杖歩行の基本原則 健側前方15cmに突くのが鉄則
看護師国家試験 第112回 午後 第39問 / 基礎看護学 / 日常生活援助技術
国試問題にチャレンジ
患者の足底と杖をつく位置を図に示す。 両上肢の動きに制限がなく、右下肢に軽度の筋力低下がある患者の三点歩行で、歩き始めの杖の位置が適切なのはどれか。
- 1.A
- 2.B
- 3.C
- 4.D
対話形式の解説
博士
今日は杖歩行の基本じゃ。図の中から正しい杖の位置を選ぶ問題じゃが、ルールを覚えれば迷わんぞ。
サクラ
まず、杖ってどっちの手で持つんでしたっけ?
博士
健側じゃ。つまり障害のない側の手で持つ。この患者は右下肢に筋力低下があるから、杖は左手に持つことになる。
サクラ
なぜ健側で持つんですか?患側を支えたいから患側に持つほうが自然な気がします。
博士
良い疑問じゃ。杖は体重を支える第3の支点じゃが、杖が健側にあることで「杖+健側足+患側足」の三角形ができ、支持基底面が広くなる。患側と同じ側に杖を置くと支えが偏って不安定になるのじゃ。
サクラ
杖の位置は健側の前方外側15cmですよね。
博士
その通り。健側のつま先から斜め前方外側15cm程度に突くのが基本じゃ。これで最も広い支持基底面が得られる。
サクラ
本問ではAが健側左足の斜め前方外側になるんですね。
博士
うむ。Bは患側(右)、Dも患側かつ真横、Cは健側だが真横。いずれも支持基底面が不十分か、バランスが崩れる位置じゃ。
サクラ
三点歩行ってどういう順序でしたっけ?
博士
「杖→患側→健側」じゃ。まず杖を前に出し、次に患側の足を杖の近くまで出し、最後に健側を前に運ぶ。常に3点で支える最も安全な歩行パターンじゃ。
サクラ
他にも歩行パターンがあるんですか?
博士
二動作歩行は「杖と患側を同時→健側」で、三点歩行より速いが安定性が劣る。患者の状態で使い分けるのじゃ。
サクラ
杖の長さはどうやって決めるんですか?
博士
握ったとき肘が約30度屈曲する長さが目安じゃ。身長の半分+3cm、あるいは大転子の高さに合わせる方法もある。
サクラ
階段の上り下りも難しそうですね。
博士
「行きは良い良い、帰りは悪い」で覚えるとよい。上りは健側の足から、下りは患側の足から踏み出す。上りは健側で体を引き上げ、下りは健側で支えるために患側を先に降ろすイメージじゃ。
サクラ
杖の先にゴムが付いているのも滑り止めですよね。
博士
その通り。ゴムは消耗したら交換する。濡れた床や雪道では転倒リスクが高まるので、環境調整も看護の重要な役割じゃ。
サクラ
患者の自立を支える道具だけに、使い方を正しく指導することが大事ですね。
POINT
杖歩行では「杖は健側で持ち、健側のつま先から前方外側約15cmに突く」が原則で、これにより最も広い支持基底面が得られ歩行が安定します。三点歩行は「杖→患側→健側」の順で進み、常に3点で体重を支える最も安全な歩行パターンです。階段では上りは健側から、下りは患側からと使い分け、杖の長さは握った時に肘が30度屈曲する長さに調整します。本問では右下肢筋力低下のため杖は左手に持ち、左足のつま先斜め前方外側にあるAが適切となります。看護師は患者の身体機能評価、杖や靴の選定、環境調整、歩行指導を通じて転倒予防と自立支援を担い、在宅・施設を問わず重要な役割を果たします。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:患者の足底と杖をつく位置を図に示す。 両上肢の動きに制限がなく、右下肢に軽度の筋力低下がある患者の三点歩行で、歩き始めの杖の位置が適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。杖は健側(障害のない側)の手で持ち、健側の足のつま先から前方外側約15cmの位置に突くのが安定した支持基底面を作る基本である。本問では右下肢に筋力低下があるため杖は左手に持ち、左足のつま先の斜め前外側にある位置(A)が適切となる。三点歩行は「杖→患側→健側」の順で進め、常に3点で体重を支える安全な歩行法である。
選択肢考察
-
○ 1. A
健側(左足)のつま先から前方外側約15cmの位置で、最も広い支持基底面が得られる。三点歩行の開始位置として適切。
-
× 2. B
患側(右足)側に杖があると、杖と患側肢で同側を支えることになり、バランスが崩れやすく転倒リスクが高い。
-
× 3. C
健側の真横に杖があると前方への支持が得られず、歩行時の推進力と安定性が不足する。
-
× 4. D
患側の真横に杖を置くと、健側の支持と杖の支持が交差せず、転倒リスクが高まる。
杖歩行の基本原則:1) 杖は健側で持つ、2) 先端は健側のつま先の前方外側約15cm、3) 杖の長さは握った時に肘が約30度屈曲する長さ(大転子の高さが目安)。歩行パターンには、安定性重視の三点歩行(杖→患側→健側)、歩調が早い二動作歩行(杖と患側同時→健側)がある。階段では「上りは健側から、下りは患側から」(行きは良い良い、帰りは悪い=健側から上り、患側から下りる/通称「上り健・下り患」)を徹底する。
杖歩行における杖の位置(健側・前方外側15cm)と三点歩行の順序を問う問題。画像から患側・健側を判別し、杖の位置関係を読み取る視覚的理解が求められる。
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