは、残存機能の低下や自尊心の喪失を招き、不適切です。おむつは排泄行動の自立が困難な場合に検討する選択肢です。
-
○ 2. 夜間の尿器の使用
男性患者がベッド上で尿器を使うことで、夜間のトイレ歩行の疲労や転倒危険を回避でき、本人の自立性も保てます。この患者への援助として最も適切です。
-
× 3. 就寝前の水分摂取の制限
高齢者では口渇感が鈍く、もともと脱水傾向にあるため、安易な水分制限は脱水や血栓症、循環血液量減少のリスクを高めます。夜間頻尿対策としても原則として推奨されません。
-
× 4. 膀胱留置カテーテルの挿入
膀胱留置カテーテルは尿路感染症のリスクが高く、排泄自立患者に適応はありません。侵襲的で不要な医療行為であり、明らかに不適切です。
夜間頻尿の背景には加齢、前立腺肥大症、心不全、睡眠時無呼吸、薬剤(利尿薬の夜間服用)など多様な要因があります。対応では原疾患への介入に加え、日中の水分摂取と夕方以降の飲水量の調整、ベッド周囲の照明確保、ポータブルトイレや尿器の活用など、自立性と安全性を両立させる工夫が大切です。女性の場合はポータブルトイレの使用も選択肢になります。
排泄行動が自立している高齢男性の夜間頻尿に対し、自立性を損なわず疲労と転倒リスクを減らす援助を選ぶ問題です。
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